非常識の集まりでの常識って浮いてしまうよね
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昨日忠告されたわりには、実力テストは簡単であった。時々おかしい問題もでてきたりしたが難しいことではなかった。
この学校は個性豊かな生徒が多いからそれを見越しての部長のあの忠告なんだろう。
そして訪れる放課後、相変わらず足取りは重い。だったら部活をやめればいいのにって?そんなことをしたらどうなるか聞くまでもないよね?
「よし、これで新入生全員集まったわね。それじゃあさっそく今日の答え合わせといくわ。秘書の田中君、さっそく今日のテストの答えと新入生の解答用紙のコピーを持ってきて。
それじゃあドキドキワクワクの答え合わせを始めるわ!」
確かに友達との答え合わせはけっこう楽しかったりする。お互いに同じ答えであれば安心し、違う答えであれば不安を覚えたり、どっちが正しいかの勝負心を持ったりする。
うん、確かに楽しいほうだが…
「なんで俺らの解答用紙を持ってこれるんだよ。プライバシーはどこいった?」
プライバシーどうこうよりも普通に懲戒処分をくらうようなものであるであろうに、ここの教員は大丈夫なんだろうか?
法を犯さない程度にって部則どこいった?
「あら?ただ単にあなたたちのペンに細工をさせて貰っただけよ。あなたたちの書いた文字や紙の空白などおなたたちが解答用紙にかいたそのままをパソコンにデータとして転送させて、それを白紙の解答用紙にプリントアウトさせただけよ。
それと答えはテストが終わった後なら入手は容易だったわ。
では用意が整ったところで答え合わせへと移るわよ。」
何その技術?凄いを通り越して恐ろしいんだけど…
いつのまに日本はそんなもんを開発したんだ?
「なに静雄くん?ボーとしちゃって。なんか聞きたいことがあるなら早めに聞いといたほういいわよ。」
「そのペンの技術いつのまに開発されたのかな?って考えてただけだけどそういうこと部長は知らないよなぁ…」
「そりゃもちろん知ってるわよ。なんたって開発したのはうちの部の自称天災科学者の……ってあれ?名前なんていったっけ…
なんか長ったらしいから忘れたわ。
まぁいいわ。そいつは腕はいいんだけどね性格があれでね、基本表にはでてこないように言ってるのよ。
それで今日使われた技術はパソコンのキーロガーを参考にしたって言ってたかなぁ。
私が一昨年ちょっと入り用で相談したところあっさり開発してたわ。」
驚きどこ満載だよ。最後まで驚きたっぷりって、どっかのお菓子のCMみたいな感想しかないわ。
ここの部員はそいつに比べたら一般人の部類に入りそうだな。関わりたくないけど興味はわいてくるな。例えるならかなり性格の悪い美少女とかかな。見てるだけなら目の保養になるけどいざ関わるとストレスが溜まるようのと一緒だ。
「まずは設問を読み上げるから秘書の田中君は解答用紙に書かれている通りに読み上げてね。」
「はい、仰せのままに。」
「Q 地球から太陽までの距離はどれくらい?」
「俺が全力で走って一年だ」
直後に部長から秘書の田中へのドロップキックが炸裂した。
ドンマイ田中…、完全なる八つ当たりだね。
そして部長のドロップキック…なんか予想通りと言えば予想通りなんだけど、見た目は普通の女子高生がそこまでキレのいいものを繰り出せるものなのか…
「なんなのよこの中2くさい答えは!?試験を真面目に受ける気あるの?
誰だよこんな答え書いたのは?」
ツッコミもキレキレだね。
「それは我の答えだな。」
「えーとあんた誰だっけ?
まずは覆面をとってから名前を言って。」
「一橋光だ。お前の脳に入れておくがよい。」
「部長!」
「なに、秘書の田中?」
「ちなみにこの解答で部分点を貰えています。」
「光だからといってそんなんで点数あげんなせんこー!」
……ドスッ…
部長の助走をつけた全力のボディーブローが田中の腹に当たった。
だから田中ドンマイ過ぎる…
そして、見た目は真面目系の普通の女子高生なのに部長恐ろしすぎる。
「んじゃ田中さっさと起き上がって次にさっさと進んで。」
「はい、仰せ…ゴフッ。」
おいおい口から血を吹き出したぞそれやばくね?バトルマンガではよく使われる表現だが実際にパンチで吐血した場合内臓が潰れたとかでかなりやばい状況ってどっかで聞いたことあるぞ…
「はいはいみんな落ち着いて。それ血糊だから安心して!」
それはそれで問題があるような…
口の中に血糊って…
「じゃあ次の人いくわよ。
Q 地球から太陽までの距離はどれくらい?」
「い、いっこうかな?」
「なんでテストの解答でハテナが出てくるのよ!?
