#136:伏字な(あるいは、××××)
僕と真正面で相対する謎の元老院副議長:シバ=ンシは、先ほどからにやにやと事の成り行きを大して興味もなさそうな顔で眺めていた。余裕……なのか?
<3rd指名者:ムロト:着手>
5番目の僕の手番になってもそれは変わらず。目の前のバーに両手を引っ掛けてこちらを睥睨している。上位のホストみたいな出で立ちだが、どんなDEPがあるというのだろう?とにかく僕の番だ。今の僕の最大級……
「……友達から始めよ? って言われたから、でも××を伴うフレンドもあるよねー的なノリで、そのコの部屋に招かれた時に、思わず手が触れ合ってしまったから、勢いで○○に持ち込もうとしたけど、『ちょっと待って!』って拒否られたから思わずこう言ってしまったんです……『だって○○は××だったから、相当○が×的なことに、それでもって○○が××で××しちゃった! ××!! ××!!』」
突き抜けろぉぉぉっ!! ってあれ? 急激に場内がしんとしてしまったぞ?
「ゆ、ユーアー、キンゴブ淫獣……」
実況の桜田さんが思わずそう漏らす。もしかして引いていらっしゃる?
<ムロト:44,876pt:チョキ>
で、でもこの評点! ドン引かれはしたものの、結果オーライ。右手にいる丸男と目があったが、その瞬間、恐ろしいものを見るかの顔をしてガタガタ震えだした。何なの。
「……やるぜ淫獣。『44,000超え』っつーことは、相手がパー出した時点で勝ちは決まる。グーでも30,000超えが必要。こいつは初っ端で優位に立てる期待大だ」
アオナギは冷静な状況判断。だがしかし、この後、予想に反してそれを遥かに凌駕することが起こったわけで。
<3rd被指名者:シバ=ンシ:着手>
さあ来い! 僕は正面の対局相手を睨みつける。白っぽい金髪をさっとかき上げてから、オゥル・バラァー:シバ=ンシが着手する……っ!!
「……『ダメ人間 ああダメ人間 ダメ人間』、シバ=ンシです」
え? まさかのダメ川柳に会場の重力が増したかのような感覚が襲う。み、見掛け倒し! ミスター見掛け倒しだったよ、母さん!
<シバ=ンシ:8,209pt:パー>
思わず肉親に語りかけてしまったけど、出し手もパーて。何もかもあかんじゃあないですか。
「ご……59,105ボルティック相当のチョキが……いや、40,000以上は本当にボルティックが上乗せされるんだぜっ!? 指弾プラス電撃なんて、通常の括約筋を持つ人間には耐えられるわけがないっ!! 棄権してくださいっ!! 副議長っ!!」
桜田さんの切羽詰った感ある忠告がなされるが、40,000以上だと電撃って、それもまた聞いてなはぁぁぁぁい!