【第1章】 これ、なんですか?
もしも、目が覚めて異世界にいたら??
誰しも考えたことはないだろうか?
もし、自分の生まれる世界が、このせかいでは、なかったら?
もし、この世界の他にも、他の世界があったら?
もし、そんな世界に行くことが出来たら?
そのときは、どんな事をしますか?
【第1章 これ、なんですか?】
「ふぁーーー。
退屈すぎる…
何で、こんなことばかりなんだろう?
もっと、楽しいことがあったらいいのに。」
授業を聞きながら、そんなことを考えるのは、高校2年生の宇島 結衣。
何の平凡もないただの女子高生だ。
ただ、変わっているのは、他の同学年の子りも、アニメや漫画が少し好きすぎるくらいで。
「はぁーーー。
いつも、いつも同じことの繰り返し。ただ学校に行って、家に帰って、ご飯食べて、寝て。
また、学校。
授業も退屈だし。
うん、寝よう。」
そう、心の中で決意して、授業中だが、眠りにはいっていく。
「先生の呼ぶ声も聞こえるけど、まぁいいや。
今は、日本史か。
まぁ、後で友達にプリント見せてもらって、写して、覚えたら、赤点は回避出来るし。
あぁ、退屈。」
キーンコーン、カーンコーン
ん?
あぁ、終わったか。
「ゆいー。あんた、また寝てたでしょ?先生怒ってたよー。」
そう声をかけてくるのは、仲道 桜。
高校入ってからできた、友達。クラスメイトだ。
「うん、だって退屈だし。あ、プリント見せてー。」
「ったく、あんたって寝てるくせにとりあえずの点数はとるから、先生も黙ってんのよねー。」
「だって、日本史なんて覚えるだけだしねー。しっかりやったら、多分まだ出来るけど、めんどくさいし。」
「まったく。あんた、そのセリフ日本史苦手な生徒と先生敵に回すよ。はい、プリント。」
「あ、ありがとー。何か、楽しいことないかなぁ??」
「どしたの?まーた、マンガやアニメのこと考えたてんでしょ?」
「あ、わかった?」
「わかるわよ。一体どのくらい付き合ってると思ってるの。あんたの漫画好きはしってるわよ。」
「また、何かの漫画とか新刊でたかなぁ?あ、貸してー。」
「ったく、あんた、本当本がすきねー。」
「まぁね。図書館の物語系。特にファンタジー系はほとんど読破しちゃったからねぇ。
もう、漫画にいくしかないのよ。」
「あんたほど、本を読んでる人いないと思う。
特にファンタジー系や伝記はあんた片っ端から読むからねぇ。」
「うーん。なんか昔からなんだよねぇ。小学3年のときにはギリシャ神話の読んでたからねぇ。」
「普通の小学3年は読まないわよ。
あたしも未だに読んだことないし。」
「えー、結構おもしろいよー」
「その感覚が分かんない。」
「いやー。たまに思うんだよね。あたし以前そんな世界で生きてたんじゃないかって。」
「また、始まったよ。結衣の空想物語。さてさて、んじゃ帰りますか。」
「んじゃ、また明日ねー」
「うん、またねー」
あたしは、桜と別れて、昇降口に向かった。
「おまたせー」
「ゴンち、遅いよー」
「ごめんごめん、ホームルーム長引いちゃって。」
昇降口で待っていたのは、田中さゆみと脇坂智美
中学から同じ高校に進学した。
うちの高校は家から遠く、電車、バスで、2時間かかる。
そのため、他に進学したのは同じ中学から他に2人だけだ。
ちなみに、ゴンちというあだなは、小さい頃すこーし他の子より活発で、男子をよく追いかけまわしていた為、ゆいごん。という不本意なあだ名を付けられた名残だ。
「んじゃ、帰ろうか。」
「もうすぐ夏休みだねー
っていっても、あたしたちは学校だけど。」
「夏期講習退屈だねー。」
「お盆くらいか、休みは」
「どこ行くの?」
「うん、あのねー。うちはばぁちゃんちかなぁ。
片付けしないといけないみたい。」
父の実家は昔は名家だったらしく、家や畑はとりあえずでかい。
あたしの小さい頃には牛舎があったくらいで、牛にわたしも餌をやっていた。
「まぁ、そんなものだよねぇ。
実際、彼氏もいないわけだし。
うちの学校、そんないい人いないし。」