どんだけ自分の答えに自信ないのよ。この文じゃ行ける距離ではあるけど気軽にはいけないぐらいの距離に感じるじゃん。そんな距離だったら地球蒸発するわボケー!」
そして殴られ宙に舞う田中。なんか慣れてきた。もう驚くわけにはいかない。
「その解答僕です。
あっ、僕の名前は戸塚慎吾と言います。」
「わかったわ。じゃあ次いくからもう下がって。
はい、田中さっさと立ち上がる。
Q 地球から太陽までの距離はどれくらい?」
「かなり遠い」
「具体性が皆無とかもう点数取る気0じゃん!
こんなんで点数貰えるなんて甘い考えが通じると思って…そういえば一人いたね…
うん…これ書いた人ごめん…。」
「あんたが謝ってどうするんだよー!?
あんたがツッコミをやめたらこのよくわからない答え合わせが終わっちまうじゃねぇかよ。」
思ったことをつい口にだしてしまった。でも仕方ないよな?ここでツッコミ要因が減れば俺にそのしわ寄せがくるから仕方ないよな?さすがに俺一人でこの多数いる個性豊かな人たちを捌ききれる自信ないし。
「そうね。それでこれ書いたの誰?さっさと名乗り出なさいよ!」
「はい、私です…。私ですからもう怒らないでください…」
彼女は泣いているようだった。何故断定できないからって?まだ覆面をとってないからだよ。いい加減全員覆面を取れよ…
「渡部…ヒック…なの…ヒック…はです…」
「じゃあ次いくわよ。
Q 地球から太陽までの距離はどれくらい?」
「一光年」
「……なに真面目に解答してんじゃボケー!少しは遊び心見せたらんかい。
なにも面白くないわ。」
そして田中の顎に直撃する部長の回し蹴り。今までで一番威力が高そうだ。
俺のせいですまん田中…
「あっ、言ってなかったかもしれないけど田中君ドMだからみんな覚えておいてね。」
俺の謝罪を返せ田中。
辛抱強いなーとか思ってたけど単なる変態じゃねぇか。
「その解答俺です。」
「え?これ静雄くんの?
ないわーこれないわー、静雄くんには失望したよ。」
だからなんでだよ。テスト=真面目なものじゃなかったの?テストってそういうもんだよな。
「それじゃあそろそろ飽きてきたし次の問題いくわよ。次の問題は単純な穴埋め問題だね。
Q かきくえば かねがなるなり 〇〇〇〇〇〇」
「さんじょうす」
「どう考えたらこんな答えがでてくるのよ。
これ書いた人でてきて説明しなさい。」
「はい、僕です。
それって、かきくえばかねがなるなりさんって人がいてその人が現れたときのもんじゃないんですか!?」
「たしかに昔の人の名前は長たらっしいのが多いけど、そんな俳句だったらだからどうした?ってなるわよ!そんなもんが後世にまで続くわけないでしょ!?」
「部長お怒りのとこ一ついいか?」
「なに?静雄くん?」
「俺からすればほとんどの俳句がだからどうした?って思えるんだけど。」
「たしかに……ってそんなんダメだよ。納得しちゃダメだわ。偉人たちの苦労の結晶なんだから。
それより次、次の人いくわ。
Q かきくえば かねがなるなり 〇〇〇〇〇〇」
「キーンコーン」
「……フフッ、キーンコーンそしてカーンコーンって学校のチャイムか!?まったく風情がないわ。」
今笑った?笑ってたよな!?ツッコミがボケに笑っちゃいけないだろ。
「わ…ヒック…私です…」
「あらそうだったの?ってねぇ泣き止んで…泣き止んでなのはちゃん。
はい、ヨシヨシ。」
「子供か!?」
「あら静雄くん、私たちまだハタチになってないピッチピチの子供じゃない?」
たしかにそう言われると子供の部類ではあるけれど…
あるけれど俺達もう高校生でそれはないだろって話だよ。
高校生は気持ち的に言えばもう大人と子供の境目の時期じゃん。
でもここでいちいち突っ掛かっては話が進まないのでこみあってくる言いたいことを喉のところで押さえておくとしよう。
「じゃあ次いくわ…
Q かきくえば かねがなるなり 〇〇〇〇〇〇」
明らかにテンションが下がっている。泣かせたことを気に病んでいるのかな?
