いろいろやりたいこともあり(とあるヒロインの軌跡)
私は高熱を出したはずみに思い出しました。
何って、よくある前世ってやつを。といってもそのせいで脳みそがさらにオーバーヒートして寝込むのが長くなっちゃったけど。
子供の脳に、以前の数十年の記憶や知識が一気に入って来たの、キツかった…。
で、単なる異世界転生ならよかったんだけど、俗に言う乙女ゲーム転生のようだということが、知識を確認していくうちに分かってきちゃった。
熱が下がって、まさかねえ、と思いつつ自分の名前や容姿、生まれを再確認していると… あれ? とある乙女ゲームのヒロインと同じ。
うん。見なかったことにしよう。
逆ハ―とか、玉の輿、はまあランクによっては狙ってもいいんだけど、一応某男爵の庶子ではあるんだけど、王子様とか何股とかはいらないデス。
とはいえせっかく知った知識ですから、参考にはさせてもらいまーす。
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「テンちゃん、お母さんの具合どうだい」
「うん、ありがとう。もうだいぶよくなってるみたい」
「はい、テンちゃん。薬草採取とゴブリン退治のクエスト報酬とポーションの買い取り料金ね。今回は2本、解毒補正が付いてたから金額上乗せね」
「はーい。お姉さんありがとう!」
ええ、この世界、冒険者ギルドとかあるんで、登録できる7歳になったら速攻登録して、現在それなりに稼いでます。魔法とかも使えます。とはいえイロイロと隠してはいますけど。
まずヒロインにあった光魔法の適性。うん、あったけど、バレちゃうと行く気無いんだけど、乙女ゲームの舞台の学園行きが決定しちゃうんで伏せてます。ちなみに、他の魔法も割とチートです。
こういった状況での話を前世でよく読んでたから、乙女ゲーム放り出して、俺、じゃなく私TUEEE~とかやりたくはあったんだけどね。
ヒロインとか逆ハーとかに興味はないし。電波ちゃんとかってイタイよね?
でもなあ、権力がある悪役公爵令嬢ならともかく、平民の母との二人暮らしだとねえ。
どっかの貴族や神官なんかの手駒にされちゃいそうだからさあ…。特に、メイドやってた母親に手を出して、私を妊娠したとたんに追い出した男爵夫妻なんかが出てきやがった日にはなあ?
かえって異世界召喚とかで自分一人だったほうが弱みは無いよね。
男を見る目っていうか、まああれは不可抗力だから男運?は無いけど、普通に良い人で、女手一つで私を育てて可愛がってくれてるからね。不幸にはなってほしくないんだよね…。
当初は「ヒロインスペック活かして、最年少でのSランク目指すぜ!」とか思ってたんだけど、ちょっと冷静になって考えたら、
『え、そんな能力者って国が放っておかなくない?』
『適度に互いに利があればいいけど、権力とか圧力とか脅しとか… 学園にも召喚決定じゃ?』
あれ? Sランクとか目指そうと思ったのって… 単なるノリだ。身の安全犠牲にしてまでやることじゃないや。
むしろ中堅レベルで留めといたほうがよくないかな?
うーん、金や権力はともかく名誉はほどほどでいいから、安全性の確保できるランクはどこかな~
それと変に頑張ったせいで、こちらが放り出してても、変なゲーム補正とかかかると嫌だしね。
でも、ある程度稼ぐのは必須なんだよね。なんでって、シナリオだと母親亡くなってるんで…。
ただ描写的に病気と生活苦が原因かなあ。今は私がそこそこ稼いでるんで、そこまで無理しなくていいし、栄養も取れてるからね。
ちなみに先日それっぽい病気にかかったりしたんだけど… こっそり習得した治癒術かけてみたりポーションを食事に混ぜてみたり。
ちなみに光の聖属性のせいで、気を付けて手を抜かないと、作ったポーション全部に状態異常無効とか回復とか付いちゃったり。
おかげで今は元気なような。死亡フラグ折れたか?
