#185:非効率な(あるいは、そびえたて、くろがね)
「さて今回は、DEPを撃ち合うというよりも、DEPをロボティック=エネルギーに変換して、その動力でロボティックを動かし、技を駆使して相手を『ソルティック=モート』に突き落とすと。端的に言うとそんな感じになります」
いつもながらざっくりし過ぎな説明だが、要はロボット相撲なわけでしょ? あの張りぼてにひとりずつ乗り込んで、操縦して相手を押して押して押しまくると。
向こうのチームを見やると、両側のやる気MAXの二人の薄毛とは対照的に、真ん中のミロちゃんはおどおどとした表情のまま、何とか説明をよく聞いて理解しようと努めている。その健気な感じからは、曲者品評会のような元老院的雰囲気はまったくしてこないけど、今までのこともある。最も注意すべき存在と思っていいのではないだろうか。などと思っていたら。
「おおいっ! 何であのロボティック達は大きさが違うんでぇい!?」
馬鹿でかい声が響き渡る。すっかり食いついている丸男が珍しいくらいのやる気を見せているねー。うんまあいいんだけどさ……いまいち乗り切れてない、乗り遅れている感の僕がいるわけで。さっきまでのやる気はどうした!? 勝って勝って勝ちまくるんだろっ!
「ま、さっきのカードバトルよりは、何か動きもありそうで、お客の反応もよさそうだ。少年はロボット世代じゃねえんだよな。俺らはもろ、って感じだからよぉ、こういうの見ると柄にもなく熱血しちまうわけよ」
そうは言うけど、だらりと立っているアオナギは、いつものやる気が無さげな感じというか、自然体であくびをかましたりしている。頼もしい……のかな? よく分からなくなってきた。ま、ともかくカード一枚出しただけで終わった先ほどの対局の二の舞にするわけには……っ! とこの世界を司る何者かに成り代わり、僕がそう決意を新たにしてみる。
「……大きさの違いは、能力の違いになります! そして何故3種類のロボティックが用意されているかと申しますと! 各々能力とかが違った方が、何か対局的にメリハリつきそうじゃん的な、運営側の目論見によるものでありますっ!!」
青白の猫型着ぐるみに入った猫田さんがそう身も蓋もなく告げてくるけど、猫田くん、それを言っちゃあ、おしまいだよ。
「……ちなみに、『小』は機動性、『中』は防御力、『大』は攻撃力に、それぞれ特化されているという設定です。誰が何に乗るか? そして限られた『動力』をどう使うか? そこら辺がこの『DX』の肝の部分となります」
猫田さんは構わずそう説明を続けるけど、ま、とりあえずはやってみないと分からない事が多すぎる。僕は遠目からそのロボティックと呼ばれた、どう見ても発泡スチロール的質感の張りぼてを多少うんざりとした気分で観察してみる。