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英雄にはならなかったとある冒険者  作者: 二月 愁
第一章 英雄の帰還
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王都オーフェン 4

 俺ははっきり言って目立つのは嫌いで苦手だし、争いも好まない。そんなんだからフィンやツルキとの時間を除けば生きてきたほとんどの時間を一人で過ごしてきた。

 だから今置かれている状況は俺には非常に好ましくない。静寂と緊張が入り混じった広い玉座の間の中央に俺と少し後ろにレイアードが立っているわけだが、それを囲うように壁沿いにズラッと鎧を着た騎士たちが隙間なく並んで俺たちの動向に注視している。

 そして少し見上げるような場所には威厳のある薄い紅色、むしろ桜色に近い髪をした男性が鎮座している。このヘスティア領の国王、ヘムート・ヘスティアである。その脇を固めるように彼の正妻である女王陛下とおそらく第一皇子と思われる人物が立っている。そしてその兄弟・姉妹の並びを流しながら見る。全員が全員、真紅というわけでなく濃淡があり、その中に唯一真紅と言っていい色の髪をした少女がいた。

 彼女を見つけた瞬間、目が止まった。燃えるような真紅の髪をした少女、ルナである。俺が彼女を見慣れているからというのもあるだろうが、それ以上に別の魅力を感じた。

 全員美男・美女揃いであり、髪の紅色と同じような力強さを表情や雰囲気から感じるのだが、ルナだけはそれが感じられない。というか物凄く申し訳なさそうな顔をして、今にも泣きだしそうな表情である。

 だがそれが逆に妖艶な魅力にもなっている、いわゆるギャップ萌えである。


(てか、なんで泣き出しそうなんだ?)


 思わずルナを観察していると向こうも俺が見ているのに気が付いたようで、必死に何かを伝えようとしている。だが、もちろん動いてはいけない状況下なので目で必死に訴えてくるだけ。残念ながらアイコンタクトで伝わるような仲ではないので分かるわけもなく、むしろどんどん顔が赤くなっている。


(表情が豊かだな……)


 ルナの必死さを無視した感想を抱きつつ、真正面に座る男に再び目を向ける。ルドルフ曰くこの人から何か説明があるという話だった。互いに目を合わせたまま待っていると――――国王が口を開いた。


「此度は色々と試すような真似をしてすまなかった。それだけ困窮した事態だと理解してくれて構わない。それで、だ……貴殿がルナを送り届けてくれた冒険者で違いないか?」

「色々と訂正したい部分がありますが……一応そういうことになります」


 素直に「そうです」とは認めたくない。最後はレイアードに任せたし、そもそも冒険者じゃなく旅人のがしっくりくるし。

 

「ルナ、間違いないか?」

「はい、間違いなくこの方がマフユ様です」


 確認のためルナにも俺が本物か尋ねた。ルナは申し訳なさそうな顔をしながらも、肯定した。

 それを聞いて国王は顎鬚を撫でながら「ふむ」と何かを納得した様子だった。それから何かを考えているようで黙ったままである。

 俺としては正直前置きは面倒だし、鬱陶しいので失礼だと自覚を持ちながら本題に切り込んだ。


「それで今回は善良な小市民の旅人の俺に何の御用で?」


 ふてぶてしい態度で礼儀というものを全て無視して挑発的に質問した。目立ちたくはないが、もう目立っているのであれば堂々としていた方が色々と都合がいい。こんな空間に長居をしたくはないし。

 しかし残念なことに、あるいは予想通りとも言うべきかもしれないが、居心地が悪い空間がさらに居心地が悪くなった。


「貴様、王の御前でなんと不届きな!!」

「調子に乗るなよ!!」

 

 見事に俺を囲うように立ち並ぶ騎士たちの顰蹙ひんしゅくを買った。

 怒気含む声で牽制しながら、腰の剣や手に持つ槍を構える。怒りと殺気が入り混じった不穏な空気が漂う。表面上は堂々とそれらを受け止めているが、内心はやりすぎたと若干反省している。


(だからって今更謝ってもどうにもならないしな……)


 この張りつめた空気の中ただ一人だけ場違いな男の方を横目でチラッと見る。武器も構えず相変わらず飄々としたまま、素知らぬ顔をしてる騎士――――ルドルフである。


(……ずいぶんと忠誠心の薄い隊長だな)

 

 俺が作り出した雰囲気なのだが、現実逃避するべくルドルフに呆れた視線を向ける。

 ルドルフはそれに対し、明らかに場違いな表情を向けてくる。


(……楽しそうな顔しやがって)