確かに、うちの学校にはいい人いない。
漫画やアニメみたいにかっこいい人がいればいいが、そんなのは所詮、空想だ。
「んじゃ、またあしたねー。」
普段通りの会話。日常。
そこから何か変わらないだろうか。
そんなことを思いながら、日々を過ごしていた。
まさか、父の実家で、あんなものをもって帰らなければ。
「ただいまー。」
「おかえりー。相変わらず、遅いわね。」
「まぁね。だって、遠いし。」
「なんか、明日休みだから、お父さん、実家帰るって。」
「は?だって、もうすぐお盆だから、そのとき帰るんじゃないの?」
「まあ、言い出したら聞かないからね。泊まる準備しないとね。」
「あー、もうめんどくさい。んで、あやのとゆあは?」
「あ、もう帰ってるわよ。」
「ただいまー。」
「お姉ちゃん、おかえりー。」
「おかえりー。」
「あんた、また携帯ばっかりして…」
綾羽は高校1年生。
一言で言うと、今時の子だ。
優未は今年から幼稚園に行っている、4歳だ。
おかげで、迎えに行く日もあるが。
「明日から、お父さんのばあちゃんちいくってさ。泊まる準備するよ。」
「え?また、お父さん決めたの?」
「らしいよ。はい、さ、するよ。」
うちの父はいいだしたら、他のことはもう聞かない。
明日は、どうなることやら。
父の運転で実家へは約二時間。
「ばぁちゃん、じいちゃん、ただいまー。」
「おー、よく来たな。まぁ、ゆっくりしてけ。
ちょっと、牛舎の上を片付け用と思ってな。
お父さんに来てもらったんだよ。」
「あー、って言うか、あそこ一体、何年手をつけてないのよ!!
あたしの知ってる限り、優未のお雛様出しただけじゃない?
つまり、10年ちかく、そのままだよね?じいちゃん‼︎」
「まぁまぁ。いいのがあったら、もって帰っていいから。」
はーー。
「とりあえず、妹たち連れて見に行ってくる。綾羽、優未、行くよ。」
「えーー、あそこきたないじゃん。」
「やったー、登れる!!」
正反対の反応。まぁ、普通は綾羽の反応が普通だろう。
あー、そういや、優未は一回止めたっけ。
「綾羽、文句言わない!行くよ!」
「あー、もう。とりあえず、見るだけだからね。」
牛舎の上の物置に行くためには、急な階段を上っていかないといけない。
ちなみに、ライトとかないので、昼までもとても暗い。
「うっわ。想像以上にくらいし、埃っぽい。」
「綾羽ー、優未ー、大丈夫?なんかありそう?」
「いや、なんかあるって言うより、蜘蛛とかなんかいそう!!」
「優未もおりるーー。」
まぁ、その反応が普通だろうね。
優未に至っては、先ほどまでの元気の良さはどこに行ったのやら。
ちらっと見た限りなんもなさそうだし、降りるか。
「ん?なんだろ、この箱?」
ふと、目に止まったのは、古い木箱。
「お姉ちゃん、何それ?」
「さぁ?とりあえず、開けてみるか。」
中を開けてみると、そこには古い鏡のようなものが入っていた。
「なんだろ、これ?」
「鏡?」
「まぁ、とりあえず、これもって降りるか。ここじゃよく見えないし。」
とりあえず、ポケットにでもいれとこう。
「おりるーー。」
優未が隣で泣きそうになっている。
「はいはい、降りるよ。2人とも。」
その日の夜はいとこも集まって、外でバーベキューをした。
うちのいとこは全員女だ。男が一人もいないことには最初はじいちゃん、ばぁちゃんも残念がっていたが、みんな、かわいがってくれて、従兄弟とも全員仲がいい。
ちなみに、この家は本当とりあえず広い。
外でバーベキューなんて、中々出来ないし。
その日の夜は、従兄弟とも全員集まって、客間で寝た。襖を外せばひろくなる。
さすが、日本屋敷。
あたしはそのとき気づかなかった。
鏡が光っていたことに。
「んじゃ、帰るか。明日から学校だしな。」
おい、親父。
あんたも仕事だろうに、なんでいつも、この硬強スケジュールで来るんだ。
まぁ、鏡も家に帰って、詳しく見るか。
車の中では爆睡して、帰った。
なんだろ、この鏡、てか、これ鏡?
