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最終話 魔法少女特殊部隊

 コマンダーたちは再び帝国へと空からの侵入を試みる。しかし、


 「ん?何だあれは・・・」


 帝国の国境の山脈の上から半透明の帯のようなものが帝国を包んでいた。


 「まさか、バリアってやつか?パイロット、とりあえず撃ってみろ」


 「イエッサ」


 パイロットは機銃をそのバリアに向かって撃つ。すると弾丸は案の定、そのバリアで溶けるように消滅してしまった。


 「成る程、上空はどうやら完全に防衛されているらしい。ヘリを降ろせ、地上でバイクに乗り換えるぞ!」


 『イエッサー!』


 コマンダーの指示でヘリは荒野に着陸する。そこからはバイクを召喚し、それに乗り換えて帝国を目指す。


 因みにバイクはコマンダー、パイロット、セクスィーは1人で乗り、ガンナーはサイドカー付きのバイクの隣にギークが乗る。


 バイクを走らせて行くと、前方からあのヴィア・ドロローサが立ち塞がるように現れた。


 「ふっ、ぶっ飛ばしながら進むぞ!!ウィンチェスター!!」


 コマンダーはM1887ショットガンを取り出した。そしてあのくるんってやるやつ(スピンコック)をしながら、敵を仕留めていく。


 「マイクロウージー!!」

 「MG34!!」

 「う〜ん、なら・・・マシンガンポッド!!」


 パイロットは片手で撃てるサブマシンガン、ギークはサイドカーに機銃、セクスィーはバイクの先端からニョキってマシンガンが出てきた。


 一行はそれを駆使して敵を蹴散らす。けど、ヴィア・ドロローサも頑張って対抗してくる。車輪が付いた奴や、大型のトラックのような姿になって襲いかかってくる。


 コマンダーたちはそれを掻い潜りながら先へと進む。





 そして、帝国の入り口・・・帝国門の前へと駒を進めるのだった。


 門の前まで辿り着くと、何故か敵は姿を消し、固く閉ざされた門だけがそびえ立っている。


 「ノックしたら出てくるか?」


 「さぁ、けどやってみる価値はあるかもな・・・」


 パイロットの問いにコマンダーは少し笑う。そして大きく息を吸った。


 「帝国の支配者よ出でよ!!!貴様の野望はこれまでだ!!覚悟しろ!!今ここに!正義の裁きを下さん!!」


 コマンダーはかっこよく言い放った。すると門がゆっくりと開く。門から現れたのはフェロンただ一人だった。


 「プリティスト・・・やはり生きていたか」


 「驚いたか?」


 「いや?大統領の娘が俺からサンプルを奪取した時点でここまでは来ることは想定していた・・・だが、もうすでに何がどうあろうと無意味になった。俺はもう貴様らの全てを超えたのだからな・・・」


 フェロンは再び力を込めるとまたあの醜い姿、ドロローサへと変身を遂げた。


 「うへ〜、またキモいのになったよ〜」


 「ふっ、この姿の美しさを理解できんとは、アンデルセン合衆国よ、聞いて呆れるな」


 ドロローサは片手を前に掲げて構える。


 「何とでも言えば良い、皆っ!!完全武装だ!!!」


 『サーッ!!イエッサー!!』


 コマンダーは例のリップを取り出した。そして一気にそれで全身をなぞると、身体中に様々な武器などが装着されていく。そしてそのリップを今度はパイロットに渡した、パイロットも全身を武装していく。それを次はガンナーへ、ギークへ、セクスィーへ。全員が一気に完全武装モードへと突入する。


