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第1話

 リオンという少年の惨状を見届けた少女はそのまま気を失ってしまい、そのままというわけにももちろん行かず。


 決着をつけると言ってベイクはセキレイに、少女をレアとアルフレイの居る雑貨屋まで連れて行くようにと命じた。


 無論すんなりとセキレイがそれに賛成するわけも無かったが、危険な場所に無防備な人間を置いて行くのが最善かと問われてしまうと、如何な跳ねっ返りの鉄砲玉とは言え肯くしかなかった。


 そして今彼女は件の建造物を脱出し、荒れ果てた街を駆けていた。言うことを聞く褒美にとベイクが伝授した人の運搬法を以て少女を肩に担ぎながら。


「片手が空くのは良いが、女の子を運ぶやり方なのか……?」


 やり方は簡単なもので対象の脇に頭を通し、そのまま肩に担ぐと対象の片脚を片腕で押さえつつ、その手で対象の片手を掴むだけである。


 担いだ対象を片腕のみで固定できるので、これならば道中襲われても対処できるだろうとベイクは言うが、格好が豪快過ぎてセキレイはどうにも恥ずかしく感じてしまうのであった。何より少女にも悪い。


「つくまで起きないでくれ……」


 切に願いながら、一度振り返り依然としてそびえ立つ建造物を見上げるセキレイ。


「シショー……」


 きっと大丈夫だと。ベイクならばなんとかするに違いないと信じつつも、やはり心配はしてしまう。この頃の彼の雰囲気にはこれまでに無い何かがあるようにセキレイには思えるからだった。


 引き返したい気持ちを、それでも彼女はベイクからの頼みと少女を助けなければならないと言う己の正義感でなんとか抑え込み、セキレイは再び前を向く。


 そんな彼女の前には蟲に寄生されたと思しき街の住民や異端審問官がふらふらとその姿を現し、空いた片手に彼女は剣を構えた。


「こっちは任せろ、シショー。だからシショーもゼッタイ勝って戻ってこい!」


 突破のみを考え、セキレイは以後、絶対に足は止めまいと誓う。そして彼女の体を稲妻が駆け巡り、それと共に一気に走り出す。


 閃光が闇に瞬き、怪異の声と剣戟。そしてセキレイの雄叫びが木霊した。

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