 ニヤニヤとこれからどうするんだ?と言いたげにしている。

 確かにどうにかしないといけないのだが、生憎スマートに場を治める方法が思いつかない。無表情をのまま考えていると、思わぬとこから助け舟が出された。


「全員、落ち着くのだ」


 感情を一切含まぬ低く厳かな声が広間内に響き渡った。その声によって一瞬にして静寂を取り戻し、殺気や怒気も霧散した。


「この者は客人だ、多少の粗相ぐらい気にもせん。すまんな、皆決してお主のことを嫌っておるわけではない。少し気が立っておるだけなのだ」


 国王の誠意ある対応を前にしながら、俺はどこまでの粗相が許されるのだろうと、失礼極まりないことを考えていた。

 もちろんそんなことはおくびにも出さず、上面だけの謝罪をした。


「いえ、こちらこそ失礼をしました。いかんせん教育をまともに受けていないもので」

「なら無理をする必要もない。儂も堅苦しいのは好みではないのでな。お互い気楽にしようではないか」


 多少砕けた口調で話しかけられ、困惑しかけたが俺としてはこちらの雰囲気のが話しやすいと思った。


「それではありがたく最低限のみにさせてもらいます」

 

 簡単に謝辞を述べ、周囲の様子をうかがう。相変わらず一人の例外を除いてはいい顔はされていないが、文句を言ってくる様子もなければ、急に斬られる心配もなさそうである。

 だからと言って油断はせず、いつ何が起きてもいいようにだけは備えておく。


「さて、お主への用件なのだが……その前に現状でのヘスティア領に何か感じるかね?」

「……表面上はとても平和に見えますね」


  ガラッタでの一幕とルナの話を聞いていない場合での率直な感想を述べた。まだオーフェンに来て間もないが、街は活気に溢れているし、これと言って差し迫った問題も見えない。だが、これは本当に表面だけでの感想である。


「では裏はどう思うかね?」

「一応聞いておきますが、それは政治面などではないですよね?」

「無論だ」


 九分九厘そうだとは思っていかが、一応確認してしまった。政治とかそんなの分かるはずがないし、何より初めて来た人間にそんな事尋ねる人が統治していたら確実に国はほろびる。

 無能な王でないことを確認したところで、推測を述べる。


「ルナから聞いたとは思いますが、俺たちはガラッタで謎の魔物と戦いました。アレはその辺の魔物のレベルじゃない、明らかに異形のもでした。そしてルナから聞いた限りでは、女神との交信が出来ていないらしいですね?……冥界の神の魂が封印されている場所に何かありましたか?」


 国王だけでなく、その周りの親族も、そして騎士たちでさえ無言のまま顔を歪めた。

 その反応を見て確信した。それと同時に彼らの対応の遅さに呆れて、思わず語気が荒くなり、口調も素に戻ってしまった。


「だったらすべきことはまず公表することでしょう。体裁や威信なんて気にせず、周辺国に協力を要請し、高ランクの冒険者を集めて事態を早急に解決すべきだ。俺のような無名の人物を呼び寄せるまえにな」

「そんなのは分かっているさ。しかし、我らは古来より代々受け継がれる八王家の中でも現存する数少ない王族だ……簡単には割り切れぬ。何よりまだ何が起きているか()()()()()()()


 八王家とは遠い昔、オリュンポスの8柱に気に入られ、この人界の前段階を創った者たちの末裔であり、今では古来より残る王家はヘスティア家を含め半分以下となっている。そして衰退した王家の末裔たちは今はこの世界のどこでひっそりと冥界の神の魂の封印を代々見守っている。

 もちろん現在でも八王家あるが、それは後から加入した者たちを含めてである。なのでプライドや体裁、威信などは重んじる価値は十二分にあると言える。

 しかし俺にとってはそんなものは下らない、と吐き捨てようと思った。実際そんな肩書など自分を大きく見せるだけの飾り(アクセサリー)でしかなく、本当の人の"強さ"ではない。

