Beacon of the revenge
初めての投稿になります。どうぞ暖かい目でお願いします。
「どこにいった!」
「探し出せ!捕まえろ!」
警察や特殊な部隊が大声で怒鳴り散らしている。その傍ら、捕まっている人々、血を流し倒れてる人もいる。その周辺の建物は破壊されているものや大きな火に包まれながら燃えている家屋もある。
だが被害のない小さな倉庫には1つの家族が身を寄せ合って隠れていた。
幼い少年は怯えながら父と母に話しかけた。
「もう…ダメなのかな?」
「大丈夫、父さんと母さんがついてるだろ?」
「そうよ、いざとなったら頑張って逃げれば大丈夫だから安心してね。」
両親にそう微笑みかけられた少年は少し不安そうな顔をして母親にくっついている。近くを歩く特殊な部隊の足音がたくさん聞こえる。そして倉庫の扉が蹴破られた。
「見つけたぞ!抵抗したらわかっているな!」
その声と同時に父親は2人を庇うように戦う姿勢を取っている。倉庫外では大型の武器をもった部隊らが取り囲んでいる。もはや3人の家族は絶体絶命である。
父親が母親に向かって叫んだ。
「早くその子だけでも遠くへ飛ばすんだ!」
「わかってるわ!」
「ねぇ!父さんと母さんは⁈」
「心配するな、後で母さんと一緒に迎えに行くから。いい子にしてるんだぞ?」
外で大きく取り囲んでいる部隊は何か抵抗をするのかと感じた瞬間、部隊の隊長らしき人間が対能力者用のミサイルを向けて大声で言った。
「撃て!」
無数の弾頭が倉庫に向かって放たれた。
それと同時に幼い少年を光が包み始めた。
「父さん!母さん!」
「元気でな」「元気でね」
そして大きな爆風が倉庫を包み込んでいき、爆炎をあげ散っていった。
ーー15年後ーー
ある夏の日、強い日差しが照りつける中、スクランブル交差点では社会人、学生といった多くの人々が行き交っている。そこのすぐ近くにあるビルのスクリーンではニュースが流れている。
「今日で能力者対策法が施行されて15年が経ちました。この法により国内の異能力者は施行前の人口の約1割程しか確認されておらず、今もなお警察らによる排除が行われています。」
多くの人々がスクリーンに対し、目もくれず歩いていく中で1人の青年が消え入るような声で呟いた。
「ふざけんな。」
隣を一緒に歩いていた女性が振り返り口を開いた。
「どうしたの?スクリーンのニュースなんか見て。」
「ううん、なんでもない。行こうか。」
不思議な顔で青年の顔を見ている。
「甲斐くん普段、そんなにTVとか見ないのにどうしたの?」
「偶々気になっただけだよ。ほら服買いに行くんだろ?」
「そうだね!久しぶりのデートだから一緒に選んでもらうからね!」
「わかったわかった。」
甲斐と呼ばれた俺の名前は饗庭甲斐。大学3年生だ。見た目は完全に人だが能力者だ。だが能力を見せなければ殆どバレる事はない。そのため15年間、人前ではこれまで1度も能力を使わないようにして生きてきている。
隣を歩いてるのは彼女である桜田加奈。彼女は同い年であるが社会人で花屋さんに勤めている。彼女は普通の人間である。そして俺が能力者である事は彼女にも秘密にしている。まぁこんな世の中だから当たり前だがな。
いつの間にかショッピングモールについて彼女は女性の服が売られてる店に一直線で行ってしまった。
「欲しいの決まったらまた連絡するねー!」
「お、おう…」
デートなのに自由過ぎる彼女である。てか、これ本当にデートかよと心の中で1人ツッコミを入れていた。
彼女が服を見ている間に、ベンチに座って俺はケータイを開き、コミュニケーションアプリを開いてグループ画面に文字を打ち込み送信した。
『今夜、仕掛ける。復讐の開始だ。』
ご拝読ありがとうございます。
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