「ほーほけきょ」
「季節ハズレだろー!いやそこだけじゃないけど。
これじゃあ秋になってもパートナーが見つかんなかった憐れなウグイスの俳句じゃない!?
解答者はウグイスになんか恨みでもあるの!?
っで解答者は誰なの?」
「はい、はーい私、雪子でーす。だって当たり前に結婚できると思ってたらそんなことなくて焦ってるってなんかそそりません?今までの幸せが一気に崩れ落ちるとかそそるじゃないですかー。
それを人間にも当てはまると危惧した俳句かと。」
「えっ!?じゃあ私はそろそろパートナーを見つけるべきなのかな?まだ学生だから大丈夫、じきにいい人が現れると思ってると危ういかも。雪子忠告ありがとう。だけど悲しいことにそれは正答じゃないの。
あー、あと静雄くん、あとで二人きりで話したいことあるから今日の部活終わった後少し残って。
じゃあ気を取り直して次の人いくわ。
Q かきくえば かねがなるなり 〇〇〇〇〇〇」
ちょっと待て。なにその婚期を逃したOLみたいな雰囲気は?怪し過ぎて安心して次にいけないわ。
「だろわとそん」
「お前は何を推理してんだよ。そして俳句は日本の文化でしょ!?外国の方に受け入れられるのは嬉しいけどなんか違うわ。」
「それはミーッスね。最上謙也ッス。」
あーそういうことか。つまり最上は外国かぶれということか。チャラさが明後日の方向に行ってるかわいそうなやつだな。
そういえばかわいそうといえば部長のツッコミの度に田中にバイオレンスなことが起きているが本人は喜んでるらしいし俺の気にすることではないか。
いちいちドMの描写もしたくからカットさせてもらってるし。
「えーと、次の人でこの問題最後にするわね。
Q かきくえば かねがなるなり 〇〇〇〇〇〇」
「人間だもの…」
「いちいち読み上げてなかったけど設問の注意書きにひらがなでって書いてあるでしょーが!?答えを間違えることはまだしも設問はちゃんとみようよ。」
「だ…だって…」
「だって何?」
「人間だもの…」
「もういいわ。人間だからって全て許される訳じゃないだけどね。っであなたの名前なんだっける」
「伊田みつお…」
惜しい。もうちょっとなのに。
「静雄くんのも気になるとこだけどどうせ真面目に受けちゃったみたいだし予想はつくからいいか。」
ちゃったって何?ちゃったって?
………それからしばらくこんな感じに答え合わせが続いた。
「じゃあこれで今日は解散ね。みんな面白い答えばかりで楽しかったわ。また明日~!」
答え合わせが終わった後、俺はボーとしていた。ちゃったの部分があの後ずっと気になっていた。そしてもう一つの重要なことを忘れていた。
「みんなは帰ったわね。ねー静雄くん大事な話だからちゃんと聞いてね。」
そっちのほうのことすっかり忘れてたわ。別に嫌いってわけじゃないけど…
「今回のテストね生徒のことを見るためのテストだったの。うーん、なんていうかな中学の内申だけじゃわからないこと生徒の考え方を知るためのテストと言うべきかな。
だからね静雄くんこの学校で真面目に受けたらどうなるかわかる?」
「え?」
それがどうしたのか?話される内容は予想外だったが、そんなダメなことでもなさそうなんだけど。…
「つまりねこれから先生からの指名がほとんど静雄くんに集まるのよ。」
「いやいや、なんでそうなるの?」
「だって考えてたみて?あんな頭お花畑の集まりのなかにまともなそうな人がいればその人に質問が集まるのは時間的にも精神的にも当然の話でしょ。」
…………そして部長の予想通り授業の先生からの指名は俺に集まることとなった。
次回は人物紹介の回となります。
人物描写をしていなかったための結果ですのでお詫び申し上げます。
言動から人物をイメージしてもらおうと当初考えていたのですが現段階でそれは難しいと考えました。