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ダメ×人×間×コン×テス×ト  作者: gaction9969
最終章:倚界の中心でミサキを叫んだ室戸
106/244

#106:六芒な(あるいは、アップtoダウン)


 説明が終わると、対局者には両手10本の指をそれぞれ通すリング状のものが嵌められ、そのリングから伸びる細いケーブルを腕を伝わらせ、背中にリュックを背負うようにバンドで固定された装置へと繋がれた。これもしや嘘を発見すると電流を流す機械なんじゃ……「嘘は御法度」という基本ルールは徹底されているようだ。


 そして全員の準備が済むと僕らは問題のすべり台設備……「スライド」へと案内された。中央に直径2m、深さもそのくらいはあるだろう、円筒形のアクリル製と思われる巨大な水槽のようなプールと呼ぶべきか? が鎮座している。中には水が満たされているのは言うまでもないが、その水が熱いのか?冷たいのか?それは見た目ではわからなかった。


「それでは〜、『スライディング・サークレイス』、ライドオン!!」


 円形プールから正六角形を描くように張り出された幅1m強、長さ10mくらいの樹脂製と思われる「すべり台」。その色は交互に赤青に塗り分けられている。察するに、自分チーム・相手チームと順々に隣り合わせになるのだろう。水槽分の2mくらいのタラップを登らされ、一人づつ、係員らしき黒服にそのスライドの端に座るように促される。


「ちょっとこれぇ、ミニスカートには不利ですよぅ〜」


 着座した相手チームのメゴ=マコちゃんが、膝頭をもじもじと擦り合わせながらそう言うが、いや、わかってたでしょ、これ。しかし膝上10cmくらいのチェックのスカートは、確かに危ない。僕も思わず目線がそこに行ってしまうが、いやいや、そんな場合じゃないだろ。


「……」


 6人全員が座ったのを確認された後、そのすべり台はゆっくりと角度をつけるように座っている側がせり上がっていく。角度は体感ではよく分からないけど、体が前に滑り出していきそうな感じは無い。ここが……ニュートラルということなんでしょうか。


 僕の位置を6時方向とすると、真向かいの12時の方にメゴ=マコちゃん(以下メゴちゃん)。時計回りに回って2時にアオナギ、4時にリポ=ッニちゃん(以下リポちゃん)、8時チマチ=カオちゃん(以下カオちゃん)、そして10時に口をぽかんと開けたままの丸男と。ちょっとは緊張感とか気合いとかは持てないのかと。僕は先ほどアオナギに耳打ちされたことを思い出してみる。


「……少年、こいつは短期決戦だ。『ウィナー』以外の5人の角度が10°ずつ上げられちまうっていうんなら、3回上げられたらもう体が滑り出すのを止めるのは困難だぜ。すべり台のあの幅も結構あるってのが曲者だ。滑り落ちるのを防ぐには腕・脚を突っ張るしかなさそうだが、その姿勢、もって何分ってとこだろうぜ。つまり30°上げられたらその時点でアウトと思っておいた方がいい」


 う、そうなのか。90°近くまでいけるんじゃないかと思ってたけど、確かに角度っていちばん体感じゃ分からないって言うよね。3回。猶予はそれだけ。でも逆に考えると、最初の3回で相手を上回れば、それで勝ちなのでは?


「……『パス』っていう要素がある。効果的に使うにはどうするか、っていうのはまだ分からねえが、評点はそいつがDEPを撃った直後には集計され、全員にわかるように表示されるそうだ。つまりやばそうな評点が出たら潔くパスしちまうのが生き残るコツなのかも知れねえ、いや、それもただの思い込みなのかもだけどよぉ」


 ……アオナギにしては珍しく逡巡した感じの言いようだった。元老院はそこらへんのことは知り尽くしているのか? ますます不安は増大してくるばかりであって。


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