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第2話 結局主人公の彼女候補がツンデレなのは異世界モノの決まり

トオルさんにこの世界についていろいろと教えてもらった後、ユウキと俺は再び食堂に向かっていた。俺もそろそろなにか食べたい頃合いだった。


「トモヤなんか食べたいものある?なんか好きなもの言ってみ?」


「おまえ料理できんのかよ?」


「ここにいる人たちはほぼみんな料理ができるよ。ここでは食事当番がきまっているんだ。もちろんトモヤにもそのうち作ってもらうからね。」


「俺は料理が苦手なんだ。作れてもカレーぐらいだよ。」


「料理できない男はモテないよ~」


「うっせーよ!」


「ところで何食べ―」


「ちょっと待った!」


ユウキの言葉を遮るように一人の少女が飛び出てきた。年齢は俺と同じくらいで髪の毛はショートでとてもかわいかった。異世界モノマニアの俺が思うには彼女はとても俺に優しく、のちに恋人関係になって(以下省略)


「あなたが新入りね!わたし男嫌いだから覚えておいて!それとわたしに気軽に話しかけないでよね!」


「ちっ!ツンデレタイプかよ…俺はツンデレは好きじゃないんだよな…」


「だれがツンデレですって!?あなた調子に乗るのもいい加減にしなさいよ!」


「まあまあ落ち着きなよアカネ。」


ユウキが俺たちの間に割り込んでくれた。


「ごめんねトモヤ。この子の名前は水城茜(みずきあかね)。トモヤと同じ十六歳。本当に男が嫌いだから許してやって。」


「ユウキ、お前も男じゃん。嫌われてないの?」


「ユウキは別なの!部外者は黙ってもらえる!」


「誰が部外者だ!調子乗るのもいい加減にしろよ!」


「ところでアカネは何しに来たの?食事はすんでるでしょ?」


「いやっ…それは…」


「あーなるほど、トモヤに挨拶しに来たわけか。」


「そっ、そんなことあるわけないでしょ!」


先ほどまであんなけ強気だった彼女の口数が少なくなった。なるほど、こいつは俺の予想通りだな。


「ツンデレか…」


「ち、違うわよ!あんたは黙ってなさい!」


「あーもう二人とも黙って!いまからトモヤに飯食わせるから、アカネは自分の部屋に戻りなよ。」


「ユウキ、あんた今日の食事当番じゃないでしょ?私が当番だから私が作るわよ。」


「えっ、いいのアカネ?」


「別にいいわよ。」


「俺の料理に毒を盛らんでくれよー」


「それもありね…」


「あー!?今お前なんて言った!?」


「あなた料理に毒を盛るのもありだって言ったのよ。」


くっそー。ツンデレだとわかっていてもなかなかむかつくやつだ。異世界モノの主人公の彼女候補のツンデレは昔からツンとデレの割合が1対1だっていう決まりだろうが。なのにこいつのツンデレの割合ときたらツンが9でデレが1じゃねえかこれじゃあただのツンツンじゃねえか。


「ツンだけの女なんてドMの男以外需要ないんだよな…」


俺はかなり小さな声で呟いた。


「良かったじゃない。あなたドMでしょ?需要たっぷりじゃない。まあ私は端からあなたと馴れ合う気はないけどね。」


なんであいつに聞こえたんだ!?あいつどんなけ地獄耳なんだよ。そんなことよりも俺がドM認定されてるのが許せない。確かに一時期攻められ続けるプレイに目覚めかけたが…


「まあとりあえず料理作ってあげるから感謝し続けて待ってなさい。」


「まあとりあえず感謝しとくよ。」


俺が料理を待っている間も俺とユウキはこちらの世界についてのことを話していた。


「とりあえずトモヤには仕事を探して貰わないとね。」


「仕事につくのか?俺まだ十六だぞ法律的に大丈夫なのか?」


「この世界に法律はないからね。基本アーティクルのみんなは仕事についてるよ。まあ十歳以下の子は仕事についてないけどね。例えばさっき玄関で僕に抱きついてきた女の子は仕事についてないよ。」


