イレフルードと豪華な食事
ミガサさんが付き添ってくれる事になりました。
「もうねむーーーーい。弟子よーーー、後は守れーーー」
とフラフラになりながらミラーさんは転移で帰った後に
「眠いじゃねんじゃ!!! いつも10日以上寝てんじゃねーか!!! たまには10日ぐらい起きてろよ!!!」
とミガサさんは転移でいなくなったミラーさんに怒鳴った後に
「もう! せっかくだから王宮でいい男を見つけるぞ!!!」
と張り切っていました。
イレフルードは既に開放されて僕を歓迎するパーティーというのを開いてくれました。
「色々あってごめんなさいね」
イレフルードの条件は「妻にはなれない。立場はあくまでも召使いか奴隷。その代わり待遇はとびきり良くする」
というもの。
イレフルードは、その「待遇の良さ」をパーティーで伝えてくれようとしていた。
それがまあ
「美味しい!!!」
こちとら宿屋の息子。
料理も作れますが、こんな美味しい料理初めて食べた。
甘い。甘い食べ物なんて貴族しか食べられない。
めっちゃ甘い。
「これはコースライチって言う果実よ。普通は貴族しか食べられないわね」
「美味しすぎる!!!」
にこにこしているイレフルード。
端から見たら「投獄までされたのに、甘味で誤魔化されてる」人なんですけどね。
でも美味しいし。
「呑気ですねー」
ミガサさんが呆れた顔。
「どんどん食べてね。あなたに喜んでもらうために色々準備したのだから」
夜。
「ひろーーーい!!!」
お風呂。
グリモアの学園は魔法使いが常にいるので、割と有り得ないのだが毎日お風呂に入れる。
でも集団でみんなで入るし、時間も短い。
ここは広い! 時間制限もない! なんて贅沢!
「言っておくけど、これは今日だけではないわよ?」
後ろからイレフルードの声。
「……え?」
薄着を纏ったイレフルードと、同じ学園生の生徒。
「イレフルード様! カイルと一緒にお風呂とか恥ずかしいです!」
まあそらそうだよ。そもそも僕は全裸でしてね?
「慣れなさい。ファーミル。身体を洗ってあげなさいな」
「えーーーーーー!!!」
取り巻きの一人ファーミルがめっちゃ嫌そうな声を出す。
「また説明させるつもり? カイルはこの国に必要。私の家にとっても重要なの。カイルに慣れて。彼を喜ばせて」
ファーミルはちゃんと服は着てる。でも濡れてもいい薄着。
むしろ興奮するんですが。どうしよう。
「あの、イレフルード。別に無理にとかは……」
「そうね。無理矢理されても困るだけだものね。ごめんなさいね。カイル」
そう言うと
「わっ!!!」
「イレフルード様!?」
イレフルードが後ろから抱きついてそのまま布で僕の身体を拭いていく。
「ファーミルが出来ないなら私がやるわ。だってカイルは大切なお客様なの。これ以上粗相があっては、私のプライドが許さないの」
あの、胸が。胸がぴっとりと。
「やります! やりますから!」
ファーミルが半泣きで引き剥がす。
「カイル、そのうちみんな慣れるわ。期待していてね」
結局お風呂ではファーミルが洗ってくれて終わり。股間は無視してたけどしょうがないね。
「部屋もひろーーーい」
ビネスト公国の部屋もすごかったけど、ここは別格。お布団がふわふわ。
「随分満足そうで」
ミガサさんが部屋に入ってくる。
「思ったより良かったです」
「身分が低い分、待遇はしっかりやるって事だからね。あと、なんか今回のトラブルで、イレフルードが望めば婚姻も可能にするみたいよ」
「うそ!?」
ハンローゼの条件があるから勘違いしそうだけど、基本的に貴族の女性は、貴族以外とは結婚しない。
ハンローゼに関しては殆ど「追放」に近い形が取られる。だから王族としての身分が無くなる。
「師匠とリグルド様とメイルさんのお墨付きだから。あの3人が推薦したらどこの国でも貴族になれるわ。だからメタ公国もそれを考えてるみたいね。今イレフルードが大騒ぎしてる。そろそろ来るんじゃない……」
言ってる途中に
『バンッッッ!!!』
「聞いて! カイル! 両親と国から許可が出たわ!!! 今回の償いも含めて、あなたが望むならば貴族の座を与え、私との婚姻もゆるされるって!!!」
見たこと無いぐらい笑顔でハシャぐイレフルード。
「ずこいわ! カイル! 是非来て! ねっ!」
抱きつかれる。
うーむ。
「はいはい。目の前でいちゃつかない。カイルは後二国見てから決めるって言ってるからね」
なんかイレフルードは同じ部屋で寝ようとしてたみたいなんだけど、ミガサさんに追い出されていた。
「いい男が全然いない! 次の国にサクサク行くよ!」
ミガサさん、凄い人のはずなのに凄くない。
「いい男って」
「もういい年齢なの! そろそろ結婚したいのに!!! 釣り合う男がいない!!!」
釣り合う男……?
「世界最高の魔法使いであるミラーさんの唯一の弟子で、塔の教師。そんな人に釣り合う男性って……?」
僕の言葉に
「……おお」
ミガサさんが頷いて
「……そ、そうよね。師匠は王様と同格レベルなんだから、唯一の弟子もそれに準じた男……となると、そらいないわ」
納得されました。
「それではお休みなさい」
ミガサさんはどこで寝るんだろ?
そう思ったが僕はそのまま用意されたベッドで寝た。




