表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/25

グラドニアからの拒絶

 抱いていい。

「私が部屋にいるのに交尾されても困るんですけど」

 ミガサさんからの突っ込み。


「出て行ってください」

 ルーフェ


「じゃあ事前に別の部屋用意して起きなさいよ」

「予定外なんです!」


 まあ当日にお断りされるとは思ってなかったと思うんだけど。


「カイルみたいな奴がきっぱりはっきり、『この国でお世話になるのはなしだなー』と思うぐらいの対応しか出来なかったんだから諦めなさいよ」


「……で、でも! 貴族よ! この国で貴族って凄いの!!! それが分からないんでしょ!!!」


「私はビネスト公国行ってないから知らないけど、少なくともメタ公国は王様出てきて歓迎してたわよ」

 まあ、あれは詫びだと思うんですけど


 王様が出てきた、に顔が引きつるルーフェ。


「イレフルードも歓迎パーティーとか開いてたし。そら、あれに比べたら微妙だなーにもなるでしょ」


 まあそれはそうなんですけど。


「……だ! だったら! 私を抱いても……」「なんかイレフルードとかいう女は、取り巻きの女巻き込んで乱交オッケーにしてたよ」


 いや、そんなことまでは言われてはいませんで。


 でもミガサさんの言葉でなんかルーフェは納得したみたいに頷き


「……あの、クソビッチ……なにが、男には興味ないよ、嘘つき女」


「あれよりもビネスト公国がいい、とか言うなら実際よっぽどよくされたんでしょ? 諦めなさいよ」


「……あ、あんなチンチクリン女のどこがいいのよ!!!」

 チンチクリン。


 ミガサさんが不思議そうな顔してこっちを見る。


「……まあ、ハンローゼは……」

 性的魅力は殆どない。だからこそ

「付き合いやすいなーって」


 いや、一方的に誘われてるんですけど、正直そんな男女の仲になるほど親しいわけでもなく。


 特に学園に入るなり、いろんな女の子に誘われた僕には、一人の子とゆっくりと仲を進展させるなんてなかった。


 だからこそ

「ハンローゼは意志の疎通には時間がかかるけど、そういうところから始めてみたいなって」


 ハンローゼの意志疎通の難しさはむしろ、これからの関係構築という意味では望ましい。


「……うー! うー! でも!!! 一緒にいてほしいの!!! 宮廷魔導士になれそうなのよ!!! カイルがいれば!!! 私も家も! 出世できるの!!!」


「ここまで清々しいほど『お前は出世の踏み台』と断言出来るのも凄いわね 

「ルーフェは貴族で、僕は下民ですからねー」


 身分差は絶対的なもの。これが普通なんだよねー。

 貴族にしてくれる、となれば下民は泣いて喜んで当たり前。

 それが普通だとは思うんだけど。


「それでもハンローゼが出した条件がいいかなって」



 結局「王族の娘が正妻になり、身分は高級貴族となる」というハンローゼの提案には勝てないよね? ということでルーフェはうなだれながら納得した。


「グラドニアもとっとと終わらせましょうよ」

 ミガサさんは言いながら僕を引きずって歩く。


「いや、あの歩けますから」

「歩くのが遅いのよ」

 実際ミガサさんは歩くの速い。多分魔法使ってるんだろうけど。


「あなたの魔法媒体は凄いわね。全然疲労しないんだけど」

 手は握られているんですが、魔法媒体が発動してるのは気付かなかった。


「凄い能力ですね。僕にはよく分かんないです」

「それが悲劇なんでしょうね。師匠が言ってましたよ。決して人を幸福にはしない能力だと」


 少し同情するような顔をして

「ちゃんと決断させなさい、と師匠も言っています。自発的に決断したんです。もうそれで決まりでいいでしょ? どうせグラドニアにもロクな男いないでしょうし」



 グラドニア公国。

 ロミスニアとラウバイが転移先で待っていました。


「……そ、その」

 暗い顔をするロミスニア。


 およ、これは?

 後ろに立っていたラウバイが

「本当に申し訳ないけど。回れ右してどうぞ。残念ながらうちの国はまともな待遇は用意出来ません」


「……ぅぅぅうううっっっ!!! なんでよ!!! 国の馬鹿!!! エネビットも! メタも! ビネストも貴族の座を用意したんでしょ!? なんでうちはそれも用意出来ないのよ!!!」


 おお。なにか言う前に結論が出されていました。


「ごめんね。僕もハンローゼのビネスト公国にお世話になろうかと思って」


「それがいいわ。お元気で」

 にこやかに手を振るラウバイ。


「ラウバイ! 勝手に決めないで!!!」

「諦めが肝心よ。うちの国は無理でした。それだけの話だから。じゃあねー」



 結局グラドニアには転移しただけ。

 そのままビネスト公国に移動した。


「カイル! カイルー!」

 嬉しそうに抱きついてくるハンローゼに

「うん、ハンローゼ。お世話になるから。よろしくね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ロミスニアは本人が頑張ってただけに、ちょっとかわいそうかな? そういえば、人によってはクニにすげぇ居づらいとか帰りがたいとかなるんじゃ……がんばれ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