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【完結御礼】どどどどーすんのっ、黒姫ちゃん?! ~強つよ有望株の姪っ子魔法使は、叔母のセンパイ魔法使に頼られたいっ~  作者: 香坂くら
3章 魔法使のトップは竜族の女の子でした

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019助手 最終話

今回で最終回になります。

 

「近いですね」

「きっと、例の交番あたりよ。何か派手なコトが起きたんだわ、きっと」

「ほらっ。ウソじゃなかったでしょう? 漆黒姫さまはウソつきじゃないんですから!」


「そんなんどーでもいいよっ、もし漆黒姫の乗った車に何かあったんやったら、ヒマリ姉だって巻き込まれたかもしんないやんッ! わたし、見てくるッ!」


 惟人が通せんぼする。


「ちょっ、何でジャマするんっ?!」

「落ち着け。そっち、確認しろ」


 彼が目線を送る先。

 床に黒姫ドールがすっかり忘れられたまま、大人しく立っている。


「話し掛けてみろよ。『大丈夫?』 とか」

「お? あ、え……と」


 質問しようとすると待ち構えていたのか、勝手に話し出した。


「宣伝がねらいや」

「せ……宣伝?」


「確かにわざと罠にかかりに行って、攻撃を仕掛けられたけどな。わたしも漆黒(ノワルディジェ)も大丈夫や。アイツはこれくらいの事、毛ほども感じてない。完全に相手を返り討ちにした」

「そ、そーなんっ?!」

「世間様へのパフォーマンスや。【ゲンニタイ】は健在ですし、まだまだ必要です。これからもヨロシクね。――とまぁ、そういうアピールに利用しとるんや。やから、わたしも連れてったんやろ。こう見えてわたしは、一部のモンに圧倒的人気を誇ってるからなぁ」

「へ、へえええぇ」

「交番のとなりに小学校があるやろ? 今そこでヒーローインタビュー的なことをしとる真っ最中や。眠り姫のわたしも大好きなヒサゲさんに御姫様ダッコされてチョー気持ちいいところや」