 だがそのあとの言葉が俺の口を閉じさせた。


「分からない?見に行ってないのか?」

「見に行こうとしたのだよ……しかし行けなかった」


 そこでハッと思いだしルドルフの方を見た。右拳をが震えるほど握りながら、苦虫を噛み潰したような顔をしている。


「……何かか阻んでいるってことか?」

「何人も立ち入れぬようにするために我が王家に伝わる秘術でとある墓守を召喚したのだ。……しかしそれが急に暴れだしてしまい……」

「その結果ミイラ取りがミイラになってしまってどうにもならない、と」


 これで全てではないが、ある程度は得心がいった。ルドルフのあの言葉はおそらくこのことを指していたのだろう、彼も挑戦しダメだった。

 そして何が起きたのか確かめる術がなく、何が起きてるか詳細が分からない以上他国にも言えない。

 納得は出来ないまでも、それなら一応は筋が通っている。

 だが、一つだけ狐疑こぎなことがある。


「なぜ、俺なんですか?正直俺は無名の、しかも旅人ですよ?」


 俺は"空位"なんて馬鹿げた称号を持ってるが、あくまでも俺の名前は知られていない。俺なんかより後ろで跪きながらオロオロしてるレイアードのがまだ名が通っている。

 そこで俺と言う選択肢が現れる要素がどこにもない。馬鹿げている、気は確かか、と問われてもおかしくない。

 現に王たちの後ろに控える宰相や大臣らしき人物たちは俺を怪訝な目で見てる。


「確かに君は旅人かもしれぬ。しかし、その腕はただの旅人の規格には当てはまらぬ。ルナとルドルフがそう言うのだから間違いないだろう」


 ムッとルドルフの方を睨んでやった。動向を観察するんじゃなくて戦力として観察していたなど聞いていない。しかも睨まれた本人はしてやったりと言わんばかりの笑みを浮かべている。


(もっと本気で脅してやればよかった……)

 

 謎の後悔をしながら国王のほうに視線を戻す。そこで目が合い、フッと笑った。

 

「なにより雰囲気・風格・態度をこの目で見て君は只者ではないと、そう感じた。だから……頼む」


 そうして頭を下げられた。決して額を地面に擦り合わせる土下座や目上の者に対する綺麗な頭の下げ方ではなく、少し頭を下げただけの物である。しかし、王ともあろう人間がそんな態度をこんな衆人環視の前でそんなことをしたことに面を食らってしまった。


(この国の王族にはどうにも調子を狂わされるなっ)


 ボサボサの頭をガシガシとしながら、自分に嫌気がさしていた。


「……そこまでされたら断れませんね。分かりました、微力ながら手を出させて頂きます。それと、今までの非礼お許しください」


 ひざまずこうべを垂らした。これが俺のできる、この王の真摯さに対する誠心誠意の対応であった。

 周囲には驚きの声が漏れていた。当然だろう、今まで反抗的な態度のが多く、ましてや礼を逸脱していた男が急にこんなことをしたら誰でもそんな反応を示すだろう。俺ですらその事に多少の驚きがある。

だが今はそんなものが気にならない、不思議な気分だった。


 そのまま謁見は終了し、会食へという流れになりかけたのだが、それは俺が全力で拒絶した。礼儀や作法マナーなどと言った堅苦しい中で飯なんか食べても味すら分からないだろうし、おそらく周りには見張りやら何やらぎっしりと固められ、精神メンタルの弱い俺は確実に胃がキリキリと悲鳴を上げるに違いない。

 なので何かと理由をこじつけてなんとか会食イベントを回避できた。だが――――


「ふむ、そういうことなら仕方ないな。……そういえばルナ、食事の約束をしておるのだな?」

「はい、お礼も兼ねて……」

「ならば、マフユよ。これからルナを連れて食事に行って来たらどうだ?」

「ルナ様と、ですか?」


 確かに約束もしてるし、俺としても情報を頂けるならありがたい。だが、ここで儂も一緒にとか言われると困るし、護衛も付いて来られると嫌だというのがある。


「そんなに堅苦しいものにはせんよ。護衛もいらんだろうし、お主たちだけでの食事を楽しんできてくれ」

「そういうことでしたら……ルナ様どうでしょうか?」


 顔に出さないようにしていたはずなのだが、どうやらばれていたらしい。これ以上何かを顔から詮索されたくないので、ルナを誘う形で王から顔を反らした。


「ぜひ、お願いしますっ」


 とても元気な返事が返ってきた。しかし、すぐに彼女の顔が一瞬だけ曇った気がした。

 声を掛けようとも思ったが、何を言っていいのか分からず、そのまま王宮を後にした。


 貴族街を馬車に揺られながら抜け、俺とルナ、レイアードの三人は城下町の方にやってきた。日中に比べると街灯の灯りだけでは暗く注目されにくいはずなのだが、それでも視線が嫌というほどこちらに向けられている。

 俺の右には真紅の髪を一つに纏めたルナが優美に歩いており、その反対には冒険者らしい服装ながらもそれが逆にワイルドなイケメン感を演出しているレイアードがいる。

 二人の間には枯草色の外套を頭から被ったとても貧相で貧乏そうな俺――――完全に場違いである。


(……すごく申し訳ないな)


 俺のようなやつがこんな二人に囲まれてごめんなさいと謝りたくなるくらい視線が痛い。こういう場面ではどうにも強気になれない。

 体をなるべく縮りこませ、少しでも目立たないように努力する……完全に無駄な努力である。


「兄貴、何してんすか?」

「……うるさい、ささやかな抵抗だ」


 レイアードは頭の上に疑問符を浮かべているが、ルナは何に抵抗しているのか分かったようでクスクスと控えめに笑っている。その仕草は周りの男どもを余計に虜にし、胸を苦しそうに握っている。見ているこっちからすれば大変不愉快である、男のキュンなんて需要はない。


