第65話:それぞれの交流
第65話投稿致します。
※「☆★☆★☆」マークの部分ですが、「小説家になろう」と他サイトに投稿している分で描写、視点を変えております。ご興味が御座いましたら他サイトでの描写もご覧頂ければと存じます。
「ファッファッファッ! あの気難しいリムクスによくそこまで気に入られたもんじゃ! 勇者と名乗る者ががあんな輩だったのでな、此度は随分と質の悪い勇者がやってきたものだと溜息を禁じ得ない気分じゃったが、なかなかどうして……お主はいい感じじゃないか! これなら王女たちの態度も頷ける」
「……あの男と一緒にはされたくないので、そう言って頂けると有難いですね。同じ勇者の候補としては……本当に恥じ入るばかりなので」
会議の席を後にする際、話しかけてきたドワーフ……ベルト王だったが、思い出したようにリムクスから渡されていた手紙一式を取り出すと相手の反応がガラリと変わった。余りの変わりように隣にいたユイリは呆気に取られるほどで、結果そのまま彼の与えられていた部屋にまで招待される事になったのだ。
「そのように謙遜する事もあるまい。ふむ……、なかなか面白い武具を開発しとるようじゃな。ストレンベルクでの鋳造も侮れんようじゃ。新天地を求めてと国を出たリムクスたちじゃったが、この様子では快適に過ごしているんじゃろう」
「手紙の他に預かってきたのですが……、それは鉱物……でしょうか?」
簡易の収納袋から出てきたものは、火酒? の入っているらしき瓶にそのツマミになりそうな食べ物……。そして、幾つかの鉱石と思われる色とりどりの物体をベルト王が手に取りその状態を確認していた。
「うむ、ドワーフ族の手で加工した鉱石じゃな。……なかなか純度も高い良い石じゃ。ストレンベルクで採れた石なのか、他の国より手配したのかは分からぬが……リムクスめ、随分と腕を上げたようじゃな。彼奴の得意気な顔が目に浮かぶわい……」
「リムクスさんには随分お世話になってます。あの方にメンテナンスして頂いたお陰で……数々の局面を切り抜ける事が出来ました」
刀を扱う前に愛用していたミスリルソードしかり、宗三左文字も彼に手入れして貰っていなければ、今までの戦闘で破壊されてしまっていてもおかしくはない……。特に先日のカオスマンティスとの戦いにしたって、奴の猛攻を受け流すたびに何時折られていてもおかしくなかったのだ。ベルト王に一言ことわり、『左文字』を抜いてみると……かなりの刃こぼれが確認できた。
「……やっぱり大分武器を消耗させてしまったみたいだ。まだ前回のメンテナンスから日も経っていないのに……、それだけ危険な相手だったという事か……」
「むう……、これがたった数日でこうなったじゃと? ……別に妙な扱い方をした訳でもないようじゃが、よっぽどの相手と戦ったんじゃな。大方、会合に遅れた事に関係があるようじゃが……」
ベルト王は僕の刀の状態を見て唸っていたが、やがてひとつ頷くと、
「よし、ならばお主がここに滞在する間、リムクスの代わりにワシが武具のメンテナンスをしてやろう。なあに、奴が腕を上げたとはいえ、まだまだワシには及ばんわい。大船に乗った気持ちでいるんじゃな!」
「え!? 王様自ら武具の手入れを……!? そ、そんな恐れ多い事……! だ、大丈夫です! 僕も一応、鍛冶師としてメンテナンスする事が出来ますから……! まぁ……ドワーフの方々に比べると、本当に初歩的なものでしかありませんけど……」
「遠慮はいらん。それともなんじゃ? ワシの腕が信用できんか?」
「そんな事はっ! ……わかりました、ベルト王さえ宜しければ是非お願いしたいです……。僕の腕では、左文字を元の状態に戻す事は難しいでしょうし……」
これから例の大会に臨まないといけないし……、出来れば万全の状態で挑みたい。結局、和の国のセリカ様は僕の提案を受け入れてくれた。件の転移者は和の国における最高機密の人物のようで、セリカ様にお目通りする以上に難しいらしい……。『正宗』の返還を条件にあくまで彼の意向もあるという事だが、会う段取りはとってくれると女帝自らが約束してくれたのだ。そうなれば……、例え大会がどんなに過酷でも優勝するしかない……!
