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ダメ×人×間×コン×テス×ト  作者: gaction9969
第二章:チャラ男殺し油の室戸
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#078:昇天な(あるいは、ダメ息の花だけ束ねた)


「漕ぐぞっ!!」


 アオナギの喝に何とか気を取り直した僕は、言われるがままペダルを踏みつけるようにして回転を上げ始める。しかし! しかし丸男が30,000食らって全く平気なのが解せないっ。


「おいっ!! そのでかいのは、ゴム板挟むとか、こすずるい事してるに決まっているっ!! 調べろ審判!!」


 激昂する桂馬。流石に息が乱れ始めている。いや、渾身のDEPを何事も無かったように受け潰されたことによるショックかも知れないけど。ペダルを漕ぐ速度が明らかに落ちているぞ。


「……こすずるい? わはは、アホめ。俺はよぅ、このダメに関することだけには、ズルはしねえと、そう決めておるんぞなもし」


 調子こき始めた丸男は、おほ、おほ、と不気味な笑い声を立てている。うーん、同じチームで無ければ殴りたい。


「とくと見さらせぇぁっっ!!」


 最大級の馬鹿でかい声を張り上げ、丸男がメイド服のスカートの裾を両手で高々とまくり上げる。


「!!」


 確かにゴム板など無かった。そこにあったのはサイズ感も何もない、ぴちぴちすぎて紐状まで伸ばしに伸ばしまくられたピンクの女ものの下着があるだけだった。何故か股間の部分は高々と天に向かってそそり立っている。一瞬の静寂の後、球場内は阿鼻叫喚となった。だって、巨大ディスプレイに大写しにするんだもの。


「ぐくっ……!!」


 今度はレーゼさんがダメージを受けたようだ。がくりと脚の運びが弱まる。おぞましいモノを見慣れていないからだろう。かくいう僕も右の方向から感じる禍々しい気配からは顔ごと背けて自衛を図っている。でも脚の回転は緩めないぞ! もうここしか! ……ここしかチャンスは無いだろうから!


「「「っフオオオオオオオオオオオっ!!」」」


 我らチーム3名の雄叫びが共鳴反応を起こし、最後に残った体力をペダルをかきむしる速度へと昇華させていくっ……!!


「チーム19、規定速度『13km』到達っ!!」


 リアちゃんがそう告げるのとほぼ同時に、僕は左ハンドルの「着手ボタン」を押し込んだ。ぶちかますっ!! そして終わらせるっ!!


「自分はっ!! 自分は双子の姉妹両方に告白して、両方に振られたことがあるっ!! しかも二人に告ったと思っていたら! 事情を察せられて、片方が一人二役をやってきてた! それに気づかず、一人に二回告ってしまったぁぁぁぁぁっ!! ワイはダメやぁぁぁぁぁっ!! ヒト以下のっ、ダメでしかないんやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! フオオオオオオオオオオっ!!」


 魂の叫びだった。そして哀しい事実でもあった。


「「飛べぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!」」


 アオナギ・丸男も叫ぶ。そうだ飛ぶんだっ! 胸にしまい込んでいた鬱屈を! どうにもならない現実を! 悲しさや恥ずかしさで、思い出す度にぐううとうなり出したくなるダメだった自分のエピソードをっ!!


「……飛び立てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」


 この体から、世界へ、宇宙へ、拡散してしまえ!!


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