 最後に各々の武器を肩に担いで決めポーズを取って強化完了。


 「成る程、これまでの奴らでこれほどのパワーを秘めた奴らはいなかった・・・楽しませてくれよ、プリティストども!!」


 ドロローサは前に突っ込むと同時に、あの虚無空間から全方向に向けてマシンガンを乱射した。


 「うおおおおおおおっ!!」

 「うりゃあああああっ!!」


 コマンダーとガンナーは全身の武器で弾幕を作り、パイロットが隙を突きドロローサへ接近する。


 「っ!!俺が弾幕で押された!?けど!!」


 『ガギィンッッッ!!』


 至近距離で撃ったショットガンは、虚無空間から現れた刃のような武器で全弾弾かれてしまった。


 「くそが!!」


 「残念だったな!!俺に隙は無い!!」


 「だったら!!地面爆発させたらどうなのっ!?」


 次の瞬間、攻めていたパイロットが後ろに飛ぶ。すると地面のあちこちが大爆発した。


 「くっ!!地雷か!!」


 ギークは地面に地雷を仕込んでいた。ドロローサは飛び散った岩のかけらをくらい僅かにダメージを受けた。


 「ん?ドロローサ、血が出てるぞ?」


 「ふん、この程度治すのは造作もない・・・」


 コマンダーの煽りを受けてドロローサは一瞬で怪我を治した。


 「どうだ!この回復力は!!」


 「いや?お前は今、血は流したんだぜ?血が流れるという事は殺せる筈だ。なぁ、ドロローサ!!」


 「抜かせっ!!」


 ドロローサは更に攻撃の手を増やす。虚無空間から無数のミサイルが飛んできた。


 「こんなものはよぉ!!こいつでうちのめせばいいんだよなぁ!!」


 ガンナーは両手にM134ミニガンを持つというとんでもない体勢でミサイルに向かってミニガンを乱射した。


 「隙が出来たぞ!!全員一斉放火だ!!」


 「くぅっ!!!くそがぁぁっ!!」


 ミサイルを全て撃ち落とした後、5人全員でドロローサに向かってあらゆる飽和攻撃を行った。ドロローサのあるところは跡形もなく吹き飛んだ。


 「ふぅ、綺麗にふっとんだな」


 パイロットがベッコベコになった地面を眺める。


 「奴は何処だ・・・バラバラに消し飛んだか?」


 コマンダーは周囲を見渡す。しかし、何も終わってない事がすぐに気がついた。


 「・・・後ろかっ!!」


 コマンダーは咄嗟に突きつけられた銃弾を避けた。


 そこにはドロローサがいた。


 「ふぅ、やはり歴代最強と名付けられるだけはある・・・」


 ドロローサは完全に無傷のままだ。


 「ちっ・・・どうなってやがる、アレくらって無傷とかよぉ・・・」


 ガンナーがドロローサを睨んだ。


 「・・・まさか、私たちの攻撃は通用しない?」


 その時、ギークがある予測に行き着いた。


 「ギーク?どう言う意味だ?」


 コマンダーが聞き返した。


 「ドロローサの力のベースはドロイドローン。あれは私たちの攻撃でしか倒せなかった。その理由があるとしたら、ドロイドローンは私たちと全く同じ力を持っているから。ドロイドローンの技術を私たちに変換できたのは、もしかしたら・・・奴もまた・・・」


 「ふっ・・・お前察しが良いな、御名答だ。この世界にはプラスとマイナスの力がある。プラスが貴様らプリティストだとしたらマイナスは俺だ。ドロイドローンやドロ=ドロイドはマイナスの力。それをプラスの力でくらう事で、それはゼロになり、ドロイドローンたちは機能を停止する。


 しかし、俺はそこから進化したのだ。プラスをマイナスに変換するシステム、それがドロローサ。どれだけプラスの力が飽和しようとも、その全てをマイナスの力に還元する。貴様らのお陰でこの力は完成した。歴代最強が誕生した瞬間、俺はそれを超えたのだ!!」


 ドロローサが手を空へ向かって掲げるとまた地面から無数のヴィア・ドロローサが現れた。


 「くっ!!て事はよぉ!!俺たちの攻撃は全部奴の栄養ってわけかぁ!?」


 「そうだねガンナー!私たちの使うこの武器は!形が違うだけで歴代の人たちがやってきた事と変わらない!つまり、この武器や兵器は魔法なんだ!!」


 ギークは拳に力を込めて力説した。


 「う〜ん、困ったねぇ・・・考えなくちゃな、やつを、どうやって攻略する?一度は怪我をした・・・何で怪我したんだ?」


 セクスィーは少し睨むようにドロローサを見つめた。


 「いい目つきだな。まだ戦う気満々って言ったところだ。しかし!!これを見るがいい」


 ドロローサは画面のようなものを空間に映し出した。そこにはアンデルセン合衆国、グラフィティシティが映っている。そしてそこに無数のヴィア・ドロローサが湧き出してきていた。