「フォッフォッフォッ! まあワシに任せておけ。折角じゃし、色々と聞きたい事もある。機密のようなモンには触れぬから、差し支えないところは教えてくれ。特に……手紙にはお主は火酒や料理の事に精通しとると言うではないか? ワシらドワーフにとって、酒とそのツマミには並々ならぬ思いがあるんじゃ。是非、聞かせて貰いたいもんじゃな」
「わかりました、僕の知っている事で宜しければ……」
「そうこなくてはな!」っとばかりに大笑いするベルト王。何にしても、彼にメンテナンスして貰えるのは有難いし、近くでその高度な技術を学ぶことも間違いなく今後に生きてくる……。笑うドワーフ王を肩を竦めて見ているユイリに、僕の接待係となっているシャロンさんが恐縮している中で……、気のいいベルト王と交流を深めていった……。
「すみません、シャロンさん……。貴女にまで付き合わせてしまって……」
「いえ、私の事は貴方様に仕える侍女のように扱って下さって構いません。それが私のお役目でありますので……」
シャロンさんはそう言うが……、ユイリの話によると彼女は相当高貴な家の出の令嬢のようだ。本来ならば、こんな風に侍女の様に連れまわしていい人物ではないらしい。上の人間はあんな感じだが……、何のかんの言ってもイーブルシュタイン連合国として勇者を歓待しているという事、……なのだろう。
「それよりも……本当に申し訳御座いませんでした。我が国の皇太子が、まさかあのような事をなされるなんて……」
「……国としての謝罪、というのならば要らないわ。貴女に謝罪して貰っても、当の本人が何とも思っていなければ意味が無いもの」
「まぁ、シャロンさんに反対されてもそのまま退席されちゃうくらいだしね。こういう場でホスト側が席を立つって決裂を意味するんじゃないかって思うけど……、自分たちが何をしても許されるとすら思っていそうだし……」
僕とユイリがそう指摘すると……、シャロンさんは恥ずかしそうに顔を伏せる。
「そもそもの話だけど……、シャロンさんはどうしてあんな横暴とも言える命令に従ってるの? いくら皇太子だろうと……別に国のトップという訳ではないのでしょう? 貴女自身、良家の出身のように思うんですけど……。やっぱり、皇族だから逆らえないんですか?」
「……勿論、次期天皇となられるアーキラ殿下を敬わなければ……というのはありますわ。そして、私は皇太子妃となったお姉様を補佐するようにも申し受けております。此度の勇者候補者様は二人……。流石にお姉様お一人で対応されるのは難しいと判断され、私もその任に就く事に……」
「……少なくとも、ストレンベルクでは貴女こそがアーキラ皇太子のイーブルシュタインでの婚約者と伺っておりましたわ。外交上での絡みからレイファニー殿下に婚約の打診があった時には既に皇太子妃教育を受けられておられた筈です。それなのに、何時の間に変更に……」
ユイリの言葉に、シャロンさんは一瞬悲痛な顔を浮かべるも、直ぐに表情を戻し、
「…………アーキラ殿下との婚約は解消されました。アーキラ殿下曰く……、可愛げのない私よりもイーブルシュタインの花と謳われるお姉様との方が華がある、と……。それに同じフィレンシュ家から娶るのだから面倒も少ないと仰られ……」
「…………は!? 何それ? そんな事が許されるの……?」
「許される筈御座いませんっ!!」
シャロンさんの余りの境遇に言葉を失っていると、別のところからそんな言葉が飛んでくる。見ると薄い青緑色の髪を背中まで靡かせながら、ドレスの裾を抑えつつ早歩きでこちらに来る女性の姿が……。僕らの下までやって来ると軽くカーテシーにて挨拶をすると、
「話に割って入るご無礼、どうかお許し下さいませ。ワタクシはアストレア・リオネヌームと申します。他国の方とお見受け致しますが、何卒シャロン様を……」
「アストレア、やめなさい!」
令嬢の背後からさらに声が掛かり……、壮年の男性がやって来る。
「お父様……」
「シャロン嬢、お仕事中に娘が引き止めてしまい申し訳ござりませぬ。そちらは……ストレンベルク王国のシラユキ公爵家のご令嬢でいらっしゃいますか? ともすれば、隣におられる方はかの勇者殿であらせられますかな?」
「パラスティン議長、ご無沙汰しております。アストレア嬢も、久しぶりですね。前にお会いしたのは……学園を卒業した時以来かしら? ご推察の通り、シラユキ公爵家のユイリ様と……、召喚された勇者候補でいらっしゃるコウ様ですわ。こちらはイーブルシュタインの最高評議会議長のパラスティン殿と、そのご令嬢アストレアさんです」
シャロンさんより紹介され、僕は挨拶で応えながら、
「ところで、先程アストレアさんが言い掛けた事ですが……」
「……他の国の方々に我が国の恥を晒すようで申し上げにくいのですがね。それに……シャロン嬢、よろしいのですか?」
「……構いませんわ。もう既に起こってしまった事です。今更事実を隠す必要もありません」
「本当に殿下たちはシャロン嬢の事を何だと思っているのかしら……! コウ様、ユイリ様……、聞いて下さい……!」
