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第2話


 ――約束をした。

 レアが無限の魔女(フェス・ティマ)として名を馳せる以前のことである。


 かつて世界を、人々を邪竜フォウグの恐怖から解き放つべく立ち上がった勇者ベイク。


 かくしてフォウグを打ち倒し、英雄となった彼と出逢ったまだ正真正銘少女だった頃の彼女はそんな彼に想いを馳せ、悪魔退治と言う新たな世界救済のための戦いの仲間に加わった。


 その内に更に増えていった仲間たちと共に、し烈を極めたサタンとの戦いを征したベイクとレアたち。しかしベイクはそんな彼女たちを残し一人、地獄の門へと飛び込んで行った。世界を救うために。


 ――約束をしたのは、その時のことであった。


 必ず戻ってくるとそう言ったベイクを、いつまでも待っているからと、彼女はそう約束したのである。


 ベイクの犠牲により、かくして世界は再びの安寧を取り戻し、英雄がその姿を地獄門と共に消してから数百年にも及ぶ長き時が過ぎた。


 人にはあまりにも長過ぎる時間だ。

 時代は移り変わり、かつての仲間たちは英雄はその役目を逐えたのだと彼の者の帰還を諦め、そして死んでいった。


 代を成した者も居れば、そうでない者も居た。

 しかし引き継がれたその血も、時間が経つにつれ途絶えるか何処かへとその行方を眩まし、そして遺されたのはただ一人、ベイクとの約束のため自らの時を止めたレアだけだった。


 彼女にその魔法を可能としたのは他でもない、彼女をその狂気とも言える長き時の中に生かしたのは他でもない。


 それはただ一つ、ベイクとした約束であった。


 想いは募り、膨らみ、そして誰しもが諦めていた彼の者の帰還に際し、もはやそれを抑えつけることは彼女自身にも不可能であった。


 彼女を蝕んだ幾百年の狂気が遂に明けたのだ。

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