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第三話 伝説の戦士(特殊部隊)

 バル・ヴェルデ帝国幹部、フランカーが倒された。


 この噂は、瞬く間にアンデルセン合衆国内を駆け巡った。その功績を以てアランたちは一躍有名に・・・なる事は無かった。


 理由はこうだ。




 「あ?なんで変身の事を言っちゃダメなんだ?」


 マイクが質問していた。


 「そう言う決まりなんテト。プリティストは伝説の戦士。正体を明かしたらダメなんテト」


 内容は変身のことについてだ、何でも変身は見られてはいけないルールらしい。


 「な、成る程・・・ひ、ヒーローはか、簡単にま、マスクを取らないと、お、同じ」


 「そう言う事フラ。だから4人とも、くれぐれも他の誰かの前で変身したらダメフラよ?」


 「ギルドにいる奴らもかぁ?」


 「ダメ」


 「とは言っても、ギルドの中でガールは俺たちだけだ。ボーイじゃないんだぜ?すぐ分かるだろ?」


 アランが新聞の記事を漁っている。


 「一応女の人もギルド入隊してる人も多いテトよ?そこまで強くない奴の討伐の小遣い稼ぎに地元の婦人会が入ってるテト」


 「荒々しいな・・・」


 こうして4人は、伝説の戦士として戦いへと向かっていく。普段は対ドロ=ドロイドを相手する少女部隊として。そして、時折現れるドロイドローンを浄化(蜂の巣)にする伝説の戦士として、4人は確実に世界に名を轟かせて行った。


 しかし


 「にしても、全然パンチョの居所が掴めないな・・・あいつ、どこで転生したんだ?ギルドにもいないしな」


 依然、パンチョの行方が分からなかった。


 「まぁあいつの事だ、順応は俺たちよりも数倍は早い。下手すりゃ既にかなり深い所まで侵入してるかもな。もしなにかあれば向こうからコンタクトがある。それまでは待てば良いだろう」


 行方不明と言えども4人は別に特段心配はしていなかった。


 「のーてんきテトねー」


 そう言うポテトも能天気にポテチをつまんでいた。


 因みにこの4人と2匹はシェアハウスみたいな所を借りて暮らしている。


 ・


 ・


 ・


 一方その頃、アンデルセン合衆国 大統領官邸 


 通称 ホワイトキャッスルでは。


 「おいテレビ見たか?また帝国の連中がやられたららしいな」


 「あぁ、にしてもすげーよな。俺たちよりも華奢な身体でめちゃくちゃ動いてんだぜ?」


 警備が呑気に会話していた。


 「もし、そこの警備兵?一つよろしくって?」


 その警備に一人の淑やかな少女の声が入ってきた。


 「これはお嬢様!!ご機嫌麗しゅう!!」


 警備兵はビシッと敬礼してみせた。


 「あら、そんな敬礼は必要要りませんわ。それよりも、最近巷で噂になってる女の子たちが気になりますの」


 「あぁ、何でもここ最近帝国のドロ=ドロイド軍を蹴散らす力を持った者たちですね。それはまぁ凄いですよ〜、けど、いかんせんがさつな連中と聞きますので、お嬢様はくれぐれもご用心を。あ、それと同時に新たなプリティストも現れたらしいんですよね。


 目撃情報だとかなりの美少女だとか。少なくともあのがさつな連中とは雲泥の差ですよ」


 「左様、情報感謝しますわ。では失礼、部屋に戻りますわ」


 その淑やかな少女は、官邸にある自室へと入って行った。





 「う〜ん・・・あいつらまたやんちゃやってんね〜・・・全く、こっちは必死に帝国の秘密を探ってるって言うのにさ〜」


 部屋に入るとその少女は淑やかな口調を止め、少しねちっこい喋り口調で独り言を呟いた。


 髪は薄緑色の両サイドからくるりと巻いた上品なヘアスタイル。そして着ている服も、かなりの上物。この少女こそパンチョの転生した姿だ。


 パンチョは、どう言うわけかこの世界の大統領の娘として転生していた。その為アランたちとは必然的に出会う事は出来なかった。その為、パンチョは独自でまず大統領官邸に潜入し、様々な情報を探っていた。