 「ヴィア・ドロローサは不滅!!俺がどこにいようと何処でだろうと生み出せる!!さぁ、プリティストがいないこの状況で国はどうする!?絶望しろ!!貴様らが守るべき任務の国は今から滅ぼされる!!その様をここで這いつくばりながら見届けろ!!」


 ドロローサはプリティストたちに一斉に襲いかかった。


 「ふっ!!」


 『ズドドドドドッッッ!!!!!』


 まぁ、ヴィア・ドロローサに関してはコマンダー1人で無双出来る。


 「まだ諦めないか。しかしだ、いくらこいつらを打ちのめそうと、こいつらは無限に復活を繰り替えすのさ、だから何をしようとも今のお前たちが出来るのは時間稼ぎくらいだ!!」


 「時間稼ぎか、それで良いのさドロローサ。にしてもお前はもう勝ったつもりなのか?残念だがそうはいかないんだな・・・お前の負けだ。弱点はもう見つけたぞ、ドロローサ!!」


 この状況に対してコマンダーは笑いながら見栄を張った。


 「弱点だと・・・そんなものは無い!!プリティストども!!その目によく焼き付けておけ!!あの妖精どもを真っ先に潰してくれる!!」


 ・


 ・


 ・


 ドロローサは画面越しに合衆国内のヴィア・ドロローサに指示を出した筈だった。しかし、国内部は何も変わらない。むしろ、日常が映し出されている。


 「な、どうなってる・・・俺の、俺の配下はどこに消えた!?」


 「・・・あぁ、了解。殲滅完了だな」


 その時だった、コマンダーは急に何かと話しだした。


 「で、もうすぐ到着するか。早いな」


 「貴様ら!!一体何をした!?」


 ドロローサは、このプリティストたちが何をしたのか理解出来ない。


 「分からないなら、分からせるさ・・・」


 ゴゴゴゴ・・・・


 その時だった、地平線の彼方から何か地鳴りが響き出した。


 『ズゴゴゴゴゴゴッっ!!!!』


 そして次第にそれは大きくなり、プリティストとドロローサの間に現れた。


 「ふぅ、合衆国からここまで走ってきてやったぞ・・・」


 「誰だ?貴様・・・まさか、6人目だと?馬鹿な」


 そこにやって来たのは右目だけ謎のゴーグルを付けている紫色のふんわりウェーブした髪が特長の少女がいた。


 「よ、早かったねぇ〜。交渉は思いの外早く済んでよかったよ〜」


 セクスィーはニッコリ笑って少女を迎え入れた。


 「おい!貴様は誰なのだ!?どうやってここに来た!?貴様が俺の配下を倒したのか!?」


 ドロローサは少女に脅すように問いかけた。その次の瞬間、少女はその勢いを遥かに超える声で言い返した。


 「ぶぅううあっはっはっぁぁぁ!!!貴様のヴィア・ドロローサはぁぁぁぁ!!!転生した我が力によってぇぇぇぇ!!全てッッッ!!壊滅させてくれたわぁぁっ!!!」


 「この勢い・・・まさか、テルミ・・」


 「おっと!!それ以上は違うなよ?俺は、テルミナートルでは無い。あのポンコツ女神の采配によりこの世に再び転生した存在、名は、テルミンと呼ぶのだ。良いかァァァァっ!?」


 この仁王立ちして大笑いしてる少女の正体は、この世界に再度転生したテルミナートルだった。


 テルミナートルとパンチョは前に取引をしていたのだ。それは、死んでも転生を約束するというものだった。テルミナートルはパンチョのその提案を受け入れた事で、あの時、自らの命を犠牲に出来る事が出来た。


 



 回想


 テルミナートルはあの日、死の直後に女神の元に飛ばされていた。


 「ここは・・・奴の言っていた」


 「はい、パンチョさんから話は聞いています。テルミナートル・・・」


 女神はテルミナートルに語りかけた。


 「貴様がその転生させる事が出来るという女か」


 「はい、しかしこんなのは例がありません。この私の力を持ってしても、あなたを5体満足で転生は出来ません・・・」


 「5体不満足?ふむ、成る程な・・・」


 テルミナートルは少し考えた。


 「はい・・・申し訳ありません」


 「ふっ!!ぶぅあああああはっはっはぁぁぁ!!!我が帝国の力をみくびるぬぁぁぁぁぁっっ!!!この俺が5体不満足ならばぁぁぁ!!我が帝国の技術で補えば良いのだァァァァ!!」


 「ひいっ!?」


 女神は驚いて後ろにあったベッドにちょこんと隠れた。さっきまでの凛々しい姿はどこにも無い。


 「と言うわけだ女神よ、俺は転生するぞ。ここから落ちれば良いんだな?」


 こ、こくりこくり!!