そうしてアストレアさんから聞いた話は……正直耳を疑うレベルの内容だった。はじめはあのアーキラ皇太子の婚約者に内定していたシャロンさんだったが、ストレンベルク王国で招待召喚の儀が執り行われたと聞くや否や、一方的にかつ公衆の面前で彼女との婚約破棄を申し渡したという……! しかもその理由というのが、シャロンさんがストレンベルク王国への働きかけを上手く進めなかったからレイファニー王女との婚約の内定が棚上げになってしまったという意味不明なもの。挙句の果てにはシャロンさんは実家においてもわざと不利益を齎し、家族には当たり散らすは妹は虐めるはとイーブルシュタイン連合国に叛意ありと断罪され、あわや国外追放か最悪処刑される事態にまで陥ったとか……。
「……シャロン様を知る私達からすれば、どれもこれも言い掛かりに近いお話でした。ですが、それがまかり通る異常な事態で……、証拠も無くあちらの証言のみが真実ととられてしまって……、結果シャロン様は拘束されてしまったのです」
「いや、おかしいでしょう!? そんなに皇族の力が強いんですか!? いや、それとも僕が知らないだけで、貴族世界の中では普通に起こり得る事なのか……?」
「安心しなさい、コウ。貴方の感覚は極めて正しいわ。……こんな事がストレンベルクで起ころうものなら、国として立ち行かなくなるでしょうから……」
ユイリがそのように補足してくれた事で、今回この国で起こったものは明らかに異常な事件であるとわかりホッとする。僕は少し冷静さを取り戻し、パラスティン議長に向き直ると、
「……この国って確か共和制をとっているという事でしたよね? 先程も最高評議会と言ってらっしゃいましたし、そんな横暴を止める事だって出来たのでは?」
僕がそう言うと、パラスティン議長は苦汁をなめたかのような表情で、
「勿論、皇室が好き勝手に出来る訳ではありません。実際に天皇を決めるのも議会の決定が必要ですし、天皇が何かを推し進めようとしても議会の存在は無視できません。しかし、それが起こってしまったのです。皇太子の暴挙ともいうべきソレが起こり、我々が把握した時には既に手遅れの状態で……、他国への醜聞も考えて婚約者をシャロン嬢から姉君であるアマンダ嬢へと移行し、あくまでフィレンシュ家の内輪揉めという体裁をとったのです」
「……仮にもレイファニー王女殿下との婚約の話も出ていた我が国に一言もないというのは如何なものかと思いますわね。外聞というのも分からないでもありませんが、それが判明した際貴国の信用が著しく損なわれると思いますが? 事実、私のイーブルシュタイン国に対する信頼は地の底です。この事をレイファニー殿下がお知りになったら、同様の事になるかと存じますが……?」
僕の気持ちを代弁するようにユイリがパルスティン議長に問い掛けると、彼は一層項垂れてしまった。
「…………返す言葉もありません。いえ、議会でも今回の件を重く受け止め、アーキラ殿下の皇位継承権、皇太子称号の剥奪も検討されたのです。しかし……、明らかに皇室の息が掛かっていると思われる者達が評議会のメンバーに多くいるようで……、結局アーキラ殿下は皇太子のまま事実上のお咎めなしとなり、シャロン嬢も証拠不十分で刑罰をお与えるといった事は避けられたのですが、冤罪を晴らすまでには至らずにアーキラ殿下の希望通り婚約は白紙となり、イーブルシュタイン連合国への叛意が無い事を証明させるといった理由によって、天皇陛下とは齢の離れた皇弟殿下の婚約者へと強要される結果となった次第です……」
「……本来、評議会は皇室とは一定の距離を保ち、それぞれに権力が集中しないよう分離して考えねばならないのに……。本当にこの国の者として恥ずかしい限りですわ。いくら殿下とシャロン様のご実家であるフィレンシュ家が強く望んだとしても、このような暴挙を……。結局はシャロン様を今まで通り政務に縛り付けるという意図があるのでしょうけど、いくら何でもこれは……」
「私を案じて下さるアストレア嬢のお気持ちは嬉しく思いますわ。幸い、シーゲル皇弟殿下は私に同情的で……、良くして下さってます。尤も、本来お姉様が為さるべき皇太子妃としての職務を押し付けられている事もまた事実ですが……」
…………取り敢えずこの国が、イーブルシュタイン連合国が出来るだけ関わり合いになりたくないヤバいところだという事がこれでハッキリした。とはいっても既に『天下無双武術会』に参加すると表明した以上、最低限関わらなければならないが……。
「やれやれ……、確か僕の他にレンも出場資格は有しているって事だっけ? 元『獅子の黎明』の団長で、名前も知られていたって言うのに大丈夫なの?」
「あの大会は強者登用も兼ねているようだから、国に仕官しているかどうかが大事なのよ。……貴方も所属している『王宮の饗宴』はストレンベルク王国の秘匿組織。レンは表向きには冒険者から引退した体になってるわ。あまけにシェリル姫と同様、この国にも秘密裏に入国してる。出生を洗われる心配はないわ」
「……私がお伝えする事ではありませんが、呉々もお気をつけ下さいませ。回数を重ねるごとに被害や犠牲も多くなっている大会です。昨年はかなり女性にとってかなり悲劇的な事も起き、今年は女性の参加は禁止されてしまった程ですので……」