 そして突き止めた。敵の帝国の事や、ドロイドローンの事も。そして、それを完全に倒すにはどうすれば良いのかを。


 パンチョはアランたちが世の噂に出るのを待っていた。そのタイミングを見計らい、今行動を起こした。


 「さ〜て、まずはお父様に大迷惑をかけなきゃね〜・・・大統領の娘の家出騒動だ」


 パンチョは、自室から外へと飛び出した。元はCIA工作員。厳重な官邸を抜けるのすら彼女にとっては朝飯前だ。


 パンチョは難なく外に出て、軽く変装し街を歩いてある目的地へ向かった。





 「み〜つけた」


 「っ!?」


 パンチョが向かったのはアランたちのいる所・・・ではない。パンチョの目の前に立っているのは・・・


 「誰だ、貴様・・・」


 「君、テルミナートルでしょ?けど、あの子らに敗北を重ねている哀れな人・・・」


 前に立つ男はテルミナートル。彼はこの国へ再び潜入をしていた。


 「ふん、タイミングを測っていただけだ。我が辞書に敗北という文字は無いッッ!!」


 「それは素晴らしいね〜、なら君に一つ勝利を送ろうか?」


 パンチョは変装を解いた。その素顔を見てテルミナートルは固まる。


 「貴様、大統領のっ!?」


 「しーっ・・・そう、私はこの国の大統領の娘・・・だが同時に俺は、お前が倒そうとしている者たちと同じだよ〜」


 パンチョは首から下げているドッグタグをテルミナートルに見せた。


 「5人・・・と言う事かっ!!」


 「正解〜、俺たちは5人のチームだ。けど、俺は立場上あいつらに会いに行けないのさ。けど、俺はあいつらに会わないといけない。言いたい事、分かったかな〜?」


 「この俺と手を組めと?」


 「そ!優秀だね〜君、あの馬鹿たちと違ってさ。君の目的はあの4人を倒す事。けど、実力を着実に付けているからおいそれと手が出せない。違う?」


 「っ・・・」


 図星だ、テルミナートルは強化したドロイドローンを連れてはいるが、常にその上の戦力を出される。その為皇帝に顔向け出来ず、ここにいたのだ。


 「ふんっ!!あいつらなど、この俺自らが相手すれば良いのだ。この俺を舐めるなァァァッッ!!」

 

 テルミナートルは相変わらずのハイテンションになる。


 「うるさ・・・そうだよねぇ。お前はそうしたい。けど良いの?ここにあいつらの仲間がいるんだぜ〜?もし、俺がお前に負けたとなったらどうなるかな〜・・・」


 テルミナートルはパンチョが何を考えているのか理解した。


 「・・・っ!!貴様、まさか・・・読めたぞ、貴様の目的ッッ!!お前を誘拐しろ、それが貴様の提案だなっ!?」


 「そう、俺はあいつらに会いたい。お前もあいつらに会いたい。そうとなればこれが一番手っ取り早い・・・俺は立場上大統領の娘だ。それが誘拐されたとなればどうなる?」


 「救出チームが結成される」


 「そっ!!んでもって、チームは最強じゃないとね〜。選ばれるのは必ずあいつらだ、あいつらの強さは大統領の耳にも入っている。だからこのタイミングを待っていたんだ」


 「ふん!!貴様中々肝が据わっているではないか、気に入った!!だが良いのかっ!?人質になると言う意味がっ!!」


 「俺は君に騎士道精神があるのを期待して提案してるんだよ〜・・・でなきゃこんな面倒な事はしない。正々堂々と戦いたいんだろ〜?」


 パンチョとテルミナートルは正々堂々が好きだ。だからこそこの2人には既に、奇妙な友情が芽生えていた。


 「ふん、確かにな・・・しかぁぁぁしっ!!一つだけ条件を追加しよう!!」


 「条件?」


 「貴様よ、この俺と今戦え。今この時点で貴様に勝てなければ意味は無いのだ。俺が勝ったのなら貴様の願いを聞き入れよう!!」


 テルミナートルのこの熱い言葉にパンチョの騎士道精神に火がついた。

 

