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帝王、激怒し旅立つ

ヴァルのことを毎日見ているとヴァルはアーガルド公国の首都、アーガイルについた。

ヴァルはビヴァルとの違いに驚いてキョロキョロと周囲を見回している。

まさに始めてきた初心者です!といった感じだ。

かわいい。

衛兵に王城の場所を聞き、走り出している。

城につくと衛兵に勇者で呼ばれた来たとはなしたが実力を隠しすぎていたらしい。

勇者を名乗る偽物として捕えられてしまった。

紋章も我が隠していたので気づかれなかったようだ。

それを見た親バカな我は激怒してしまった。

「な、何ぃ!!??アーガルド!!我が息子を牢獄送りだと!!?殺す殺す殺す殺す殺す…。」

「帝王様、怒りをお収めください!!城が!壊れます!」

はっ!

思わず怒りによって魔力を開放してしまった。

「ごほん…すまない。オリックよ。」

「いえ、お怒りはごもっともです。ですがヴァルハラ様がお帰りになるこの城を壊してしまうのは帝王様も意に反することではないでしょうか?」

「うむ。いつも冷静で頼りになるな、オリック。」

「ありがたきお言葉。」

「だがアーガルドが行ったことは我を侮辱したことでもある。我が直々に潰しに行こうか?」

「それはまだ早急すぎるかと。間違いに気づき平和的に開放してほしいものですが…。」

「うむ、では我が我と分からぬように出向き手助けしてこよう!」

「帝王様直々にですか!?」

「うむ。我が息子を一刻でも早く開放し、ヴァルが勇者として名を馳せるのだ!」

「帝王様に失敗などはございません!我らも裏から動き、補佐いたします!」

「うむ!」


早速自らの幻影を出しここを任せることにして我は変装することにした。

そうだな…赤い瞳に金髪の身長はヴァルと同じくらいで良いな。

あまり派手ではない方の鎧を宝物庫から取り出し(無駄に性能は良い)着込んだ。

そして必要なお金や食料やポーション(要らないだろうけど)をマジックバック(無限に中が広がる魔法がかかったバック)に詰め込み二人に振り向く。

「これでどうだ?」

「ええ!カモフラージュとして最適かと。」

「うむ、あとは口調を民と同じにする必要があるな。…んん…分かった。さて、俺は行ってくるよ!この国を頼んだ。オリック。そして我の分身よ。」

「はっ!」

「うむ。」


早速転移でアーガイルの衛兵がぎりぎり見えないところに転移、冒険者も居ないようで助かったな。

ああ、忘れていた。

俺の偽名のことを。

あとジョブを考えなければならない。

偽名は…ガルでよいか。

ジョブは…うむ、一匹の竜を城から召喚して竜騎士としておくか。

中々なりにくいジョブではあるが良いだろう。

呼び出した竜はレッドドラゴンというノーマルなドラゴン。

比較的小柄で地上では馬と同じ速さで走れ空も飛べるスターンダードな竜騎士として最適な竜種の一つだ。

火を扱う竜だ。

だが我が育てたドラゴンは皆一般的な竜騎士の竜ではない。

複数属性や知能が高く一体でも何十頭の獲物を数十分で狩ってくる強さを持つ。

呼び出したレッドドラゴンの名前はシンプルに『レッド』。

属性は火、雷、風を併せ持つ。

「行くぞレッド。俺に力を貸してくれ。」

「キュルルル!」

レッドは一声鳴いて顔を擦り寄せてきた。

準備は万端。

さあ往こうぞ。


門には冒険者や商人等の列があった。

まぁ比較的空いている方だ。

数分待ち衛兵と話す。

「竜騎士のガルだ。入場料はいくらだ?」

「竜騎士のガルだな。1000ゴルドだ。それとこの水晶に触れてくれ。犯罪歴を調べるものだ。」

この水晶はほぼすべての国が導入しているものだ。

犯罪者を出入りさせないための物ではあるがその基準は殺人をしたかどうか。

とはいえ依頼で間違って殺してしまった場合は依頼書と理由を話せば通れるガバガバなものだ。

だから我が国では利用していない。

変わりに我が作った水晶と魔法紙を利用している。

場所は国境。

大壁で国を囲んでいて入国できる場所は限られているからここのように都市や街にいちいち配置しなくても良い。

水晶にふれると殺人なら何々を殺した、となるし盗みやこれからやろうとしている悪事をも表示してくれるすぐれものだ。

だから入国できぬ者も多かったりする。

まぁこの我が犯罪等しておらぬので反応は起こらずお金を渡して入った。


因みに城の場所は知っている。

だが下地づくりにギルドに登録はしておくか。

帝王としては登録できぬからワクワクする。

ギルドに入るととても賑わっていた。

我が国よりもギルドが繁栄していることは知っていたがこんなにも…ともおどろいた。

大広間5つ分の広さにギュウギュウと冒険者がいるのだ。

我が国では大広間一つ分なのだがな…

受け付けに行き登録をした。

ランクはもちろん入りたてなのでF。

上に上がるためにはギルドの信用とクエストクリア量、そしてランクアップ試験。

ギルドの説明を受けて今日はギルドから出る。

とはいえレッドのことを預けてから。

ギルドでは竜やペガサスなどを預かってくれる施設があるのだ。


次に行くのは情報が集まる酒場。

酒場には情報が集まりやすい。

酔って口が軽くなる。

一番大きな酒場につくと昼間なのに人が多い。

ちゃんと話し声が聞こえてくる。

それに聴覚補助の魔法をかけてから聞き耳を立てながら思考読みをして情報を集めた。

(勇者を語った愚か者が居たらしいよ)

