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魔女とよばれた令嬢は。〜目が覚めたら森の中でした〜  作者: みつき


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プリフィカの森②


「魔女だー!魔女が現れた!!!」


「この国はもう終わりだ…」


「災いが起こるぞ!」


振り返ると複数人の男が口々に叫んでいた。


(どうしよう…!)


この辺りに住んでいる若い女性は私の家、フォンターナ家を含む僅かしか居ないため、特定されるのも時間の問題だった。


すぐに無我夢中で家に向かい、勢いよくドアを開けて入ってきた顔面蒼白の私を見た母アウローラと姉マリアーナは、ただならぬ雰囲気を感じ取った。


「一体何があったの…?」


呼吸が乱れてうまく息もできない私に、母と姉は身体をさすってくれた。


「急に現れた魔物に…魔法で攻撃して、倒した所を…見られたの」


…っ!!


二人の息を呑む音がハッキリと聞こえた。


今まで魔法を使えることを知っていたのは私の家族だけだった。

絶対に知られてはならないと、魔法が使えることに気付いた時からずっと周りに隠してきた。


この国、チェーロブルー王国では魔力を持って生まれてくる人間はほぼおらず、最後に誕生したのは150年も前になる。

150年前と言えば隣の国、ルーシュソラーレ王国との戦争が真っ只中で、あろうことかその子は両親が戦争に巻き込まれて、目の前で刺殺された姿を目撃してしまった。

あまりのショックに気が動転し、魔力が暴走、辺り一帯を火の海で焼き尽くしてしまったのである。

被害に遭った人は数百人にも及んだと言う。

その後、自分が犯した事の顛末に耐えきれなくなり、絶望したその子は魔法で自らを攻撃、命を落とした。



よってこの国では魔法が使える者が生まれると、災いが訪れると言われるようになった。

私のように魔力を持った人間がこの国で生まれた際には、口封じで家族の手によって殺されていたとしてもおかしくはなかった。

たまたま自分の両親やお姉様が、私のこの特異な体質を並々ならぬ覚悟を持って護ってくれていただけで。



落ち着いてきた頃に事の重大さに気付いて身体の震えが止まらなくなった。

このままだと私の家族に危害が及ぶかもしれないため、一日でも早く家を出なければならなくなった。


そうして外を出る時には顔が見られぬよう、毎日フードを深く被った生活が始まった。

子供の頃から遊び場として使っていた、隣の国との国境を跨いで広がっているプリフィカの森で住むことを決意した。


不思議なことに、このプリフィカの森の奥には、森に選ばれた人間にしか辿り着けない場所があった。

数少ない、許されている人間はチェーロブルー王国では私一人。

隣のルーシュソラーレ王国では第一王子と第三王子、歴代の騎士団長のみと聞いたことがある。

他の人間がその場所を訪れると、森の出入り口まで戻されてしまう。

私の家族が試しに一緒に訪れた時は、何度進もうとしても私以外は戻されてしまっていた。


そのためここなら安全に過ごせると思った。

日々、プリフィカの森で採取した薬草で作った回復薬を、街に行っては買い取ってもらい、今までそうして貯めてきたお金と少しの着替え、気晴らしにと日記を一冊持って少ない荷物を抱えて家を出ることにした。



前もって伝えると止められることがわかっていたから、何も言わずに置き手紙だけを残して。




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