 黒姫ドールの前で行儀よく正座し、一語一句頷くハナヲ。

 すっかり、いつも本人と相対しているのと同じ態勢になっている。


「……それにしても実によく口が回りますね」

「本人のキモチ、筒抜けね。おーこわ」


 外野はさておき、ハナヲは真剣である。


「ハナヲ、安心せい。わたしはしばらくあの世で時間を潰すけどな。アンタはそっちで精一杯努力するんや、魔法も勉強もな。魔法の杖の使い方もまだまだなっとらんやろ?」

「は……はい、ごめんなさい。もらった杖を壊しちゃいました」

「杖は魔法使にとって友だちでもあり、心強い味方になり得るモンや。赤紫鈴とともに自分の分身と思って扱え」

「はいッ」

「魔法使の仕事だけやないで? 受験勉強もマジメに行えよ?」

「はいッ」


 いい返事や。と満足げに笑い顔を作るドール。


「わたしは姪のアンタを心から愛し、応援してる」

「……あ、あいし……? ……ひまりねえぇ?」

「わたしは素晴らしい弟子を持った。自慢の姪っ子や」


 ドールならではの直球発言にハナヲが固まる。「ぽやー」と大口を開ける。

 ジーンと感動している様子。普段聞きなれない手放しのホメ言葉に号泣寸前となる。


「ひいぃ、ヒマリ姉! わっわたしっ、暗闇姫を名乗っていいのっ?!」

「許可する。その姓はハナヲのお母さんの旧姓や。逆にわたしが勝手に名乗ってたんや」

「そ、そーやの。知らんかった」


 それとな。

 と、ドールが続ける。


「ハナヲのお母さんはサジェス族や。やからハナヲには、半分勇者の素養を持った血も混じってる」

「へぇえ。そーなんや――って、えぇ?」


 さらっと付け足しで言うには重すぎた事実。

 ハナヲだけでなく、その場の全員がざわつく。

 惟人やかんなぎリンだけでなく、ココロクルリやシンクハーフでさえも知らなかった話だった。


 ――思えば漆黒(ノワルディジェ)がハナヲと直接面会し、勇者である惟人と引き合わせたのはただの偶然だったのか? それとも意図したことだったのか。


「なんで。何でそんな話すんの? わ、わたしは……!」

「何で話すのかって? それはハナヲがサジェス族出身の暗闇姫姓を名乗ってくれると心強いし安心やって思ったからや」


 それを聞いてココロクルリは心当たりがあった。

 魔法使の中に……いや、そもそも魔物(ミニュイ)族の中に、暗闇姫の姓を持つ者は聞いたことが無く……。


「あのさ……」

「――1000年以上前、魔女と恐れられたサジェスの娘がいたと聞いたことがあります。その娘は闇を支配し、光を呑み込んだという話です」

「……ちょっ、シンクハーフ! わたしのセリフを盗らないでよ!」


 当のハナヲはふたりの漫才を完全スルーし、黒姫ドールを見詰めている。


「かんなぎさん。この黒姫ドールさんはヒマリの分身なんやね?」

「モチのローンです。言いたい事は判ります。そんな大事な事は、本人の口から聞きたかったし、分身が言う事は、いまひとつ真実味が無いと言うわけでしょう?」

「違うよ? わたし、小さい頃から何となく疑問に思ってたもん。やから、うっすらとは気付いてた。――そうやなくって、お母さんのコトや。お母さんは実際のところ、魔法使やったん? それとも実は勇者やったん? ヒマリ姉はそんなお母さんやったからこそ、憧れてたん?」


「あの人は魔法使でもあり、勇者でもあり、そのどちらでも無かった。両方を兼ね備えた人やった。ミニュイのわたしはなれない。だから背中を追いかけたし、頼られたかった」


「やったらわたしもだよ! ヒマリ姉を目標にしたいし、頼られたい! それは迷惑?」

「いや、嬉しい。頼りにしてるし、甘えたい。また一緒に暮らしたい」


「わっわたしも! わたしもヒマリ姉とお父さんと、また一緒に暮らしたいよ!」

「――ああ、そうやな。その日を心から楽しみにしてる」


 黒姫ドールはそれきり、黙り込んだ。

 気持ちを伝えきって安心したのか、まるで眠りについたように大人しくなった。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 

 漆黒(ノワルディジェ)姫の命令通り、ハナヲたちは翌日の夕方には指定された住所への移転を成し遂げた。


 かんなぎリンのチアコスによる叱咤激励およびに、ハナヲの一途で懸命な自転車運搬が単なるムダだったと言い切ったら可哀想だが、結局一番の働き手はココロクルリ。

 彼女の個体スキル、転移(ラトゥデション)での一挙転送で済んだ。


 前後の荷台に大荷物を載せたハナヲの自転車が出雲井町内の目的地に着いたときには、後の荷物はすでにぜんぶ、新居とされる場所付近に到着していた。

 汗だくのヘトヘト少女を出迎えたのは、山積みの段ボール箱とココロクルリだった。


 公道をまたぐ石鳥居の脇の駐車スペースで、段ボールの山に囲まれるココロクルリに話し掛ける。


「……わたしら神社に住むの?」

「知らないわよ! わたしはここの住所を教えられただけ」

「ふえぇ……」


 ハナヲが絶句したのもムリは無い。

 そこは紛れもなく神社だった。


 ――名を枚岡神社と言う。

 ココロクルリもハナヲにも馴染みは無い。かなり昔に建てられた神社っぽかった。もしかすると黒姫か漆黒姫は何らかの関わりがあるのかも知れなかった。


 とにかくどう見ても、参道の先に一般人向けのマンションがあるようには思えない。


 二之鳥居から境内を望むと、広くて真っ直ぐな上り坂の参道が延びている。

 両脇には青々とした梢が背を伸ばし、それに護られるように寄進者の名が記された玉垣と金属製の朱塗りの春日灯籠が並んでいて、一目で神聖な、神の領域だと知れた。


 もしもこのようなスピリチュアル全開な聖地に、世俗めいた構造物なぞ建てようものなら、地元住民から激しいバッシングを受けるか、もしくは祭神さまのバチが当たるに違いない。