……うん、碌な大会じゃない事はあの後、各国の出席者から聞いたからわかってはいるつもりだよ。いくら和の国とコネクションを得たいと思ったからとはいえ、少し早まったかな……? そんな僕たちの会話を聞いていたアストレアさんが、
「まぁ、あの野蛮な大会に……!? あれは去年で廃止すると決まっていたのではありませんの……? お父様……」
「……アーキラ殿下が何処からか目玉となる賞品を手配してしまったのでね。その事もあって、今年も主催されることとなったのだ。……失礼ですが、コウ殿も参加されるのですか? あの大会は最早格式も何も無い、ただの暴力自慢を謳うものに過ぎません。事態なされた方が賢明かと……」
「……ご忠告は有難く頂戴致します、パルスティン卿。ですが、既に参加は決定事項なのです。申し訳ありませんが、辞退するという選択肢はありません」
もう既に和の国のセリカ様とは交渉してしまっている。今更やっぱり辞めるなどと言い出せる筈も無い。
「此方を案じてくれる方がこの国にいらっしゃったのは僥倖でした。僕が見てきた人たちは酷いものでしたからね。パルスティン卿やその心を同じくした方々がイーブルシュタイン国を憂い、心を砕いて下さるなら……、いずれは変わっていく事でしょう。そうなる事を、僕は願ってやみません」
こんな無責任な事しか言えないけど、パルスティン議長達には頑張って貰うしかない。現時点においてこの国の皇太子は全く信用できそうにないのだ。他国の王女であるレイファニー殿下への振舞いや、婚約者だったシャロンさんへの処遇、『正宗』を巡る和の国への対応にも不信感しかない。
「……そう言って頂けるだけで有難い。この国で何か不都合な事がありましたら、何時でもご連絡下さい。何が出来るかはわかりませんが、リオネヌーム家として力となりましょう」
「そう言う事なら、ユイリ……」
「……ええ。実は侍女や使用人の事でお願いしたい事があるのですが……」
そう言ってユイリが懸念だったシェリルの侍女の件をパルスティン議長やシャロンさん達に伝えていく……。そして一通りの事を話し合い、僕らは待っているであろうシェリル達の下へと戻るのであった……。
☆ ★ ☆ ★ ☆
「あああっ! あのクソ共がぁっ! ふざけやがって……っ!」
ほぼ強制的に会議の場を退席させられ、オレは与えられた部屋で苛立ちを隠せずにいた。
「どいつもこいつも……っ! オレ様が勇者だって事をわかってねえのか、アイツらはっ!? マジでイラつくぜ……っ!!」
あの糞ドワーフもそうだが、特に腹立たしいのは元デブでハゲのかませ犬だ……! オレと同じ勇者候補だなどとほざきやがっただけでは飽き足らず、オレがかけてやった恩も忘れて歯向かいやがるとは……っ!
「大体、あの女も何なんだ!? ベアトリーチェの奴、オレの専属の分際で……敵にまわりやがっただと!? この場にもついてこねえし一体何考えてやがる!?」
ああ、本当にむしゃくしゃする……! ここにベアトリーチェが居ればあいつにぶつけてやるんだが……、行き場のない怒りはそのまま部屋に整えられていた調度品に当てられる事となり……、古びた壺が大きな音を立てて割れると辺り一面が悲惨な状況となった。
唯一部屋に居たエリスがそれを片付けようとして……代わりとばかりに彼女を抱き寄せる。抱き心地はいいんだが……如何せん胸のボリューム足りず、何処か満足感が得られない。
……何でこんなに上手くいかない? オレは、選ばれた者の筈だ……! 何て言ったって、オレは勇者だぞ? 何でオレを優先しない? あの王女は、どうしてオレを受け入れないんだ……!?
「ジェシカの事もそうだが、何でオレが我慢しなければならねえんだ……っ! あの時だって、本当であればオレの手中に納まっていた筈なんだっ! それなのにっ……!」
どうしてこうも上手くいかないのか……。オレは千載一遇のチャンスであった筈のあの時の事を思い出していた……。
マリアベーラとの逢瀬の後、ジェシカの他に付けていた使い魔からの連絡が入り、オレは夜の王都に身を潜めていた。ちょうど目の先には……ターゲットの女と冒険者らしき男がいる。彼氏なのかどうかは知らないが、場合によっては排除すればいいだけの話だ。だが、見たところによると二人は家に到着する前に別れるみたいだった。それならば、女が一人になった時を狙えばいい……。
NAME:サーシャ・リンスロート
AGE :21
HAIR:亜麻色
EYE :ロイヤルショコラ
RACE:ヒューマン
Rank:25
身長 :163.4
体重 :46.3
スリーサイズ:93/56/88
性の経験:処女
JB:コンセルジュ
JB Lv:20(MAX)
HP:71
MP:77
状態:悲哀
耐性:混乱耐性、魅了耐性、ストレス耐性
力 :28
敏捷性 :45
身の守り:26
賢さ :179
魔力 :94
運のよさ:42
魅力 :180
(クククッ、目を付けただけあっていいオンナじゃねえか……! カラダもグラマラスでナイスバディという事なし! ギルドの受付嬢をさせとくなんて勿体ねえ……。オレ専用の秘書にして存分に可愛がってやるからな……!)