(王様の怒りに触れた子供がいるんだってよ)

(勇者の偽物、噂じゃ死刑にされるって)

(成人になったばかりの子じゃない?)

(親はどんな教育したのかねぇ?)

(勇者の紋章がないのに勇者と名乗るか?アホか?)

…怒りを抑える。

ブチギレて城に凸っても良いが流石に国同士の戦争に発展してしまう。

一番避けたい事を起こしてしまうかもしれない。

だから落ち着け。

勇者の紋章を隠しているがそれを解除するにはヴァルに直接触れなければならない。

侵入するもありだがそれでは騒ぎになってしまうかもしれない。

…処刑される…か。

その時に接触するしかあるまい。

さて、どう接触するか、誤解を解くか、計画を練らねばな。

宿を見つけ宿泊し考え込むことにした。


一晩考え、思いついたことは知名度を上げることだった。

この我の強さで有名にならないということはないだろう。

そしてここの王の目に止まり話すチャンスを得てヴァルに会いに行くのだ。

待っていろよ?

すぐに助け出してあげよう!


直様ギルドに行き依頼をこれでもか!と受けてさっさとでかけた。

周囲の者たちが笑っていたのだがなにか面白いネタでもあったのか?

まずは常設の薬草、毒草の採取とスライム、ウルフ、ゴブリンの退治だ。

鑑定で草の種類を判別し魔法で採取。

決して根ごと取らないのがコツである。

根ごと取ってしまうと次の採取するための場所がなくなってしまうからな。

そして探す間にスライムやウルフ、ゴブリンは音を立てていれば集まってくる低知能な奴らなのでさっさと倒す。

半日してギルドに戻った。


「報告しに来ました。」

「え?あ、朝出ていかれた方ですよね?ギブアップですか?」

「報告しに来ました!!」

報告といっただろう!?

ドン!と机に証拠の討伐部位や納品アイテムを出す。

「えええ!?こんな短時間でこんなに多くを!?」

これくらい朝飯前よ。

わざと遅くやってやったのにだ。

悪目立ちしすぎても悪いからな。

「ああ、その子に倒してもらったんですね?そして薬師とかを営んでいたのですか?すごい数ですね…。」

勝手に想像するな。

まぁ確かに鑑定等はレアスキルだ。

持っていないなどと勘違いされるのはあるかもしれぬが…

くぬぬ…どんだけ我を苔にすればいいのだ!?

全く低俗な奴らよ…


「おい、小僧!どんな不正しやがった!?」

は?不正?

「は?不正?」

おっと、声に出てしまったか?

「そうだよ!登録したばかりのガキがこんな早くにそんな数の依頼をこなせるはずがないだろ!」

うーむ…これでも遅くしたはずなのだが悪目立ちしてしまったか?

これくらい我の帝国ではこれより早く終えていたのだが…

アーガルドでは冒険者が多い割に質が悪いのか?

「全く不正などしていないですよ?故郷では薬師のおばあさんのお手伝いをしていたから慣れていただけです。それに薬草の生えている森はモンスターが現れるので自己防衛もしてきましたからレッドだけでは倒してませんよ?ほら、ちゃんと剣の切り傷があるでしょう?」

「ぐ、ぐぅ…。」

わかりやすい証拠を提示して絡んできたモブを黙らせ報酬を受け取った。

「ガルさん、本日の依頼で次のランクへ昇格することが可能になりましたが、ランクアップ試験をお受けますか?」

「む?もう良いのか?」

「FランクからEランクへの昇格資格は依頼を10個クリアすることです。最低ランクからの昇格ですからそんなに多くの依頼などは必要ではないんですよ。ランクアップ試験は筆記テストとなっておりますが如何でしょうか?」

「今からでも受けられるのか?」

「はい。低ランクのランクアップ試験は毎日行っておりますので。」

試験の詳細を聞いて受けることにした。

そして直ぐに受けて合格しEランクになった。


フフ、この調子でランクを上げて有名になっていくとしよう。

そしてヴァルを助けるのだ!

あまり時間が無いからそこらのモブたちはガン無視していくぞ!

言い負かされたモブが仲間を連れてきたが無視してギルドを出た。

待っているといいぞ!我が愛しの息子よ!

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