 かんなぎリンがニヤニヤして答える。ハナヲと違って彼女はタクシーで乗りつけており、余裕しゃくしゃくである。


「ノンノン違いますよ。新居は境内の先にあります」

「先? この神社の奥にあるってコト?」


 遅参のかんなぎリンに、イラつき顔でココロクルリが噛みつく。


「早く転移先を指定しなさいよ。いったい何処にそのマンションとやらがあるってのよ! バカみたいに独りで段ボール箱の番してるの、すっごく恥ずかしかったんだからね!」

「それは失敬でした。マンションは異空間(ボヌルバル)にあります。神社を通るのは防犯のためです。言わば神懸りの擬態です」


 かんなぎリンが支払ったタクシーにただ乗りをしたシンクハーフが無礼な一言。


「これ、漆黒姫の発想ですか。作者と同じくらい安直な目くらましですね」

「そうよね。だいたいアイディアが貧困なのよ。木を隠すなら森の中じゃないの? フツー常識的に」


「発案者は黒姫さまです。漆黒姫さまは出資者にすぎません」

「わー、ココロクルリ。あなた、そうとうヒドイ言いがかりですね」

「シンクハーフが先に言ったんでしょ、バカッ」


「どーでもいーが、さっさと家に入れてくれ」


 惟人少年が合流する。

 彼の足は、バスと電車の乗り継ぎだった。

 見れば駅がすぐ目の前にある。


「最高の立地条件ですね」

「ホント、心洗われるとはまさにこのことだわ」

「……いーかげんにして欲しいですね、オーバー10のお姉サマ方。手の平返しの世辞にザンザと反吐が出ました」


「なんだとコノヤロめっ。ホントーに吐かせてやるっ! ニャロメ、ニャロメ!」

「やーめーてーくーだーさーいぃ。泣いて訴えますからねー」

「訴えられる口が残ってれば、そうなさいな」


「おいオマエら。チビ鬼……じゃなくって、ハナヲが先に行ったぞ」



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



 その後、新会社の発足が公表され、旧防衛省所属の魔法使全員と、2千余の新規応募者すべてに採用通知と辞令がだされた。


 ココロクルリ。採用。階級、主導(コロッサル)

 シンクハーフ。採用。階級、独歩(アンサンセ)

 かんなぎリン。採用。階級、先達(フォリー)

 惟人改め、暗闇姫惟人。採用。階級、新入(プープロフォンド)

 黒姫。採用。階級、奇英(グランサージュ)


 そして。


 夏川ハナヲ改め、暗闇姫ハナヲ――も、無事採用。


 階級は、先達(フォリー)へ躍進! ……したものの、3階級の降格処分を受けて助手(アピュイ)――に落ち着いた。

 これは先日、徒弟(トレナール)の分限で越境違反を犯したペナルティを反映した結果であった。

 本人の懸念通り、しっかりと監視されていたのである。


 なお、ほう助した(というよりは、ある意味真犯人であろう)ココロクルリは、違反者本人ではないとの理由から、お咎めなしとなった。(但し、魔女七威でありながら、厳しい評定を受けている)


 このような流れで、彼女らの新生活がスタートしたのだった。


 ――これにて、結。


 ◇余禄1 “階級者早見表“


 奇英 【グランサージュ】  漆黒姫(変わらず)、黒姫(7階級昇格)

 回天 【サージュ】

 独歩 【アンサンセ】    シンクハーフ(2階級昇格)

 師事 【ジガンテスク】

 主導 【コロッサル】    ココロクルリ(変わらず)

 先達 【フォリー】     かんなぎリン(1階級昇格)

 新入 【プープロフォンド】 暗闇姫惟人(新規)

 試用 【エプルーヴ】

 助手 【アピュイ】     暗闇姫ハナヲ(1階級昇格)

 徒弟 【トレナール】

 入門 【ポルトロン】

 未就 【アンコンペタン】


 ◇余禄2 “赤紫鈴練達早見表“


 金色 ※魔女七威のみが所有(生涯序列不動)

    威一位:漆黒姫

    威二位:黒姫

    威三位:シンクハーフ

    威四位:不在

    威五位:不詳

    威六位:不在

    威七位:ココロクルリ


 銀色 一位:かんなぎリン(一位は魔法使全体の0.02%程度) ※七位まであり

 紫色 二位:暗闇姫ハナヲ ※七位まであり

 黒色 ※七位まであり

 白色 ※七位まであり(不特定多数・最多)


最後までお付き合い頂き、有難うございました!

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