『評定判断魔法』で確認したデータにふるいだちそうになるの抑えつつも舌なめずりをする。光源氏計画として囲う予定だったジェシカはとられてしまった為、その時の失敗をを活かすべく、オレはあの受付嬢を拉致して秘密裏に監禁するつもりだ。行方不明という事にしてしまえば、オレの関与云々と言われる事も無い……。何か言われてもしらばっくれればいいだけだし、空間スキルの『プライベートルーム』に閉じ込めていれば誰にもバレる事はないのだ。
(女の状態から見ても、恋人同士って訳ではないようだな。男の方は命拾いしたって訳だ。じゃあ彼女の事は慰めてやらないといけないな! 処女であるようだし、先ずは男の温もりというものを教えてやるとするか……グシシッ)
むしろ、勇者のオレに選ばれるのだから光栄に思って貰わないとな。まぁ、二度と外へ出すつもりはねえし、その豊満なカラダでオレを暖める……いわば慰み者として貢献する事となる訳だが、世界を救う事になるオレの性奴隷だったらそう悪い話でもあるまい。
さて……、二人はもう別れたようだし、一人になったターゲットを確保……もといお迎えに上がるとするかな? どう可愛がってやるか……、捕まえた後の状況を想像し、彼女の服の下にどんな淫らな体が隠されているのだろうかと妄想したところで、
「……おっと、妄想している場合じゃねえな。これからたっーぷりと本物のカラダを堪能する事になるんだ。この機会を逃せば今度は何時になるかわかんねえし……。行くとするかな」
先程までの妄想を振り払いながらも、実際の感触は如何ばかりか、早く彼女の味を見てみたいとワクワクしながら、それでも一歩ずつ確実に距離を詰めていく……。しかしあと一歩というところまで来た時、ゾクッとする感覚が自分の身体を固まらせる。
「!? 殺気だと!?」
オレの『危険察知』の能力が発動し咄嗟に身を翻すと、さっきまでオレが居た場所に小刀のようなものが突き刺さった。急所を狙われた訳ではないようだったが、それでも当たり所が悪ければオレは……!
ふざけやがってとばかりにギリッと唇を噛みしめて、小刀が飛んできた方向に目を遣るも、首謀者の姿は確認できなかった。いや、一瞬見えた影は……女?
「…………誰?」
(クッ、拙い! この場は身を隠さねえと……っ!)
物音に気付かれたのか、サーシャが訝しげに振り返ったのを見て、オレはこの場からの退却を決めた。向こうからもサーシャお嬢様などと此方にやって来る気配も感じる。……どうやら今回はここまでのようだ。
(糞っ! 誰だ、こんな真似をしやがったのは……! オレの邪魔をしやがって、覚悟は出来てんだろうな……っ!)
とはいっても既に相手の気配は感じられない。むしろ気配自体、あの一瞬しか感じられなかった。オレを阻もうと殺気とともに投擲してきたあの一瞬でしか……。だが、先程の女……何処かで会った事があるような気が……。
「どちらにしても……タダじゃおかねえ……! この礼は後でたっぷりしてやるから……覚えていろよ!!」
あの時の屈辱が蘇ってくると、ますます憤りが抑えきれなくなってくる。
「何で誰もかれもが邪魔しやがる! オレを一体誰だと思ってんだ!? オレ様は勇者だぞ!?」
「……どうやら荒れていらっしゃるようですね。折角整えた調度品も台無しじゃないですか。その壺ひとつにどれくらいの価値があるのかご存知でいらっしゃいますか?」
そんな声と共に部屋に入ってきたのは……、この国の皇太子だというアーキラだ。
「おい、皇太子さんよぉ! オレを会合から締め出したのはどういう了見だ!?」
「あのまま会合の場に居続ければ戦闘は避けられなくなっていたじゃないですか。下手したら世界中を敵にまわす事になりますよ。兎に角……落ち着いて下さい。代わりと言っては何ですが、こんな趣向は如何です?」
そう言ってオレにあるリストを差し出す。それは……、
「この皇都で結婚する予定の花嫁のリストです。ご興味があれば、その前に身柄を抑えさせましょう。後はトウヤ殿の好きになさって下さい。新郎の前にそのカラダを一夜の至福として愉しむも良し、気に入ったならそのまま性奴隷にでもしてしまえばよろしいでしょう。なーに、誰にも文句は言わせません。何せ、これは勇者殿の心の静養に必要な事でありますからな」
「……そうだな。やっぱりアンタはわかってんな」
アーキラ皇太子の申し出に苦笑しながらもその提案は有難く受け取る事にする。サーシャやジェシカ程とはいかずとも、パッと見た限り上玉もいるようだしな。