 「ふっ!!中々良い提案だなぁ!素晴らしい騎士道!!まさにドン・キホーテだ!!お前が女の子なら惚れてるとこだぜ〜!?我が名はパンテー!!ホンへー!!パンチョー!!パンチョと呼べ!!


 そして!これが俺の変身!!プリティスト!!アイルビーバック!!」





 パンチョが首のドッグタグを引きちぎって、上に投げ捨てると狼のような犬の群れが現れた。そして犬はパンチョに向かって飛んでいく。


 「優しくね・・・子犬ちゃんたち・・・」


 パンチョの声に犬はパンチョに甘噛みした。その部分から変身が開始される。


 そして衣装は薄緑色のフラメンコ衣装のような格好へと変身した。


 「鮮やかに燃え盛れ・・・プリティスト・セクスィー」


 決め台詞を入れて変身が完了した。フラメンコドレスに犬の尻尾、犬の耳、かなりボリュームのある薄緑色の巻き髪。そしてその手にはフェンシングの剣が握られていた。その姿は他の4人と比べてもかなり異質だ。


 「何だ・・・その姿?」


 「俺は情報入手に長けててな〜、格好も、自分の思い描いた姿への変身も可能なのさ〜、因みにさっきの子犬ちゃんたたちはみんなメスさ。さて・・・やるべき事は、分かってるな?テルミナートル」


 「分かっているさ・・・パンチョ!!」


 テルミナートルも手に持っていた軍刀を抜いた。2人の熱い戦いが始まる・・・


 ・


 ・


 ・


 一方その頃、パンチョが行動している事を知らないアラン一行、今日は非番の日だ。


 「ふんっ!!!っしゃぁっ!!上がったぜぃ!!200キロ!!」


 「ぬぅおおおおおおおおっ!!!!うりゃぁぁぁっ!!250キロ!!ジャック!!俺の勝ちだな!!」


 アランとジャックはダンベル上げ対決をやっていた。元、特殊部隊の野郎どもだ。休みの日のやる事は筋トレ。しかも、超ハードな。


 そうやってわいわいとトレーニングしている時だった。


 「た、大変テト〜!!!!!」


 ポテトがフライドポテトまみれになってすっ飛んできた。


 「あん?どうしたんでぃ?」

 

 「た、大変な・・・ってあんたらが大変テト〜ッッッ!!?な、何してるテトォォォッッッ!?」


 「あ?背中にダーツ刺してんだが?」


 この野郎どもは転生して女の子になってるにも関わらず、上半身脱いでその背中にダーツを投げ合って遊んでいた。


 「い、いたたたたっ!!!あんたらあくまで女の子テトよっ!?」


 「そうだが、まぁ別にな・・・明日には治る。それよりもポテト、どうかしたのか?」


 アランは話を戻した。


 「そ、そうだったテト!!アンデルセン合衆国大統領の娘のがバル・ヴェルデ帝国の連中に攫われたんだテトっ!!て、テレビテト!!」


 ポテトはブラウン管のテレビの電源を入れた。


 「あ、あいつ・・・て、テルミナートルだ」


 テレビにはテルミナートルとその後ろには薄緑色の髪のお嬢様見たいのが映っている。


 『アンデルセン合衆国よ、これを機に全てを終わらそうでは無いか。我が帝国に下れ、そして皇帝陛下に支えるのだ』


 「・・・ふっ!!成る程、了解だ」


 アランたちは一斉に着替えて、外へと向かった。


 「え、何処に行くテト!?」


 「無論、大統領官邸だ。あいつを救出に向かう」


 「え、僕はそのお願いに来たのに・・・いいテト?」


 ポテトが慌ててここに来た理由は、アランたちに救助の要請に来たのだ。フライはその許可を求めて大統領官邸に向かっている。だからいない。なのに、アランたちは見ただけで救出に向かうと聞いてポテトは混乱した。


