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ダメ×人×間×コン×テス×ト  作者: gaction9969
最終章:倚界の中心でミサキを叫んだ室戸
100/244

#100:凡百な(あるいは、ここが開幕)


 溜王よ、僕は帰ってきた。


 神宮地下球場の観客席は昨日よりも埋まっているんじゃないか? 決勝出場者である僕は、昨日と同じくグラウンドの方へと案内されたけど、周囲から押し寄せてくるような人のさざめきにしばし圧倒されてしまう。予選の時に設置されていたアクリルのブースは見当たらない。代わりにダイヤモンドの中央に光沢のある巨大な布に覆われた何かがある。あ、怪しい……


「……」


 しかしそれよりもチームメイトを探さないと。昨日ボイヤスでトイレに立ったっきり、全く連絡を取ってない。制裁が待ってなければいいけど。グラウンドにいる出場者の姿は多く見ても50人くらいか?そのくらいなのに、肝心の目立つ容姿が見当たらない。


 それより結構見知った面子がいるぞ……カワミナミさんのすらりとした長身、そしてあの栗色の髪の華奢な人影はもしや初摩アヤさんでは……?思わずふらふらとそちらの方へ向かって行ってしまう僕。と、背後から突然、


「……むろとぉぉぉぉぉぉ」


 地の底から響くドスの利いたダミ声と共に、僕の体は軟体生物のようにぬめる触手に絡め取られた。うわああああああっ、と思わず声が出そうになってしまうが、その謎生物の正体は、


「どぅぉくぉほっつき歩いていたぁぁぁぁぁ?」


 やはり丸男だった。僕と同様、まだ勝負服は身につけてない。既視感のある蛍光ピンクのタンクトップに下は黄色のランパン。寒ないの?


 と、その後ろからは黒い革ジャンを羽織った相変わらずよれよれ感満載のアオナギと、純白のフリルにふちどられた漆黒のロリメイド服を着込み、同じく黒のフリルがあしらわれた謎傘を差した白おかっぱ、謎ガッパ、ジョリーさんが姿を現す。ひ、久しぶりです。


「相棒落ち着け。来たんだからよしとしようじゃねえか。少年、昨日はバックれたかと思ったが、賞金を手にせず去るとは思えなかったんで、まあ泳がせておいた」


 ぐ、それは図星だ。そして昨日6万の宿に泊まってしまった。サエさんに立て替えてもらったけど、早くお返しせねばだよね……


「今日が終わったらお前さんの分を手渡す。だからよぉ、今日一日はマジもんで取り組んで欲しいわけよ」


 それは……もちろんです。僕はぐっ、と頷くと、拳を握ってやるぞ、の意思表示をする。


「……ちょっと待ってぇん、ムロっちゃん、あなたまさか」


 ジョリーさんには感づかれた。慌てて笑顔で取り繕うとするが、


「……声出ないんじゃないのぉん?」


 ぐ、それも図星だ。昨夜冷え込んだ公園で色々したからか、喉が朝から非常に痛い。声を出すと気障りな痛みが喉奥で沸き起こるわけで。まずった。こんなコンディションで決勝を戦い抜けるのだろうか。早くも暗雲が立ち込めて来るわけで。


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