……コイツは何だかんだでオレの事を理解している。きっちりとオレを勇者として配慮してくる。他の馬鹿どもにも見習わせたいところだ。最初、レイファニー王女を婚約者などと言うアーキラを排除してやろうと思ったが……、話してみると中々わかる奴だった。
(あくまで婚約者……。実際にストレンベルクと交わる為に必要であっただけで、実質はオレに渡す、と……。尤も、一夫多妻でコイツ自身のちの後宮としてハーレムも持っているらしいが……、そう言う事なら呑み込んでやってもいい。事実、最初にリストをあげてきた事からも、コイツは勇者に対する心構えが出来てると考えていいからな……)
オレ以外がハーレムを持つというのは気にくわないが……、一応次期王になる人物だ。オレへの心付けも忘れてないようだし、仕方がないから許してやるか。その気になればどんな女でも手配して見せるとばかりにマリアベーラも話していた例の歌姫が捕まっていた時の淫らな姿が撮影され収められたピンクブック……、早い話が裏社会の販促スフィアを渡してきたりと随分好意的だし、な……。
「まぁ、見ていて下さい。直にトウヤ殿こそが真の勇者であると、それが皆に周知される時がきますよ。事実、貴方はこれほどまでの実力を有している訳ですからな。レイファニー王女たちもそれが分かる事でしょう」
「ふん……それならムカつくが、今はアンタに免じて引き下がっておいてやる。その代わり、ここにあるリストの女は全員大至急手配してくれ……」
「フフフ、仰せのままに……勇者殿」
……とりあえずはアーキラに渡されたリストの女で満足しておくか。そっと溜息を漏らすエリスが視界に入ったが今は特に気にする事なく、この女たちでどう愉しむかという事を妄想するのだった……。
――同時刻、自分に与えられていた部屋にて――
「ユイリ!? こ、これは一体、どういうつもりだ!?」
「貴方は黙ってて。……わかっているわね?」
「……ええ」
僕の部屋にレン達を連れてきて、アルフィーにはまだ早いとばかりに一時的に部屋を追い出したかと思うと……、ユイリはロレインに何らかの指示を出した。すると……、ロレインはなんと自分の羽織っていたローブを脱ぎ捨て、その下に纏ったボンデージファッションともいうべき黒いレオタード姿を見せつけてきたのだ。急な展開に動揺しながらも、僕はユイリに問いただす。
「な、何を考えているんだ、ユイリッ! どうして彼女にこんな真似をさせる!?」
「こんな真似って……見ればわかるでしょう? 彼女に『責務』を果たして貰う為よ。当然の責務を、ね……」
ユイリは何でもないようにそんな事を宣う……。せ、責務だって……!? こんな時間にか!? しかも、子供のアルフィーは追い出して……!? 流石に何をさせようとしているのか、理解できない自分でもない。でも、だからと言って……、一体どうして……!
「因みに彼女は納得しているわ。何でも、あの男の性欲の処理は彼女も担当していたらしいから、そんな葛藤する必要はないわよ?」
「……ユイリ様の言う通りです。私の事は好きにして構いません……」
彼女はそう言って……上目遣いで僕達を見つめてくる。何か……妙な気分になりそうだ。隣にいたジーニスがゴクリと唾を呑み込んだのがわかる。ウォートルは目の前の状況に頭がついていっていないのか、ただぼーっと惚けているように思えた。……その気持ちは凄くわかる。
固まっている僕達を尻目に、レンが一人前に出て来ると……、
「……っ」
「レン!? お前まで何を……っ!」
「何をもなにも……ユイリが言ってたろ? これが彼女の責務だと……。なら、やる事はひとつだろ?」
「だ、だからと言って……っ!」
非難するように呼び掛ける僕に対して、レンはやや呆れたようにそう返してくる。そんな姿になった彼女に応えるようにレンは……! 僕達はその状況をただ見守るしかなかった。しかしユイリは、
「ほら、コウ……。貴方も見ていないで加わりなさい? 何時ぞやレンと娼館に行こうとしていたでしょうに……。彼女の事は心配しなくていいわよ? ちゃんと問題がない事は確認してあるから。だから、もし我慢できなくなったら……最後までしても構わないわ。魔女としての力は失われるでしょうけど……、そうなったところでストレンベルクとしては何も問題はないし、万が一彼女が叛逆をを企んだ時の力が無くなる事はむしろ都合がいいんじゃないかしら」
「ユイリの言う通りだぜ。彼女も受け入れてる以上、遠慮はいらねえよ。お前、ずっと溜め込んでるみたいじゃねえか? そんなんじゃお前……、何時不覚を取るかわかんねえぞ? 勇者として誰でもいいって訳にはいかねえなら……、尚更彼女の事は抱くべきだと思うぞ? これから何があるかもわかんねえ胡散臭い大会に出なきゃなんねえんだろ? だったら……万全の状態にしておく必要があんじゃねえか?」
