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こんな人(?)生も悪くない

私の父は……

冒頭で拙作の同シリーズの「こんな人(?)生も悪くない」の「俺が今の俺になった訳」のネタバレがあるので、よろしければ先にそちらを読んでいただけると幸いです。

以下、ネタバレ防止用の空白です。





























私の面白い話……ねぇ。

そうね、面白いと思うかは分からないけれど私の親の話をしましょうか。


私の父親は崖だったの。

何を言ってるか分からないかもしれないけれど、言葉通りの意味よ。

一万年生きたエルフみたいに精神が自然物の域に至ったとかじゃなくて、正真正銘意思を持つ崖なの。


私は元は捨て子でね、詳しい過程に興味は無いけれど母が赤ん坊の私を崖下に投げ捨てたらしいわ。

偶然その崖は意思を持つ不思議な崖で目の前で捨てられる私を見捨てられず助けてくれたのよ。

そして最初は誰かに預けようとしたらしいのだけれど、預けられそうな知り合いも丁度いない時期だったから自分で育てることを決めたらしいわ。

父は赤ん坊を育てたことがないから大変だったと言ってたわね。いやまあ崖が赤ん坊を何人も育てた経験がありますっていうのも変な話だけれど。


それはさておき、父は経験は無くとも知識は豊富で魔法も達者だから素人なりに親らしい事を物心付く前からずっとしてくれてたの。

勉強、戦い方、魔法、常識その他もろもろ、一人立ちするのに必要な知識は全部教えてくれたわ。

他にも娯楽の類いにはかなり詳しくて、多分そこらの貴族よりも贅沢な生活をしていたと思うわ。

特に料理は凄くて、数百を超える美味しいものを食べさせてくれたわね。

こうして今生活出来てるのもそういった沢山の知識のお陰だから父にはホント感謝しているわ。


10歳になった頃辺りから、父を尋ねる人がしばし現れるようになったわ。

父は崖だからか長生きをしてるらしくてね、有名では無いけれど昔の文献には度々出てくるらしいわ。

そして父について書かれた文献が出るとその文献を元に数年間は人が訪れるようになるの。

私を拾った時は知り合いがいない時期だったっていうのはそういう文献が出てない時期だったってことよ。

まあその頃の私は父から離れたがらなかったし、父も親バカになってたから邪魔をしないよう相席してたわね。


それから十五歳になった頃かしら。

父の古い友人の曾孫が尋ねてきたの。

彼女はとても魔法が上手くてね、彼女と魔法の修行に行ったの。

大体五年くらいかしら。

それまでずっと父と過ごしていたから一日以上離れるのも初めてで最初は……いえ、五年間ずっと寂しかったわ。

でもこのままではいけないと、父のそばで生きていくにしても外で普通に人と交流できるようになれと父に言われてたから頑張って我慢したわ。


そして修行から帰って父に会った時はとても嬉しかったわ。

何せ普段は何があっても冷静な父がとても安心そうな雰囲気をしてたもの。

父は人間じゃないからどうしてもそこまで気にしてないんじゃないかって内心のどこかで思ってたけど、そんなことなかったって心から伝わったから。

それからは父と一緒に過ごすのと、街に出るのを数年単位で交互に繰り返してたわ。

まあそれでも私が百歳になる頃には落ち着いて、今みたいな学校の教師をしながら十数年に一回、一年くらい父の元に行くって感じになったの。


実の両親について?

まあ興味本位で確かに調べたこともあったけれど、別にどこにでもいるような脳みそが下半身にあるような男と、田舎な故郷から出てきて頭がお花畑だった女よ。

正直それ以上でも以下でもなく、私が今こうして生きてるのは崖の方の父が自身の出来る限りのことをしてくれたからよ。

調査が終わっても直接会うことはなかったし、母はともかく只人の父はもう亡くなってるんじゃないかしら。

母も調べた時には故郷のエルフに連れ戻されたようだし、生きてても会うことはないでしょう。


それはさておき、最近の父は私が一人立ちして寂しくなってきたからか少し人恋しいらしくてね。

どう、あなたさえ良ければ父に会ってみない?

それこそ面白い話が聞けると思うのだけれど。


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父上様が地球の一部であるヒロインさんのまっすぐな生き方に拍手を送りたいです。 様々な経験、知識を積まれた父上様とお会いして、人生についてを語り合いたい所存ですね。 ファンタジーな世界をありがとうござい…
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