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なろうのルールを無視するからボッチになるのですよ☆

 汪真オウマくんが、毒者 (と思っている人)に言われた読みづらい部分を調べています。


「え? を作るときは『……』を使いましょう? でも、『・』はひと休みって意味じゃないのか? 6回休みとか意味が分からない。へぇ、『所謂』とかの小難しい漢字はひらがなに? 『閑話休題』で『それはさておき』とか読ませるのは問答無用で駄目? いや、知らないのが悪いんじゃないか? 調べれば出てくる程度なのに、ワガママすぎるだろ? ちょっと待ってくれよ、『とにかく』は『兎に角』で書くなだって? 正しく書いているつもりなのに、意味不明じゃないか。しかも、情報ソースも無いとか、独断と偏見過ぎて終わってるし」


 汪真オウマが愚痴ばかり言っています。


「うるせぇーですよ! いま、ヒロインを守って死ぬシーンでいいところなんですから、黙ってください」


 それを妖精まっちーがあたたかく見守っています。助言を与えて、汪真オウマの育成を促しているようです。さすが妖精まっちーですね。どんなときも、いつも汪真の成長を尊重しています。

 えっ? 罵声に見える? きっとそれは間違いで、これは妖精まっちーの裏返された愛なのです。だから気のせいですよ。


「そんなこと言っても、世間が間違っていることに異を唱えるのは個人と言う人間を尊重して――」

「ねーよ、クズが☆ アンタは頭が良い人に見せたいだけで、典型的な 脳みそが足りないタイプなのですよ♪」


 汪真オウマが本気で黙りました。こういうときは、けっこう怒っています。でも、妖精まっちーはだいたい正しいことを言いますので、とりあえずそのまま言い分を聞いてみることにしました。


「いいですか? ここは問答無用です。『①セリフと地の文章の間には改行を入れる』、『②が欲しいときは【……】を2の倍数だけ使う』、『③閑話休題とか、勢いでも読めない漢字は使わない』です☆」


 妖精まっちーが一気にまくし立てあげました。


「情報ソースは?」

「そんなのねーよ☆」


 理由も言わずないがしろにされた汪真オウマは怒りのあまりに黙りました。

 はち切れんばかりに怒りで震える声で、妖精まっちーに問いかけます。


「それこそパラダイムが凝り固まっているってやつじゃないの?」

「これを聞いても自分が正しいと思っているアンタがパラダイムに凝り固まっているんですよ。自分の内に正しさがあると思っているんですか? 初心者の癖に?」

「…………」


 お気に入り登録の数が少なめの汪真オウマは、それを言われると何も言えなくなりました。


「正しさなんてこの世には無いですよ。みんながソレをしているから、ソレに慣れて読みやすいんですよ。それ以外をやられると、読み取る側に手間がかかって面倒で大変だから不利だと言っているのです」

「いいや。不利だとしても、ここにいる俺が正しいと感じている。たった一人だけど、それは周りが盲信している常識に囚われているだけだ。多数の何も考えていない一般の中で、わずかに気付けた少数をないがしろにする周りが間違っている」

「そこまで言うなら、具体的には?」

「①のセリフの改行はローカルなルールだ。小説家になろうだけでしか見られない。だから、小説家になろうに投稿している書き手が間違っている」

「ついには書き手を全否定ですか!? 『コレの正しさは俺だけが知っている。盲信した世間に革命を起こせるのは俺だけだ!』とか? あはははっ、何を寝ぼけたこと言ってるんですか?」