「あーそういえばそんな子いたなー。他にも小さい子が何人かいるのか?」


「うん。全員で3人いるよ。多分残りの二人は散歩に行ってるよ。日が沈む頃には帰ってくると思うけど。」


「そうか。で、具体的にどんな仕事につくんだよ?」


「そうだね…僕なんかは市場で野菜とかを売ってるよ。」


「野菜?」


「そう。この近くの丘を越えたところにアーティクルが所有してる結構大きな畑があるんだよ。そこで採れた野菜とかを売っているんだよ。ちなみにアーティクルに所属しているうちの4人が野菜とかを育ててるんだよ。」


「ちなみにアーティクルには何人の人がいるんだ?」


「トモヤ入れてちょうど24人かな。」


「思っているより少ないな。」


「そうだね。まあアーティクルに所属していたけど訳あって今はアーティクルノから離れていたり、ある程度この世界に慣れたところで個人で活動するようになった人もいるからね。」


「そういうこともあるんだな…。」


「夜になったらみんな帰ってくるから、その時自分で自己紹介しなよ。」


「ああ、わかった。」


なんやかんやユウキとずっと喋っていると、お皿を持ったツンツン女が近づいてきた。


「できたわよ。」


ツンツン女は持っている皿を俺の目の前においた。これはもしかして…


「シチュー?」


「そうよ。地球のシチューと全く同じよ。」


「材料とか大丈夫なのか?」


「いいとこつくねー。」


「どういうことだ?」


「これは僕たちにもわからないんだけど、フラッディーにあるモノやコトっていうのは地球と全く変わらないし、名前も全く一緒なんだよ。トオルさんが言うにはこのシチューもトオルさんがこの世界に召喚された頃からあるらしいよ。」


「不思議なこともあるんだなあ。」


そう言いながら俺はスプーンを手に持ち、シチューを食べた。


「う、うまい…」


「でしょ!?二年かけて磨き上げた私の腕をなめてもらった困るわ。」


「お前って二年前にやってきたのか?」


「そうだよ。アカネは二年前にトモヤと同じように市場の端の方で気絶しているのを僕が見つけたんだよ。あの時は大変だったよ。アカネがなかなか僕の話を聞いてくれなかったから。」


「そういえばそんな事もあったわね。あっ、私やらないといけないことあるから、自分の部屋に戻るわね。」


「お前やらなきゃいけないことがあるのに俺にシチュー作っていうれたのか?」


「そうよ…なんか文句あるの?」


「いや…案外優しい一面もあるんだなぁって思っただけだよ。」


「そっ、そうよ!私優しいのよ!」


くっそー!こいつのたまに見せるこいつのデレがかわいく見えてしまう。だめだ俺、理性を取り戻すんだ!こんなツンデレ女に心を奪われるような男じゃないだろ!


「とっ、とりあえず私自分の部屋に戻るから。」


「料理作ってくれてありがとうね、アカネ。」


「別に礼なんかいらないわ。じゃあ。」


あのツンデレ女はそう言って部屋を出ていった。その後俺はシチューを食い終えて、ユウキと再びトオルさんの元に向かった。


「トオルさん入りますよ~」


そう言ってユウキはドアを開けた。


「どうしたんだユウキとトモヤ?」


「トモヤの仕事を決めたいなーと思って。」


「なるほどそういうことか…ちょっと待ってくれ。」


そう言うとトオルさんは机の中から何枚かの紙を取り出した。


「ここには今募集されてる仕事の一覧が載っている。このなかからきになったやつを明日にでも見学いけばいい。」


「トオルさんありがとうございます!」


そう言って俺はトオルさんから紙を受け取り、その紙を見て。少しの間考え込んだ。


「トモヤ何かいい仕事あった?」


「気になる仕事は一つ見つけたよ。この水の大陸の上級議員の付き人っていうやつ。」


「うわっ、トモヤよりによってそれを選ぶの?この水の大陸の上級議員の人たちって癖が強いことで有名なんだよ。」


「そうなのか?まあそれでも俺はこの仕事がいいかな。なんとなくだけどこの仕事につけば、この世界についてよく知れるようになる気がするんだ。」


俺がそう言うとトオルさんがニカッと笑い口を開いた。


「トモヤにいい知らせがあるぞ。私がこの世界にきてすぐの時にお世話になった人がこの大陸で上級議員をやっている。確かに癖が強いが、とても優しい人だ。今日中に私が連絡を入れておくよ。」


