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影武者は本物を超える  作者: まるのり
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第7話 赤髪の女子

午後の授業が終わり、俺はヘトヘトになりながら帰宅準備をしている。

正直昼食を食べなくて良かったと思う、食べていたら間違いなく吐いていた。そう思うほどに午後の授業は俺にとって過酷なものだった。

その午後の授業内容なのだが、この学園ならではのものだった。

まず、ストレッチをしてから、ランニング。そして、ランニングが終わると、木刀での稽古。銃の稽古。体術。精神統一と、完全に対悪魔・魔物の授業内容だった。

そんな内容の授業をこの間まで唯の公立高校に通う高校生がやろうものなら、そりゃヘトヘトになる。


しかも、俺はクラスメイトとは違う。皆んなから見えない場所でこの行程を1人黙々とやっていた。

何でも新城は対悪魔・魔物の授業は皆んなとは別の場所で1人でやっていたらしい。何故かはしらないけど。

その為、体力のなさとかでバレる心配はなかったが、1人で黙々とランニングをしたり、木刀を振ったり、しているのが孤独過ぎて精神的に辛かった。

サボることも出来ただろうが、永瀬先生が時々俺の方へ顔を覗かせに来るので、サボろうにもタイミングを間違えばバレてしまうので、絶対に怒られる。

なので、体力的にも精神的にも疲れた。


そんな午後の授業を思い返し、帰宅準備が終わったので俺は速やかに教室を出た。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「新城!!今日こそ勝負受けて貰うわよ!」


「・・・・・」


「何で黙ってんのよ!?何か言いなさいよ!」


「・・・・・」


「あんた私を馬鹿にしてるのね!」


目の前にはさっきからずっと吠えている赤髪ショートの女子がいる。

一体何があったのかと云うと、俺は教室を出たあと、家から近い裏門から学園を出ようとした。その帰る途中に体育館裏で、赤髪のショートカットの女子が仁王立ちしていた。

俺は自分には関係ないと、無視して通り過ぎようとしたら、俺の行く手を阻むように移動してきた。

なので、俺は再び通り過ぎようとしたのだが、再び行く手を阻むように移動してきた。

そんな事が数回繰り返したのち、今の状況がある。


「ちょっと聞いてるの神城拓哉!」


「あんた誰だ」


素でそう聞いてしまった。


「–––ッ!?新城、あんたその冗談は流石の私でも怒るわよ!」


いや、もう怒ってるだろ。

額に怒りマーク付いてるよ。


「私はあんたと同じ2年Bクラスの小鳥遊春美たかなしはるみよ!!」


小鳥遊春美……顔をじっくり観てみる………ああ!いたいた!

席に戻る時に、女子の中で1人だけ女子の好意的な視線とは違う。何か別の敵意とも取れる視線を俺に向けていた女子がいた!赤髪ショートの性格が強そうな女子が、それがこの小鳥遊春美だったのか!!


「冗談でも辞めなさいよね!」


ちょっと涙目になってるじゃん、なんかすいません。


ところで、小鳥遊春美と新城拓哉の関係ってどういう関係なんだ?

永瀬先生情報では、新城は生徒との関わりを持たなかったと言ってから、小鳥遊と特別な関わりがあるとも思えないし…


それに、小鳥遊春美の話し方を聞いている感じ、小鳥遊春美が一方的に新城拓哉に突っかかってるだけのように感じる。


「とにかく!今日こそは勝負受けなさいよ」


涙を拭いながら手を広げて、小鳥遊春美は通せん坊をする。

うーん…どうしたものかな。


「今日はあんたが勝負を受けるって言うまで私は絶対にここから動かないから!」


「春風も吹いてんのに風邪引くぞ」


とりあえず、黙ったままだとまた何か言われそうなので、ひと言言っておいた。


「あんたが勝負を受けるって言えば、私は風邪を引かなくてすむのよ!」


無茶苦茶で自己中な奴だな。

こんな時、新城拓哉ならどうするかな…

俺は永瀬先生から聞いた新城拓哉の人となりを参考にして考える。

………よし!こうしよう!


「俺は帰るからな」


俺はそう言ってこの場から立ち去る。

そう、俺が考え至った新城ならこうすると云う行動は、目の前の小鳥遊を気にせず無視して家に帰る。と云うものだった。


「待ちなさいよ!勝負を受けるって言うまでここを通す訳ないでしょ!」


俺は小鳥遊が塞ぐ裏門の道を諦めて、踵を返し表門から帰ることにした。


「えっ!?そっちから帰るの!あんた本当に帰る気!?」


「帰る」


俺は帰るとちゃんと言ったので、この場からサッサと走って立ち去る。


「待ってよ!そっちから帰るなんて卑怯じゃない!!待って!待ってってば!!ひと言勝負を受けるって言ってよおぉぉ!」


背後からは大きな声が背中目掛けて飛んでくるが、俺は走る足を止める事なく家に帰るのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「はあ〜」


大きな溜め息を吐く。


「拓洲さんなに寝ようとしてるんですか?」


俺は家での用事、夕飯などを全て済ませてベッドにダイブし、直ぐに寝ようとしたのだが桜が部屋に入ってきて声を掛けてきた。


「寝ちゃダメなのか」


俺は枕に沈めた顔を上げる事なく桜に聞く。

それほど今日は疲れていた。

初めての学園という事での疲れもあるし、午後の授業で体力も奪われたし、色んなハプニングの疲れもあってとにかく今は寝たい。


「拓洲さん。私が渡したパワーアップトレーニングメニューまだやってないでしょ?」


……うわー、完全に忘れてた。


「今日はパスってことで」


「ダメです♪」


顔を上げ桜に言うと、笑顔でそう返され俺はなくなくベッドから起きることを余儀なくされた。


「念の為イヤフォンマイクは付けて出て下さいね。夜は悪魔や魔物の時間帯ですから。何かあればイヤフォンマイクのスイッチを押して、私に連絡して下さい」


「はいよ」


俺はジャージに着替える。イヤフォンマイクを耳に付け、武器を手に持ち外に出る支度を終える。


トレーニング用の服も今度買いに行かなきゃな。

そんな事を考えながら、俺は21キロランニングをする為に家を出る。








新キャラ登場です!

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