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影武者は本物を超える  作者: まるのり
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第1話 この世界

どうぞ末長くよろしくお願いします。

俺–––加隈拓洲かぐまたくすは絶賛、狼型の魔物と対峙していて大ピンチです!


どうすんだこの状況!魔物と対峙した事なんてこれが初めてだし、魔物や悪魔がこの世にいると知っているとはいえ、実際にこうやって自分が出会うなんて思わないじゃん!!

とにかく今は学校で悪魔や魔物と出会った時の対処方法の授業内容を思い返そう。確か出会っ時の対処方法は………


俺は対峙する魔物とは反対側に急いで駆け出す!駆け逃げ出すのだが幸か不幸かこの道は一本道、狼型の魔物は跳躍して俺の行く手に再び降り立った。


第一の対処方法は逃げると授業で教わった……全然駄目じゃねえか!?どうする!?逃げられなかった時の為の第二の対処方法は……俺はポケットに手を突っ込み携帯を取り出すが、電池が切れてる!!運悪すぎだろ俺!

第二の対処方法は警察に電話して殲滅隊を呼んで助けて貰うだが、もう一度携帯に視線を落とし俺はそっと携帯をポケットにしまう。


第三の対処方法は……俺は右腰に据えている鞘に視線を落とす。第三の対処方法は戦うと云うものだ。

イヤいやいヤ、第三の対処方法で戦うって選択は早すぎないか!?

第三の対処方法は、変えた方がいいと俺は思うよ!


こんな事を考えている間も眼の前の狼型の魔物は「グルルルッ」って喉鳴らして近づいてくる。怖すぎるだろ!


俺は右腰に据えている鞘から剣を取り出すが、倒せる気がしない。でも逃げる選択肢はさっきの動きから考えて通用しない、なら戦うと云う選択肢しか残されていないんだけど…ゆっくりと一歩一歩近づいてくる魔物を観れば観るほど戦意を失っていく。


クソおぉぉ!!何で俺がこんな目に合わなきゃいかないんだよー!学校帰りに夕飯の食材を買う為にスーパーに寄ったら、その時普段食べない高いステーキが目に入りついつい手を伸ばしてしまったのがいけなかったのか!!!神はそんな贅沢をするバイト三昧の唯の高校生を許さなかったのか!?この世界の神はなんて酷い神なんだ!!


と、そんな神を恨んでいる間にも眼の前の魔物は徐々に距離を詰めて来ている。もう覚悟を決めて戦うしかないのか…俺は剣を左手で持ち構える・・・魔物目掛けて駆け出し左手に持つ剣を魔物の脳天に振るった。


ガキィィィッ!


音を立てて俺の左手に持つ剣の刃の部分が半分弾け飛んで逝くのが俺の視界に映る。


「あっ死んだ」


俺は反射的に眼を瞑ってしまった。


キュアアァァァアッッ


もう攻撃されていてもおかしくないのに攻撃は飛んでこず、代わりに悲鳴とも取れる鳴き声が耳に飛び込んで来た。眼を開けるとそこには、俺が振るって弾け飛んだ刃が、右眼に刺さり踠き苦しみ暴れる魔物がいた。俺はチャンスと踏んで左手に残る刃の半分欠けた剣をもう一つの左眼に突き刺す。


ギュアアアァァァアッッ


魔物は再び悲鳴を上げた。

俺は魔物が苦しんでいる内にこの場から逃げる。

留めを刺さないのかって?当たりまえだ!もう俺は留めをさせるような武器も無い!あの魔物の眼を突き刺した剣を抜いて戦うと云う手もあるけど、、、正直言うと魔物でもあんな苦しんで鳴いている声を聞いたら、留めを刺すのが忍びなかったと云う部分もある。


俺たち人間の敵でも命の重みに、人間も魔物も悪魔も変わりはないと俺は思っている。魔物の眼に剣を刺しといて、何言ってんだと思うかもしれないが、マジでそう思ってる。

学校でそんな魔物と悪魔に関するレポートを書いたら皆に馬鹿にされたな。それからは一部の奴から偽善者って呼ばれたなぁ。


と、そんなを事を思い出しているよりも、今は逃げることに専念しよう。魔物に与えたダメージは、鳴き声からして大きいが死んだ訳ではない。追い駆けてくる可能性もある。

俺は魔物から1秒でも早く遠ざかるように走る。


「ん?何だ?」


走っていると、頭上に黒い影が通っていくのが視界に入った。その影はそのまま走る俺の前に降り立った……そのまま通り過ぎて何処かに行ってくれれば、どんなに良かった事か。

俺の眼の前には再び狼型の魔物が立ち塞がる。魔物の眼からは、俺が刺した剣が無くなっていた。後ろを振り返ると、先程の魔物と対峙していた位置に、半分刃が欠けた剣と半分の刃が落ちていた。


これはもうどう頑張っても逃げられないな……ゴメンな魔物よ。俺が生き残るには、お前を倒すと云う道しかないようだ。

正直殺すのはマジで忍びないが、結局自分の命が一番大事なんでな!!

これじゃあ、偽善者って言われても仕方ないな。


俺は落ちている剣を拾う為その場から勢いよく駆ける!1秒でも速く剣の落ちているあの場所へ!!


はあっはあっ


数十メートルがこんなに遠く感じたのは初めてだ!!


全速力で走り剣の元まで辿り着く。

よしっ!これであの頑丈じゃない眼を何度か刺し続ければいつかは倒せるだろう!


俺は剣を手に振り返る。


………俺は【死】を悟った。今日この場で俺は死ぬんだと。

ああ、まだやりたい事とか沢山あったのにな。彼女作ってデートしたり、一緒に登下校したり、大学にも行きたかったな〜。まだまだ先の話だけど、いつしか仕事について結婚をして子供も作ったり…。

それと母さん父さん親より先に死ぬ息子を許してくれ。あと、妹の那津、勉強頑張れよ。


振り返った時には魔物が俺に飛びかかっている最中だった。口を大きく拡げた狼型の魔物が眼の前でスローになって飛んでくる。


魔物にも喉仏ってあるんだ…


最後にそんなどうでもいい事が頭の中に浮かんだ。


「汝–––」


誰かの声が聞こえてきた。

だが俺は精神が耐えられなくなったのか意識が遠のき魔物の喉仏を見ながら意識を失ってしまった。


ブクマ・評価等よろしくお願いします!


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