「トオルさんその人ってまさか…」


「ああそうだ。ヒューさんのことだ。」


「ヒューさん?日本人じゃないんですか?」


「ヒューさんはこっちの世界のひとだ。だけど見た目は日本人と大差はない。この世界の人の見た目は全員日本人とあまり変わりはしないんだ。」


「食べ物の名前のことといい、不思議なことが多いですね。」


「まあ、ある程度の予想はできているんだがな…」


トオルさんは何かを言おうとしたが結局なにも言わなかった。とはいえ、異世界モノマニアの俺にもある程度の予想ができている。


「とりあえず、上級議員の付き人をするんだったらトモヤに”魔法”を覚えさせないといけないんじゃない?」


「確かにそうだな、そういえばまだトモヤに”魔法”のことを教えてなかったな。」


”魔法”という言葉を聞いて異世界モノマニアの俺は一気にテンションがあがった。しかしまだ喜ぶのは早い。こういう異世界召喚された主人公は魔法が全然使えないというパターンは結構ある話だ。その一方で、たまに、ずば抜けて魔法の才能を持っているというパターンもあるからな。さあ俺はどっちのパターンだ。


「じゃあトモヤに魔法力の計測をしてもらおうよ。」


「ユウキの言うとおりだな。魔法力を計測しないと話がすすまない。」


そう言うとトオルさんは書斎のおくに行ってあるものを取り出してきた。見た目はとても大きなハママキ貝みたいで、とても大きな穴が開いていた。


「じゃあトモヤ。この装置に手を突っ込んでくれ。」


トオルさんにそう言われるとすぐに、俺はその装置に手を突っ込んだ。そうするとその装置はとても大きな”ヴォーン”という音が鳴り始め、装置の周りに光るものがいくつも出てきた。


「なんだこの光ってるのは!?」


「精霊だよ。いま精霊がトモヤの魔法力を測ってくれてるんだ。」


しばらくすると音が鳴り止まり、装置が黄色に光りだした。


「おー!くやしいけど、トモヤにはある程度の魔法力があるよ!」


「どれくらいなんだ?」


「黄色ってことは全人口の10パーセントに入るくらいだよ!値にして500といったところかな。」


俺のテンションが上がったのは確かだが、そこまで上がらなかった。なぜなら俺が期待していたのは十年に一度のレベルの魔法力であって、全人口の10パーセントレベルの魔法ではない。


「どうしたのトモヤ?あんまり喜んでないじゃん?」


「別に喜んでないわけじゃないんだけど…」


「まあとりあえず魔法の才能があるのが分かったから次は何属性の魔法にするかだな?」


そういうとトオルさんは書斎から四冊の本を取り出してきた。


「まず属性について説明しよう。この世界には4つの属性がある。この世界を生み出した四人の神の属性がそれぞれ魔法になっている感じだ。簡単に言えば火、水、風、土の4つに分かれてる。まあごくたまに、それ以外の属性を操る者もいるがな。」


「それ以外の属性ですか?」


「そうだよトモヤ。ある一つの属性を極めた人の中でもごくまれに4つの属性以外を発動できるようになる人がいるんだよ。かくいうトオルさんもそのうちの一人、光属性を操る立派な魔法使いなのさ!」


「ユウキに言われてしまったか…まあ隠すつもりはなかったんだがな。」


「光属性の他にも闇属性とかが存在するんだけど、詳しい発動条件はわかっていないんだよ。ところでトモヤはなに属性にするか決めた?」


俺は凄く悩んだ。業火を操りどんな敵でも燃えつくす火属性。海をも操り全ての人を魅了する水属性。どんな場所でも突風を起こしなにもかもを吹き飛ばす風属性。そして、不動の大地を操りいかなる者立てなくする土属性。どれにもロマンがあり、いっそのこと全て習得したいくらいだ。しかし今はそんなことを言っている暇はない。そうだな…決めた!俺は…


「水属性にするよ!ここは水の大陸だしな!」


「決まりだな。そうと決まれば明日から練習だ!」


トオルさんは立ち上がって俺にそう言った。俺はもしかしてこの新たな生活をとても楽しみにしているのかもしれない。俺の体はとても震えていた。けどこの震えは恐怖や疲れとかじゃなく、興奮による震えだと俺は思った。














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