 「何を言ってんだ?ポテト、あいつがパンチョだぜ?画面をよく見ろ、指トントンしてんだろ?モールスだ。どうやらあいつは先にバル・ヴェルデ帝国に潜入して、さらに情報を掴んだから迎えに来いって事だ」


 マイクはポテトを抱えて官邸に急ぐ。


 「え、ぇぇっ!?アレがパンチョさんテト!?」


 「そうだ、ボブ。官邸への1番の近道を教えてくれ。出来る限り人のいない道だ」


 「そ、それならこっち・・・」


 ボブは裏路地を指差した。その奥、ある男が現れた。


 「よー姉ちゃんたち。今夜一緒にどうだい?」


 「クソして寝な」


 「あ、どーも。じゃねーや、大統領はプリティストは何処だって躍起になってんよ?あの馬鹿はお前らが適任だと推薦してんだ。けど、ルールは人前での変身はダメ。どうする気だ?」


 男はギルドの支配人、労働組合の男だ。こいつだけはアランたちの正体を知ってる。


 「問題はない、だからここに来たんだぜ?ここで変身して行けば良いだけの事だ。全員変身だ、プリティスト アイルビーバック」





 一瞬のうちに4人の変身は完了した。そして、一気に飛び上がり一飛びで大統領が演説しようとしてる台の前に降り立った。


 大統領は記者たちに今回の事態の説明をしようとしてる最中だった。


 「大統領、心配には及びませんよ。この世界最強のレスキュー隊、プリティースターが貴方の娘を救出して参りますので、ご安心を」


 「プリティースター?まさか、君たちが噂の・・・」


 「そうよっ!!私たちがプリティスト!!みんな覚えててね!!」


 ギークがやたらとあざといポーズを取る。


 「して、大統領・・・娘さんの所在は何処かお分かりで?」


 「あそこは帝国の中枢だ・・・何としても今すぐに助けなければ、しかし・・・あそこへどうやって行けば、あの黒い門を抜けなければあの国へは入れない・・・」


 「ん?ならよぉ、空からは入れば良いじゃねぇか」


 ジャックが当たり前のように聞いた。


 「どうやって!!君たちの脚力でもあそこの突破は困難なんだ!!」


 「CH-53 シースタリオン」


 『どぉぉぉんっ!!!』


 マイクが呟くと大きなヘリコプターが現れた。


 「これで上から入れば問題ないじゃないですか」


 「おぉ、予算関係なしにこいつを使えるのはありがたいな。マイク、準備頼んだ」


 マイクはヘリに乗り込んでエンジンを入れ、プロペラを回した。


 「っしゃぁ!!遂に出来る拠点殴り込みか!腕がなるぜぃ!!」


 ジャックが腕を回しながら乗り込む


 「バル・ヴェルデ帝国・・・どんなとこだろ、うけ、うけけけ!!うけけっっ!」


 ボブはパソコンを眺めると、さっきまでのあざとさは何処へやら、凄まじく変な笑いを地味にしていた。


 「こ、これが新たなるプリティストの魔法」


 大統領はこれまで見たこともないこの力に唖然としていた。


 「はっはっは、大統領。これは輸送ヘリですぜ?魔法じゃない。俺たちは魔法では戦わない。己の肉体が武器なのです。では!!救出任務を開始する!!」


 そしてアランも乗り込み、ヘリのプロペラの回転は早くなり、そしてバル・ヴェルデへ飛び立った。

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