「……はぁっ!? ッ……くぅ! はぅ……っ!」
僕を誘惑するかのように嬌声をあげるロレイン。いや、声をあげさせているのはレンか……。魅惑的な姿で色っぽく喘ぐ彼女を見ていると、むくむくと頭をもたげて来る感覚を覚える。それは隣のジーニスも同様であるようだ。……こんな美女が目の前でこんな姿を見せていたら……、こうなってくるのも当然か。一方でウォートルは直視できないようで、眼を背けているようである。
かといって……何時までもこんな真似をさせておく訳にもいかない。ユイリは僕が彼女を引き継ぐように促してきている。僕はチラリとウォートルを見やるとすぐにレン達の方へ向き直り、
「…………ユイリ達の話はわかったよ。じゃあ、レン……代わって貰ってもいい?」
「……ああ、折角ここからってところだったが……、お前がやらねえと意味がねえからな。ほら……っ」
そう言ってレンが後は任せるとばかりに僕へと彼女を預けてくる。そんなロレインを引き受けると、床に落ちたローブを拾い上げ……スッと彼女に羽織らせた。
「……えっ?」
「コウ……? 貴方、一体どういうつもり……」
「今の彼女の処遇も含めて、これが先日の名家との騒動から来ているものだというのなら……、はっきりさせておかなければならない事がある」
困惑したようなロレインに笑いかけつつ、僕は詰問するように問い掛けてくるユイリに向けて自分の胸の内を語る……。
「いくらロレインがダグラスに逆らえなかったとしても……、奴に従ってきた彼女の罪が消えないというのはわかってる。あのカオスマンティスの部屋にまで転移させられた時は正直死んだかと思ったよ。……彼女が隷属する事になったのは、それらの罪があるからという事だよね?」
「ええ、そうよ。姫を誘拐しようとした事もだけど……、彼女の一番の罪は貴方を殺めようとした事よ。この世界において、勇者を害そうとする事は最大のタブーなの。実際、一歩間違えれば……貴方は死んでいたわ。それは貴方が一番よくわかっているでしょう?」
ユイリの言う通りだ。何かが一つでも噛み合っていなければ……間違いなくあのカオスマンティスに殺されていた。僕だけでなく……あの部屋に転移させられた皆が全滅させられていただろう……。その後にやって来たシェリル達も含めて……。それだけあの『地獄に繋がる墓所』という部屋は……絶望を感じさせてくれる場所だった。だからこそ、ユイリはそんな状況に陥らせる一因となったロレインが許せないのだろう。彼女は続ける……。
「本来であれば彼女も一緒に連座となったとしてもおかしくなかったのよ。それが免れたのは、クローシス家の権力に逆らう事が出来なかった背景と、あそこから生還するのに貢献したという事実、そして何より……貴方の嘆願があったからなの。実際、あの化け物を倒す事が出来たのはコウの力によるものだったしね……。だから彼女は貴方に隷属するという形で償う事となったのよ」
「確かにトドメをさしたのは僕だけど……、隷属させる事自体を罰とするなら、僕以上の功労者にすべきなんじゃない?」
「功労者……? 何を言って……」
そこで僕は再びウォートルを窺う。ロレインの肩を抱いて、彼の下へと歩いてゆき……、
「カオスマンティスとの戦いにおいて、彼の秘技術能力がなければ……間違いなく僕は死んでいた。僕だけじゃない、彼女だってウォートルが庇わなければ命を落としていただろう。そうなれば……カオスマンティスを倒す事が出来ず、あのまま全滅していたかもしれない。……誰かひとり欠けていたら脱出する事は叶わなかった。それはユイリならわかっているだろう?」
「それは……」
いつ誰に死が齎されるかわからないあの悪夢の場所において、彼が『S.T.F』を発現させていなければ……。そう考えるとカオスマンティスとの戦いにおいての功労者は間違いなくウォートルだ。そうでなくとも……、致命傷を負わされ倒れたロレインを彼が庇わなければ……、その時点で彼女も死んでいた。ロレインもその事がわかっているのだろう。ウォートルを見る眼が他の人物を見る時と違う事に僕は気付いていた。そして言うまでも無く……、ウォートルのロレインに対する態度もまた……。
恋のキューピッドを務める訳では無いが……、僕は戸惑うウォートルに彼女を託すと、
「今は僕が彼女の主となっているみたいだけど……。ウォートル、僕は君にロレインの奴隷所有権を移行したいと思ってる。流石に国からの指示だから現時点で奴隷からの解放は許されないだろうけど、彼女をどうするかは君に任せたい。レンやユイリが話す通り、先程の様な事を責務として従わせるも、恋人や妻の様に扱うも……全て君が決めるんだ。それが命を懸けて僕やロレインを庇ってくれた、ウォートルの当然の権利だと思うから……。ユイリも、それでいいよね?」