結果的にダメだったとしても、全力を尽くすことに意義があります! 私の気分的に…
ヒロイン補正なのかな。力があるにこしたことはないからね。魔法とか一通り教わって、割と簡単に習得出来たんだけどね…。 大変だったなあ… ふふふ…
何って、教わる過程がね…。
登録が7歳なんで、教わろうとしたのはそれより小さいころだったんだけど…普通の子供ってその年頃だと良識とか期待できないよね? なのでちゃんと師事は出来ず。
なんで、逆に子供というのを利用して、無邪気で無垢な振りして、神官さんのお手伝いとかしつつ、治癒魔法とか使った時に「わあ、すごーい。どうやるの~(キラキラおめめ)」とか。
ギルドのそこそこ気の良さそうでマトモそうなおじさんに「かっこいー。まほうってどうやるの~(キラキラおめめ)」「モンスターたおすのすごいねえ。どうやるの~(キラキラおめめ)」とか…。
うん、客観的に見る分には何の問題もないんだけど… 中身がね。自分ではウン十歳って認識だから… シクシク 精神値が削れてった…。まあ背に腹は代えられないけどね…。気にしちゃダメだ!
基本的に冒険者ランクはF~Sまであるんだけど、さりげなーくDまでは上げました~。
まあ、Fは半分くらい子供でも出来るお手伝いとかあるからね。Eだともうちょっと専門知識や技術が要求されるレベル。
といっても、森に出て特定の薬草を判別して期間内に必要数集めよ、とか。10歳の子供くらいの強さのゴブリン数匹駆除、とか。
Dだとプロ見習いかなあ。クエストはゴブリンの群れ10匹単位から、とかオークとか。あと森の深いところまで行って採取とか。
魔法の腕、少しずつ上達したふうに見せかけて、現在は中級の基礎的なのまで使えるふり。
まあ、見せるのは、あくまでこの年頃にしては将来有望な程度ね。
そしてそれらを組み合わせての使い方が上手いから、それなりの攻撃力があると思わせてます。
女の子だから普通に心配して手伝ってくれようとする冒険者もいるんだけどね。私は隠れて不意打ちが基本と説明してお引き取り願ってます。
だから、成果もいつもモンスターとかはちょっとずつ出してるんだよね。
とはいえ、いざという時、出来ることは多いほうがいいから、修行はこっそり頑張ってたり。
まず森なんかの遮蔽物の多いところに入ります。
サーチをかけて周囲の人やモンスターを把握。サーチは、魔力探査、電磁波感知、振動感知などなどを組み合わせて。最近ようやく探査範囲が500キロ先の魔の森まで到達しました。
で、身体強化をかけて障害物を避けつつ、適当な場所までひとっ走り。で、最近は上級魔法で、広域殲滅、範囲指定殲滅、1点威力集中型を試行錯誤してます。属性によって適した使い方や組み合わせありますからね。
たとえば、広域殲滅。360度で実践してみますが、炎だと致命傷になるのは50メートル範囲ですね。土でやってみると地面の変形だと60メートル。礫状だと30メートルですか。
他、風でトンネルを作り、氷の杭を圧縮空気で飛ばしてみたり。
飛距離はいいんですが威力がイマイチでした。
いっそ土で大砲モドキ作ってみたら… おぅ、目標のモンスター粉々に…
うーん。この魔力提供量でこの威力なら、全力でやったらこの森だったら消滅するかな。
まだまだだな~。
え? どこを目指してるのかって?
とりあえず国の半分くらい吹っ飛ばせるくらいかな。サーチももっとオートで長期間発動できるように。
それくらいになれば私TUEEE~とかやっても大丈夫だと思うんだよね。いや、やりたいわけじゃないんだけど、権力に力で抵抗しても大丈夫かな、と。
そんなこんなでこっそりレベルアップしつつ、ほどほどに稼いでいたある日、ギルドに訪問者がやってきました。
「ええ、登録は大丈夫ですけど…。あら、魔法が使えるんですね。この年でこんなにいろいろ使えるってテンちゃんよりすごいですね。え、ここに来ている女の子で、年頃も同じくらいなんですけど… え、会ってみたい?」
ということでギルドのお姉さんに呼ばれて、新入りさんのところに顔を出しました。
「はい。この子がこのギルドの有望株、テンセー=ヒーロインちゃんです」
「ぶふっ げほっ ごほっ」
はい、私の名前聞いて、新入りさん噴出して咳き込んでます。お茶とか飲んでなくてよかったね~
うん、本名じゃないよ。ギルド名っていうか、子供の我儘の振りして、こう呼んで、ってお願いして。
なんでかって? はーい、こういった相手を釣るためでーす。
というわけで。
いらせられませ♡ うーんと、アーク=ヤクレージョー様☆