プリフィカの森①
チチチチ…
ピー!ピー!ピー!
近くから鳥の鳴き声や、葉と葉が擦れ合う音が聞こえてくる。
爽やかな風が頬に当たり、心地よくてまだ眠っていたくなる…が。
あまりにも音が近くない?
なんでこんなに緑が生い茂っているような青臭い香りがするの…?
目をパチッと開けると、沢山の木々が生い茂り、隙間から青空が見え、太陽の光が差していた。
外だ。
私は今、外に居る。
そして寝ていたらしい。
何故こんな所で?
そもそもここは何処なのかしら?
思い出そうと身体を起こしてゆっくりと立ち上がり、汚れや葉っぱを払い落とす。
360度、辺りを見渡して森の中だとすぐにわかった。
「えっと…?」
闇雲に歩くのは危険だけど、なんだろう…この景色見覚えがあるわ。
確かこっちよね、と歩き進めると小さくて可愛らしい家が目に入ってきた。
家の前に来て、ドアノブに手を掛ける。
ガチャリ、と音がして扉が開いた。
鍵は掛かっていなかった。無防備だけど、する必要が無かった。
と言うのも、この辺一帯は数少ない"森に選ばれた者”しか入れないからだ。
「大分記憶が戻って来たわ。ここは私の家ね」
私はティアリーナ・フォンターナ。
少しずつ貯めたお金と少しの荷物を持って、実家から出たんだったわ。
とても居心地のいい家だった。
私が油断したせいで、家族に迷惑を掛けてしまった。
これ以上家族に危害が加えられる前に家から出るしか無かった。
「みんな元気にしてるかな…」
家に入ってすぐ目の前にある小さなテーブルを見て、家族団欒の光景が目に浮かび上がってきた。
いつも私たち家族に愛情をたっぷり注いでくれるお父様と、普段おっとりしていてマイペースなお母様、綺麗で優しくて誰からも好かれるお姉様。
子爵家で裕福とまではいかなかったけど、質素な食事でも家族と一緒に食べた物はどれも美味しかった。
あの日、家の近くで突然目の前に魔物が現れて。
鋭い爪で引き裂かれそうになった。
普段は人の通りもない細い道で、誰も見ていないだろうと。
「fiamma!」
炎の魔法を唱えるとあっという間に燃え上がり、倒せて安堵したのも束の間。
「うわあああああ!!!」
離れた場所から男性の叫ぶ声が聞こえきた。
魔法を使っている所を見られてしまった…?




