表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダメ×人×間×コン×テス×ト  作者: gaction9969
第二章:チャラ男殺し油の室戸
47/244

#047:唖然な(あるいは、神宮アンダーグラウンド)


「着替えるのは後だ、少年。とりあえずエントリーはしとかねえとな」


 アオナギは何事も無かったかのように、僕らを促す。うんまあ、そうですけど。何となく釈然としない妙な気分のまま、参加者と思われる人たちが静かに吸い込まれていく離れの建物に向かった。


「……エントリー票を確認します。コード画面を表示させてください」


 入口は両開きの大きな扉が全開にされていて、その両脇に係員らしき黒スーツの男たちが控えている。


 アオナギはスマホをさっといじくって、表示させた画面を突きつけると、すかさずそこに係員がバーコードリーダーのような機械をあてがった。


 ピピッと言う音が鳴る……OKってことか? 係員は無言で中に入れという仕草をする。


「アタイはセコンドよぉん。ほらこれ」


 僕の後ろでは、ジョリーさんも画面を差し出していた。セコンド……それも初耳だけどね。


「おおぅ、ついに会場入りかよぅ。やっぱ緊張すんなぁ」


 丸男が武者震いのように体をわざとらしく揺らしてみせる。

 僕たちは掲示された矢印に従って通路突き当たりを右へと曲がるのだった。


 まったく、ここに来るまでに色々なことがあった。アオナギとキャンパスで出くわしてからたったの十日余りだったが、様々な出会いがあり、突拍子もないことが起こったりして、そしてそれに巻き込まれて振り回された。


「緊張ですか? ……自分は、高揚の方が強いですけど」


 けど、その丸い背中に向けてそう言ってやる。いま、僕は自分の意思でここに立っている。地下へと降りる階段を一歩ずつ踏みしめながら、僕は戦う決意を新たにする。


「少年。こいつは運命だぜ。お前さんがここにいること。偶然偶然と思っていたが、どうやら俺もまた運命とやらに導かれているのかも知れねえ」


 振り返りもせずそうアオナギが声を掛けてくる。言葉は大仰だけど、それはいつも通りの感じだ。よし、いくぞ!


「……!!」


 そして階段を延々と降り続けて十分くらいか、薄暗い所からいきなり光差す巨大なスペースへと僕らはまろび出たわけで。


 そこは何というか、球場のような所だった。いや、正しくないな、そこはまさに球場だった。もうひとつの神宮球場が……上空をコンクリートに固められた巨大な球場が、まばゆいナイター照明に照らされて、僕らの前に姿を現したのであった。


 思わず口を開けたままで固まる僕。えーと、何これ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