#105:滑走な(あるいは、スライダーズ!)
「お次はナンバー10! 不思議不可思議、妙な顔! 百面の者、チマチ=カオちゃん!」
相手チームの紹介が続く。駒込の後は御徒町。やはりこのコらが元老院なのは、ジョリーさん情報に間違いが無ければ、確定的だ。チマチ=カオちゃんは右手を高く上へ、左手は手のひらを目一杯広げて前へ。
あれ、どこかで見たような……と同時に、顎をしゃくってキメ顔。アオナギといい勝負をしそう。ビジュアル的には圧倒的に上だとは思うけど。
「少年……あの娘は俺が止めるぜ」
そう思っていたところにアオナギから声が掛かるが、そんな対抗意識抱かなくても。
「最後!! 元老ナンバー13! 愉快、全開、いい機会! オッポチュニティー、リポ=ッニちゃん!!」
三人目、日暮里ちゃんは、おとなしめに両手を体の前でかわいく振っただけだ。茶系のロングもストレートで何か品のある感じ。
なるほど、三者三様のキャラが割り振られているわけか。僕ら6人は巨大な垂れ幕の前で対峙する。至近距離で向かい合うと、相手の3人は先ほどは見せなかったような、嘲笑のような表情を浮かべた。なるほどなるほど、なめてんな?
「決勝第一試合の対局ルールを説明するよっ!!」
セイナちゃんがバックスタンドの大型ビジョンを指し示す。そこには、
「『スライド×プライド』」
の文字が。と同時に、今まで謎の設備を被っていた銀色の大きな幕が、引っ張られるようにして取り去られる。その下から現れたのは、円周状に等間隔で並べられた、大きなすべり台だったわけで。
「各自、そこのスライドの上に着座してもらいますっ!! まず最初に抽選が行われ、選ばれた6人の内ひとりが『親』となり、その回の『お題』を設定していただきます!! 『親』の左隣の人から始めて、時計周りにお題に沿ったDEPを撃っていってもらい、最後は親の手番となります。そしていちばん良い評価を得た人が、その回の『ウィナー』となるわけです!!」
「スライド」と呼ばれたそのすべり台は、何かバラエティー番組で見たことあるような、大人が両手を軽く伸ばして届くくらいの幅の代物で、今は10°くらいの緩い角度を保っている。これ多分、角度が急になっていくやつだよね……何となく分かってきた。すべり台の先にはなみなみと水が張られたプールもあることだしね。
「『ウィナー』のスライド角は、その時点で10°分下がり、他の5名の角度は逆に10°上がります。ただし、一人三回まで、『パス』をすることが可能です! 『パス』をした回はスライドの変動はありません!効果的に使用してくださいねっ!!」
「パス」……何か戦略的なものを要求されそうなルールだ。
「最後まですべり台上に残っていた者の属するルールが勝ちのシンプルな戦い!! でもぉ〜、すべり台の上はチラリピンチが盛りだくさん!スカートの裾にも気を使ってね!」
うわ〜、あざといというか何とゆーか。しかし気になるところは、こちら側の人間がチラリしてしまうことだ。まあこのメイド服は膝下まであるロングスカートだけど、万が一、チラってしまったら(もしくはモロってしまったら)……評価に影響することは間違いない。その辺、気をつけないと。そして僕はまだ、この展開の読めない対局形式に不安でいっぱいだ。