 女神はベッドの傍から頷いた。


 「では、さらばだ。我が帝国に!!栄光あれぇぇぇっ!!」


 テルミナートルはそう言うと躊躇いもせず屋上から飛び降りた。




 「・・・ふぇぇぇっ!!!怖かったぁぁぁ〜!!もー!パンチョさんってば勝手にし過ぎですよもぉ〜!!あの人が一番食えないと思ってたけど、まさか帝国の方と手を組むなんて思ってもみなかったよぉ〜!!」


 女神は泣きべそかきながらベッドに潜り込んだ。


 「けど、それがすべき事なら、ちゃんとやるよぉ・・・」


 このダメな女神はこんなんだけど、ちゃんと女神はしてる。仕事は出来るタイプだ。


 かくしてテルミナートルは、テルミンとして再びアンデルセン合衆国で転生したのだった。




 現在


 「テルミナートル、まさか貴様が・・・」


 「だからこの私の事はテルミンと呼べ、フェロン」


 「貴様こそ、この俺をその名で呼ぶな。俺はドロローサ、世界を支配する者だ!」


 ドロローサは堂々と言い放った。


 「言うねぇ、ならば勝負といこうかドロローサ。俺たちとお前、どちらが強いかを!!」


 コマンダーは急に変身を解除して、アランに戻った。


 「何のつもりだ?」


 「言った筈だ、弱点を見つけたと。お前、さっき怪我しただろ?それは飛び散った岩が貴様に当たったからだ。て事はだ、こうは考えられないか?お前は俺たちの攻撃に対しては無敵だが、この世界の攻撃ならば通用する。要するに、ただの物理攻撃なら・・・お前に勝てるとな」


 アランは腕を鳴らした。そして次々に変身を解除する。


 「ふはは!!確かにその通りだ!俺の弱点となるのはこの世界による攻撃!!しかしだ、今の貴様らはただの小娘に過ぎない!この程度!!脅威ではないわ!!」


 「どうかな?俺は元コマンド部隊隊長だぞ?」

 

 アランは拳を構えた。そして虚無空間から放たれる銃撃を見極め、一気に迫った。


 「んっ!?」


 ドゴォッ!!


 アランと一撃がドロローサの脇腹にクリーンヒットした。


 「ぐっ!!この!!」


 バギッ!!


 「どぉっ!?」


 負けじとドロローサの拳もアランの顔面にめり込む。


 「このやろーがっ!!」


 「どがぁっ!!」


 アランの拳がドロローサの顎に入る。ドロローサは仰向けになって宙を舞う。

    

 「ぐふっ!!ぐっ!!ヴィィィィァァァァアアッッ!!ドロロォォォォサァァァァッッッ!!」


 ドロローサは再びヴィア・ドロローサを生み出して盾にした。


 「プリティスト!アイルビーバック!!!」


 アラン以外は再び一気に変身し、ヴィア・ドロローサを蹴散らす。


 「ぐっ!!!っ!!?ふっ!!ヴィア・ドロローサ!!奴を仕留めろ!!」


 ヴィア・ドロローサは標的を変えた。そこにいたのはテルミン、ドロローサはただ立っていたテルミンに攻撃の方向を向けさせた。


 しかし、こんなのは分かりやすい罠。追い込まれかけているドロローサはそんな事にも気がつけなかった。


 「ぅおおおろかものめがぁぁぁぁっっっ!!!この私はぁぁぁっ!!5体不満足と引き換えにィィィ!!最強の身体を手に入れたのだぁぁぁぁっっ!!!!」


 テルミンは右手の手袋を外すと、それは機械仕掛けの義手で出来ていた。


 「くらえドロローサ!!!この右腕のガトリングの威力、連射速度は!!プリティストガンナーの力の約2倍!!超高威力かつ、高速の弾丸の嵐が貴様を襲うのだぁぁっっ!!」


 『ドドドォォォォォッッッッ!!!』


 テルミンから確実な弾幕がドロローサに放たれる。テルミンの身体は転生と言うより、そのほぼ全てはサイボーグとなっている。両手足はもちろんのこと、胴体の内臓部分も機械仕掛けで補われている。右目も、ターゲットを確実に仕留めるためのスコープだ。