「もう少しで着くのでそれまで我慢してください」

「……ああ」


 ルナの気遣いに対し、多少ぶっきら棒に返してしまったが許してほしい。目立った上に男のキュンを見せられた人の気持ちを察してほしい。

 そんなことぶつくさと心の中でぼやいていると、すぐに目的地に到着した。


 地味というよりは落ち着いた意匠を凝らした店と言うのが適切な雰囲気の店構えだった。店内も満席だが、決して混み合っているというよりは一人一人の空間を広くとれるように工夫が凝らされており、酒場などの喧騒が一切なかった。

 ルナが店員に名前を告げると、店の奥にある個室に案内された。ここなら心配ないだろうと珍しくフィンとツルキを外に出してやり、俺は外套を脱ぎ、アンティーク調の椅子に腰かける。


「うーん、やっと外に出れた!!ルナ、久しぶりだね」

「お久しぶりですね、フィンさん」


 俺の肩の上でグイッと伸びをして、そのままルナの前に飛んでいき挨拶を交わしていた。一国の王女様に対し馴れ馴れしく挨拶する相棒フィンを見て思わず考えてしまった――――俺がフィンに似たのか、それともフィンが俺に似たのか。


(……どっちにしろ、失礼なコンビというわけだな)


 失礼という結論が出たところで、飲み物と前菜が運ばれてきた。この店は城下町に位置しているが、貴族の常連何かも数多くいるので料理のレベルはかなり高く、その割にリーズナブルと小市民の懐にも優しい良心的な店である。

 

「こういう場所でどうかとは思うが……乾杯」

「「乾杯!!」」


 俺のあまり乗り気でない音頭に合わせ、遠慮気味なルナと冒険者ノリのレイアードが後に続き、グラスの綺麗な音色が響いた。

 その後次々と運ばれてくる料理は素晴らしいものばかりだった。味が良いだけでなく、嗅覚で感じ、目でも楽しるという今まで体感したことのない料理を堪能した。

 しかし、残念ながら俺に食事を美味しいさを伝えるなんて器用な真似ができるはずがなく、おいしいと単純で馬鹿でも言える感想しか出てこなかった。

 自分の情けなさを実感しながらも、ある程度落ち着いたところを見計らい本題を切り出した。


「なあ、ルナ。知ってるだけでいいからこの国で何が起きてるのか教えてくれ」


 ルナは持っていたナイフとフォークを丁寧に置き、居住まいを正し俺の方を見た。


「はい。ですがその前に……すいませんでしたっ」


 結わえられた髪がフワッと浮き上がるほど勢いよく頭を下げられた。

 何を言われたのか分からず、浮き上がった髪が落ちていく様をただ茫然と見ていた。


(すいませんって言われたのか?何に対して?)


 彼女の言葉を頭の中で反芻することでやっと理解することができた。ただやっぱり何に対し謝罪されたのか、皆目見当がつかなかった。

 ルナ曰く、俺が国王の目に適った原因がルナらしい。なんでも俺のことをとても頼りになる冒険者だとエピソードを交えて話したらしい。その話を聞いて俺に興味を持ちルナが知らぬ間に俺を追い回し、城まで連行した、とのことであった。


(なるほど。それに罪悪感を感じてるのか)


 謁見の間で視線でいろいろ頑張っていたのもどうやら謝りたかったらしい。一切伝わらなく、むしろ俺はそれを楽しんでいたが。


「本当に申し訳ありません。マフユさんは目立つのがお嫌いと言っていたのに……」

「別に気にしなくていいよ。それにどこにもルナが悪い要素は無いんだからな」


 そう言いながらルナの頭を撫でてやる。何か言い返そうとしていたルナが、みるみる内に赤くなり、最終的に顔を隠すように俯いた。


「兄貴ってやっぱりすごい人なんすね!!」

「は?何がだよ?」


 俺とルナのやり取りを見ていたレイが急に変なことを言いだした。今のやり取りのどこに変な要素があるのか……王女の頭を許可なく撫でるとこか?

 訝しげな視線をレイアードに向けると、逆に疑問を返された。


「え?兄貴、無意識っすか?」

「……何がだよ?」

「あのね、レイ。マフユはこういう男なのよ。昔っからそうなの」


 なぜか俺の代わりにフィンが答え始めた。しかも溜め息混じりに完全に呆れたって感じのポーズまでして。

 頬を真っ赤に染めたまま俯くルナ、さらに目を輝かせているレイアード、呆れながらも睨んでくるフィン。収集が付かないと悟り、コホンと軽く咳ばらいをして話題を戻すことにした。


(これは逃げではない、戦力的撤退だ)


 自分の中で情けない言い訳がエコーのようにずっと鳴り響いていた。

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