「ローカルだろ? なら間違っているのは書き手じゃないか!?」


 汪真オウマが妖精に攻め寄ります。わりと強気になっている珍しい光景です。


「ちょっと勘違いしないでください。あなたが間違っているのを見て笑っているんじゃないですよ。そんなに怒らないでください。プッ、くふふふっ」

「じゃあ、何がおかしいんだよ」

「完璧に『頭が良い人に憧れている ダメ人間』の思想じゃないですか☆」


 心の底から澄んでいる純度100パーセントの満面のゲス顔に汪真オウマはもっと怒りました。


「じゃあ、説明できるなら説明してみればいいさ。おまえの言う正しさってやつをな!」

「いいでしょう。やれやれ、困ったものですねぇ」


 妖精まっちーが説明していきます。


「とりあえず、改行は会話の切り替えが分かりやすいからのようですね。いきなり 「」 を使われるよりも、これから会話に入る切り替わりを優しく書いていると考えれば、求めている読み手は多いのかもしれませんね。堅物の読書に慣れている人は珍しいのですし、このテクニックは初めて読書を楽しむ人向けじゃないですか? そういった意味では、今ではマイナーですが将来的には応用のテクニックとして扱われる機会があるかもしれません。手放しで全部を誉めているわけではないですが、なかなかのものだと思いますよ」

「でも、俺はここ以外では見たことがないぞ」

「ルールとして見たことがないから間違に違いないってのは、パラダイムが凝りかたまってますよ。そもそも、ここのサイトはスマホや携帯電話から読む人が他のサイトよりも多いので、小さい文字が密集しているのは読みづらいでしょうし、もしかしたら小説家になろうのデフォルトのフォント形式的なものが影響しているのかもしれません。そう考えると、ここで執筆するなら改行する文化に従ったほうが丁寧なんだなと思えますよね?」

「それはそうだけど、でも……。なんか納得いかない」


 妖精まっちーが微笑をしました。


「それはルールを守りすぎているんですよ。『自分が正しいから』で入るから、ハブられてボッチになるのです☆」


 さすが妖精まっちーです。さらっと言ってしまうところが本当に 外道……じゃなかった、女神ですね。


「その『正しさ』は何からやってくるのかを考えたなら、結局は多くの人が『良いね』と思うもの。つまり大衆に繋がるのですよ。ルールのできる流れっていうのは、実際に使ってみたら『良いな』と思ったものが広がったもので、実地から入るものなのです。そうして、多くの人が使って普遍的になったものが、一般的なものとしてまとまった結果がルールなのです」

「ルールから先に出来上がるわけではないということか。何かがあって、ルールがあとから付いてくるということだな」

「その通りです♪ 小説家になろうでは、たまたまローカル(変わったもの)が広がった土壌だったという話です」

「でも、その変わっている場所だからこそ、本当の正しさを押し出してもいいじゃないか? 世間的には正しいものだからこそ尊重されるんだろ? セリフと地の文章の間に改行とか、ローカル過ぎてまったく意味が分からない」


 妖精まっちーがヤレヤレといったように肩をすくめました。


「例え話です。世界的には『家は土足で上がるもの』なんですよ。でも、日本に住んでいるあなたの家に他人が土足で上がってきたらどうですか? しかも、あなたがくつを脱げと注意しても『世間ではこうなんだよ、世間知らずのバカかよ? 自分のローカルなルールを押しつけてるの気付いてる? m9(^Д^)ぷぎゃー 』とかやられたら腹が立つでしょ? それを聞いたあなた的には『うるせー、ここは日本だから さっさと靴を脱げファッ○ン!』って感じですよね。つまりです! あなたが世間の小説ルールを語るたびに、一般的な日本人もとい、この場合は小説家になろうを使っている一般の人は『これがここのルールなのに。なんだコイツ、ブン殴ってやりてぇ……!』と腹が立っているんですよ☆」


 そんな殺伐さつばつとしている奴が小説家になろうを使っている一般の人なのかと汪真オウマは疑問に思いましたが、たしかに妖精まっちーの言いたいことは伝わりました。『郷に入ったら郷に従え』ということわざがあるとおり、小説家になろうではそういうものであると重んじる大切さを汪真オウマは知りました。


「あなたが正しいと思ったなら、それはあなたの独特(オンリーワン)な感性なので大切にしても良いと思いますよ。そういう意味では、感じることができたあなたの長所は捨てなくてもいいです。でも、この場所ではこうなっているという状態には、それなりの理由があります。なのでその場の常識に従ってみてください。これが常識のはずだという自分の作った正しさのパラダイムを他人に押し付けていないか気をつけましょう☆」



◇◇◇



 『まっちーの助言⑩』

 小説家になろうで書くなら、小説家になろうの書き方を知ろう。



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