 つまり、テルミンの全身は兵器とも呼べる状態になっていた。


 「そしてぇぇぇっ!!この身体に入っている武器は!!プリティストのパワーでは無い!!女神によりこの世界にもたらされた!!そう!!そしてこの世界で作られた力なのだ!!つまり!!俺のこの身体は!!貴様にダメージを与えられる!!」


 テルミンは左腕からフルオートショットガンを出現させた。更なる巨大な弾丸の嵐がドロローサを襲う!


 「ぐるりりりっっ!!!!クゥオオオオァァァァ!!!くっ!!うおおおおおおおおっっ!!」


 追い込まれたドロローサは雄叫びを上げる。そしてテルミンの弾幕を何とか退けた。


 「ほぉ、流石に強化されてはいるな。しかぁぁし、俺の残弾数はまだまだ残っているぞ?さぁ、どうする?」


 「・・・ふっ、ははは!!いや、参ったな・・・まさか、ここまで追い込まれるとは思わなかった。しかし、既に学習は終わった。後は再びアウトプットすれば良いだけの話だ。俺は負けない、ここで俺を仕留めきれなかった。それこそが貴様らの敗北だ・・・では、諸君。さようならだ」


 「っ!!!」


 アランはドロローサに迫ったが、ドロローサは配下を盾にして一瞬で消えてしまった。


 「くっ!!逃げ足の速いやつだ!!くそっ!!」


 「あの野郎め!!アランよ!!ドロローサを追え!!奴が再びここに戻る時!!それはおそらく我々の敗北を意味する!!奴は玉座に向かった筈だ!!そこに皇帝がいる!!皇帝が奴に新たな力を授けるのだ!!ここはこの私が引き受けよう!!」


 テルミンがここで敵を食い止めると立ちはだかり、アランを誘導した。


 「おっと、お前ばっかりに良い格好はさせないぜ?アラン、こいつらの脅威はこの数の多さだ。俺もここに残ってこいつらを潰す」


 パイロットもここに残る。


 「俺も残るぜぃ」

 「私も残るわ、こっちもデータ集めたいし」

 「う〜ん、ここはアラン1人の方が映えるよねぇ。うん、俺もここに残ろう」


 ガンナー、ギーク、セクスィーもここに残る。アランは1人でドロローサを追うこととなった。


 「信じてるぜ、アラン。そろそろあいつをぶちのめして、任務完了させるぞ」


 「あぁ、任せろマイク」


 アランとパイロットはハイタッチして、互いの向かうべき方向に向かった。


 



 玉座

 

 「皇帝よ、この俺に更なる力を与えてくれ。奴をぶちのめす力を・・・」


 ドロローサは玉座の奥の空間に呼びかけている。


 「そこまでだぜ、ドロローサ・・・そいつが、皇帝か」


 皇帝と呼ばれたそれは、配線があちこちに伸びる球体のような物体だった。


 「ここまで追ってくるとは・・・しかし、皇帝は仰った。お前たちを完全に亡き者にする技術が、次の進化で手に入る。お前たちですら手に入れる事はできない力、全てを破壊する究極の力だ・・・」


 ドロローサのこの言葉にアランは少し息を呑んだ。


 「・・・それはまさか、核兵器か?」


 「ははははっ!!そうそれだ!!皇帝は貴様らを倒す方法を考え、そいつを導き出した!!後は完成し、我が力となるのを待つだけだ」


 「・・・無知とは、こうも醜いものとはな・・・俺は元被爆者だ。任務中、敵国の核実験に巻き込まれた。あんなものを、肯定してなるものか。ドロローサ、俺を・・・怒らせたなっ!!」


