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ダメ×人×間×コン×テス×ト  作者: gaction9969
最終章:倚界の中心でミサキを叫んだ室戸
156/244

#156:後付な(あるいは、そして生かされない要素に合掌)


「この状態でえええええええぇぇぇぇっ、どうやってぇぇぇぇぇえええええっ、カードをぉぉぉぉ、出せと言うのぉぉぉぉぉぉー」


 僕の正面の歌姫が、ミュージカル調に無駄に高音を響かせて質問してくる。けど、確かに。対局者は両手で取っ手を掴んでいるから、カードをどうこうっていうのは出来そうにない。


「それにつきましては忘れてましたっ、『グリーンアイズ・スカウティング・グラシアス』、セットオン!」


 リアちゃんがてへぺろ的仕草をしつつ答えると共に、もう結構な坂になっている足場の上をおっかなびっくり黒服が登ってきて、僕の左耳に何か機械のようなものを装着する。


 うん、これ完全に忘れてたよね……この装置を着けることというか、カードが出せない状況になるということ自体を。まあいい、気にしない気にしない。


「おお、これまたかっこええ……」


 丸男がまた呟く。左耳の装置はキュインというような音を発すると、直角に自動で折れ曲がり、透明感のある緑色のレンズのようなものを左目を覆うように差し出してきた。


「……」


 そのレンズに何かしらの数字や文字やらが高速で流れたかと思うや否や、次の瞬間、五つの黄色い長方形が表示される。カードの裏側を表現している? つまりまだ札は伏せられたままということだろう。


「自分の持ちカードは、そちらに表示されます。カードを示す四角の上に1から5までの数字が表示されていますね? その数字と、攻撃か防御かをこちらに告げるか、または手元の持ち手につけられた『ボタン』でも提示が可能ですっ。親指の所にあるボタンを押し込むと『1』、以下人差し指『2』、中指『3』……とそれぞれが数字に対応しています。普通に押せば『攻撃』、長押しすれば『防御』となっていますので、そちらも試してみてくださいねっ」


 改めて持ち手を見てみると、掴むところに円いボタンが付いていた。流線型で指にフィットしていたため、触っただけじゃあ気づかなかった。と言っておいてあげよう。


「それじゃぁぁぁぁ、さっそくぅぅぅぅ、始めましょうかぁぁぁぁぁぁー」


 葉風院が両手を広げて情景たっぷりに歌い上げてくるが、貴女はそのしゃべり方がデフォなのか。低音も高音も空気を震わせるかのように響いてくるけど。


「はいっ! それでは決勝第5試合、お待たせしました! まずは〜、カードオープンっ!!」


 リアちゃんが可愛らしく手にした錫杖を掲げると、僕の左目だけに映されているカードの画像がゆっくりとこちらに表を向け始めた。無駄に滑らかな動き、そしてコーティングされた紙の質感までリアルに表現されている。


 いらないよね? と突っ込みたくなるのを鋼の意志で封じ込め、それよりも重要であるカードに書かれた情報をいち早く掴もうと、僕はその画面を凝視した。現れたのは、


<1:胴:攻撃1500/防御300>

<2:胴:攻撃1000/防御200>

<3:胴:攻撃800/防御300>

<4:胴:攻撃800/防御200>

<5:手:攻撃700/防御200>


 以上のカード5枚。あれ? 何か「胴」に偏ってない? いや「手」「足」は重要だから出現率低いのかな……? 僕の手札の中で特筆すべきは「胴:1500」だろう。防御の値は攻撃のと比べてかなり低めの200とか300に設定されている(と推測される)から、一撃でクラッシュできる可能性のある切り札だ。これの出しどころを……見極めないと。


 いやそれよりも……本当にカードバトル展開になるのかどうかをまずは見極めないとだよね……この段階でもいやな予感しかしないわけで。


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