「また勝手に決めて……。まぁ、貴方の言う通りではあるわね。この度の彼の活躍がなければ、危機を乗り越えられなかったと思うし、ストレンベルクとしても彼に褒賞と同時に様々な打診がなされる事になるでしょうね。彼女の件は……コウがそれでいいと言うのなら何も問題はないと思うわ。……ウォートル、貴方もそれでいいかしら?」
「う、うむ……、いや、はい……っ!」
真っ赤になったウォートルが緊張しながらもそう答える。何とかユイリにも認めさせることが出来たようだ。ウォートルに彼女を連れていくよう促し、僕はその結果に満足していると、
「それなら貴方の性欲解消には私が付き合う必要があるという訳ね? レン、悪いけれどジーニスを連れて少し部屋を出ていて貰える?」
「……ああ。俺も中途半端な形になったから、ジーニスと一緒に城下までおりてっていいか? もう俺のこの国での隠蔽処理も済ませてくれたんだろ?」
……何やら風向きがおかしな方向に向かっているのを感じ取る。な、なんだ……? 今度は何をするつもりなんだ、ユイリ……!?
「ええ、問題ないわ。でも、あまり羽目を外しすぎないようにね。目に余るようなら、サーシャに報告しなきゃならなくなるから」
「な、なんでそこでサーシャが出てくんだよ……。ま、わかってるよ……、ジーニス、行こうぜ」
「レンさん、申し訳ないっすけど俺……、なんか無性にフォルナに会いたくなってきたっす……」
「…………そうかよ。なら仕方ねえ……、ヒョウ達に連絡を取ってみるか……。じゃ、俺らは行くぜ」
そう言って部屋を出て行こうとする二人に僕は慌てて静止しようとするが、
「ちょっ、僕を無視して何を勝手に……っ!」
「ねえ、コウ……」
取り合わずに出て行ってしまった二人を呆然と見送ると、ユイリが怪しげな雰囲気を醸し出しながら此方へとやって来る……。そして……、
「コウ、念の為に確認しておくけど……女性に興味がないって事はないわよね? まさか……男色の趣味があるとか……」
「そんな訳あるか!? こっちの世界に来てご無沙汰になっているだけで、僕は……っ!」
「それなら良かったわ。まぁ、姫に対する様子を見ていたらそんな事はないだろうとは思ったけれど……、あの方はある意味例外のような気もするからね。なら、何も問題はないわよね? 私に不満があると言われると困るけど……、そこは割り切って貰いたいところね。……コウが姫から逃げなければこういう事になってなかった訳だし……」
思わずそう答えるも、彼女は僕の前にまで迫っていた……。身に付けた衣服を着崩し、薄めのピンクで可愛らしくも上品な下着が見えている姿に、僕は頭が真っ白になる。意外と着痩せするんだなとか、見当違いな感想を抱きつつ、僕は目の前の現実を逃避し始めていた。
……元の世界と比べても明らかに美女率の高いこの異世界において、その中でも群を抜いて綺麗だと思うのがユイリだ。シェリルやレイファニー王女とはまた違った魅力があり……、長い黒髪を模したその姿は、何処か大和撫子を思わせる日本美人といった感じで元の世界を思わせる事もあり、シェリルを除くと一番近しい女性に感じていたのがユイリであった。
同僚であり、常日頃よりお世話になっている仕事仲間という事もあって深く考えないようにはしていたが……、こんな風に接してこられると嫌でも性的感情を覚えざるを得ない……。いまやロレインの時よりも興奮してしまっている僕に気付くと、ユイリは「あら」っと悪戯っぽく笑ってその指先を伸ばしてきて……。
……その後の事は正直よく覚えていない。いや、思い出したくなかった。正直、これからどんな顔をしてユイリと会えばいいのか……。最後まではしなかったとはいえ、僕はユイリに……!
(いや、よそう。ユイリだってあくまで僕のストレス解消を目的にしてくれただけだ。深く考えないようにしよう! いや、これは治療だ! 精神のケアだ! ただのスキンシップだ……!)
そんな僕の想いが伝わったのか、ユイリが苦笑している気配を残しながら僅かな衣擦れの音と共に素早く身支度を整え……そっと部屋を出て行った。……恐らくは僕の真っ赤に染まった顔をしている事も、彼女は察していたに違いない……。そう考えると僕はますます恥ずかしくなり……夜が明けるまで一睡も出来ず、そのまま悶々とし続ける事となったのである……。
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