 アランは怒りを胸にドロローサへ飛びかかった。


 「うらぁっ!!」

 「ふんっ!!」


 互いの拳が顔面を抉る。


 「ぐっ!!ドラッッッ!」

 「せいっ!!」


 今度は逆の手で互いの腹を殴る。


 「げほっ!」

 「ぐふっ!どうした?ドロローサ、近距離じゃやはりあの銃は出せないか?それとも、ここじゃ流れ弾があいつに当たるのを危惧してるだけか?」


 アランは余裕の顔でドロローサを煽る。


 「ふっ、近距離戦ならこいつはどうだ!?」


 ドロローサは瞬時にナイフを持って襲いかかった。けど、アランも腰に忍ばせていたコンバットナイフを取り出して応戦する。


 「く!卑怯なっ!」


 「お前が言えるかよ・・・どうした?そんなの握っちまってよ。よほど俺が恐ろしいか?」


 「舐めやがって、ぶっ殺してやるよ!」


 「そんなセリフは殺してから言いやがれ!!」


 互いに突き出したナイフは刺さる寸前でもう片方の手で止められた、力比べの開始だ。


 「ぐぐっ!!!」

 「ぬぬっ!!!」


 この状況に先に根を上げたのはドロローサだ。ドロローサは蹴りを浴びせて間合いを取る。


 「ぬうっ!!」


 しかし、その間合いを切るまいとアランはドロローサにタックルをかました。その勢いは部屋の壁を突き破って、外のテラスへと出た。


 「ふうっ!!くらえ!!」


 先に体勢を戻したドロローサが近くの鉄パイプを引っこ抜いてアランに振りかぶった。それをナイフで何とか受け流すと、アランはドロローサの股間を蹴り上げた。


 「どぅおっ!?」


 衝撃でドロローサは鉄パイプもナイフも落とす。


 代わりにアランは鉄パイプを持って思いっきり振った。


 しかし、それを掴んで止めたドロローサは鉄パイプを奪いとり、アランに浴びせる。


 「ぐっ!!」


 「へへへ、どうだ俺は貴様程度には負けない!!」


 「この!!ぬぅおおお!!」


 アランはドロローサに首を掴まれ、テラスの淵へと追い込まれる。後は奈落のそこで下には溶岩が流れている。落ちたら終わりだ。


 「さぁ、落ちやがれ!!」


 「ぬうううおおっ!!」


 アランは近くの鉄柱を引きちぎってドロローサにぶつけた。


 「どぅわああっ!!」


 鉄柱は高温になっており、ドロローサはたまらずのけぞった。


 「くそ!この俺のイケメン顔に火傷をつけやがって!!ゆるさねぇ!!貴様は必ず焼き尽くして、かけらも残さず殺してやる!!」


 ドロローサはよろよろと再び中へ入っていく。


 「行かせるか!!」


 アランもそれを追って、中へと戻る。


 「時間だ、時間が来てる・・・奴を、ぶちのめす時間が来てるんだ!!」


 ドロローサは玉座へと一心不乱に歩く。アランはそれを追い越して玉座に先回りした。


 「お前がここに到達する事はないぜ!!ううおおおおおおっっ!!」


 「なっ!?」


 アランはそのパワーを持って地面にくっついていた大きな玉座を引っこ抜いた。そしてそれをドロローサに向かって投げつけた。


 「がっ!!!ちくしょ!!よくも俺の椅子を!!」


 「ほー、おあつらえ向けの椅子だな!!それに座ったらどうだ!?」


 「ふざけるのも!!大概にしろ!!」


 『バァンッッッ!!』


 「どっ!?」


 ドロローサは追い込まれてハンドガンを取り出し、アランに向けて撃った、アランは肩に喰らってしまう。

 

 「間合いをとったのは不正解だったな、正確に狙える距離が生まれた。さぁ、終わりだプリティスト!!」


 「ふざけんじゃぁねぇぇっ!!!」


 アランは一気にタックルし、ドロローサは銃を落とす。アランはそれでも止まらない。


 「どらっせい!!うりゃあっ!!どぉぉっ!!」


 何発も何発も、アランは拳をドロローサにぶつける。


 「くそっ!!っ!?ふふっ!!残念だったなアラン!!俺はこの位置!!これで!!」


 ドロローサの位置は玉座の前だった。





 「そんなに皇帝さんに会いたいなら、だいしゅきホールドでも決めてやりな〜」


 『ボシュゥッッッ!!』


 「なっ!?」


 その時だった、パンチョが後ろから現れ、グレネードランチャーをドロローサにお見舞いした。


 ドロローサは吹っ飛んで皇帝に激突する。


 「しまっ!皇帝がっ!!」


 ドロローサが皇帝を傷つけた。その事に意識を取られた一瞬、その間に勝負は決した。


 「おい、フェロン」


 「っ!?」


 再度振り向くと、そこにはアラン、マイク、ジャック、ボブ、パンチョ、テルミンが同じグレネードランチャーを持って待機していた。


 「お前は全てにおいて負けたのだ。サシの勝負も、お前はズルをしたな?この私は、そんな貴様に忠誠なぞ誓いはせん!!皇帝もろとも、消し去ってくれる!!」


 「や、やめろテルミナートル!!こいつを失えばどうなるか!!」


 ドロローサは上から目線の命乞いをする。それを聞いたテルミンは少し呆れた様子だ。そして周りにアイコンタクトを送る。






 『さっさと失せろ、ベイビー!!』






 「っっ!!!?」


 一斉に打ち込まれたグレネードランチャーの弾は、全弾ドロローサに命中。そして、精密機械の皇帝は、その攻撃を受けて暴発。


 「あ、ああっ!!ダメだ!!皇帝陛下ぁぁぁっっ!!!ね


 ドロローサは、皇帝と共に大爆発を起こした。その爆発は、アンデルセン合衆国にも見える程巨大な爆発だった。


 




 アンデルセン合衆国


 「ど、どうなったテト?」


 「あの爆発、まさか・・・巻き込まれちゃったフラ?」


 ポテトとフライは砂嵐になってしまった街頭テレビを眺めてアランたちの心配をしていた。


 「お、おい!!あれを見ろ!!」


 その時だった、モブの1人が街頭テレビとは逆方向、帝国の方を指差した。


 真っ赤に染まる空の奥、そこから空飛ぶ何かがこちらにやって来た。


 「せ、戦闘機テト!?」


 『ザザッ・・・おい、聞こえるか?俺たちは魔法少女特殊部隊プリティースターだ。そこの広場少し開けてくれないか?』


 その時、街頭のスピーカーから音声が聞こえて来た。


 「この声!!アランフラ!!」


 次の瞬間、戦闘機が一気に上空を通過した。その瞬間、真上に誰かがベイルアウトしたのが見てとれた。


 戦闘機は空中で消えて、6人の少女たちが広場に降り立った。


 「着地!!」


 ズシン!!

 「痛ぁっ!?」


 「テルミン?だからパラシュート使えって言ったじゃないの〜」


 変身した5人は華麗に着地するも、1人、思いっきりやばい音を立てて降り立った。


 「ふぅ、ポテト、フライ・・・任務完了だ」


 次の瞬間、コマンダーたちは全員変身を解除した。


 「あ・・・ふふっ!!」


 ポテトはプリティストこルールを思い出したが、全てが終わった今、それはどうでも良くなり笑った。


 「ありがとテトーっ!!」

 「ありがとフラーっ!!」


 ポテトとフライはアランに抱きついた。それと同時に一斉に歓声が湧き上がる。


 ・


 ・


 ・


 それから月日が経った。


 パンチョは大統領の娘、その立場がある以上そう易々と共に行動は出来ない。しかし、その手腕は流石のもので次期大統領候補に名を上げていた。


 一方テルミンは、自らは帝国の為にしか生きないと言い、帝国へと向かう。その後、帝国は復興を果たし、テルミンはバル・ヴェルデ帝国女帝となる。またパンチョとの親交もあり、アンデルセン合衆国と帝国は互いに同盟を結ぶ。





 そしてアランたちは、


 「大変テト!!町外れで暴動が起きてるテト!!」


 「ん〜?やれやれ、俺たちの出番か・・・」

 「おい、みんな起きてるか?」

 「俺はアランより早起きだぜぃ!」

 「ね、眠い・・・昨日あ、アニメの一気見してた」


 「準備は良いみたいだな、いくぞ!!」






 『プリティスト・アイルビーバック』





 魔法少女特殊部隊プリティースター。この世界最強の少数特殊部隊としてまだまだ、この世界の問題解決に勤しむ日々を送っていた。

 

ふぅ、何とか間に合った1ヶ月でプロットから完結まで中篇書き上げ縛り。途中でYouTubeはじめてみたり、旅行したりときつかったが何とかなるもんだな。


ま、内容はなんか、いろんなとこのパクリとか言われそうだけど、まぁ仕方ないか。


てな訳で、B級な話でございます。まだまだこれからも色んな作品書いていきますので宜しくお願いします。

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