なんか、裏にはなんかの紋章みたいなのついてるし、脇には縁取りと言うか、なんかの文字のような物がかきてある。
もしや、これをもってたら、なんか起こるとか?
アニメや漫画みたいなこと起こるかも?
あたしの悪い癖だ。そんなこと思っても、ならないことはあたしが一番よく知っているのに。
さ、ねよねよ。
その日もいつも通り、寝たはずだった。
「おい、おい。いつまで寝てる。」
ん?なにこれ?
周りがふわふわしてる。
あ、夢か。
また、寝よ。
「寝るなー!!!!起きろ!!!」
「いったーー!!!」
誰だ、あたしの安眠の邪魔をするのは。
覚えてろよ!
ん?てか、痛いって。
「んー?」
「お、やっと、起きたか。」
「目の前には長身のなんか、綺麗な中華風と日本風をおりまぜた着物をきた男の人が立っていた。」
「あのー、あなただれですか?」
「やっと、気づいたか、このアホ娘。」
アホとはなによ。それなりには学校の成績はいいんだぞ!
数学は計算以外苦手だけど!!
「お前、名は?」
この言葉にあたしは切れた。昔から、良く怒りやすいので、両親から言われていたが、この際どうでもいい。
「は?人の名前聞く前に自分が名乗るのが礼儀でしょーが!!
あんたこそ、人の安眠邪魔しといて、偉そうな態度してんな!!!」
そのあたしの言葉に、相手は少したじろいだようだ。
「な、なんと、口の悪い娘だ。」
「うっさい!で、なんて言うのよ。あんたの名前は!」
「全く…。仕方が無い。私の名前は楊 朱夏という。」
「よう しゅか?」
「しゅかではない!!しゅうかだ!!」
「まあ、どっちでもいいけど、あたしは中島唯。あんた何者?それ、コスプレ?」
「こす…?それがが何かは知らんが、私はお前が持っていた鏡に宿っている物。あれはただの鏡ではない。
そなた、宇島家のものだろう?私は宇島家に恩があり、その鏡にやどっていた。しかし、その後、様々な事が起こり、あんなところに放置されていたのだ。」
あー、なんか牛舎の上においてあること自体、何もわかってなかっただろう。
「私が宿っていた鏡を見る事の出来るものがいなかったため、あのようなところに放置されていたのだ。あれはただの鏡ではないからな。」
「え?うちの妹も見えてたけど。」
「なんと、そなたの妹もか。」
「まぁ、どうでもいいけど。いったい、何があったの?むかし。」
「話せば長くなるが。
昔、魑魅魍魎が跋扈していた時代に…」
「え?妖怪っていたの?」
「くいつくとこはそこか?」
「だって、伝説だと思ってたし。」
「伝説であんな具体的な絵がかけるか!あほか!」
「んで、何があったの?」
「全く、話しが良く変わる娘だ。まぁ、またおいおい話そう。それそろそろ目が覚める頃だぞ。」
「え?まだ話聞きたい!!」
「無理だ、そなたの母上が起こす頃だからな。
ちなみに今から身が覚める頃にはそなたの世界であって、世界ではない。
それだけは頭に入れておけ。」
「は?どういうこと?」
「では、またあとでなー、」
「こらー!!ちゃんと説明しろーー!!!」
あたしの体は宙に浮くように浮遊して行った。
パチ
「あ、朝かー。なんか、変な夢見たなー。なんだったんだろ、あれ。」
「ゆいー、朝よー。」
あ、お母さんが呼んでる。
「うん、はーい。」
「おばさん、こんにちはー」
「あら、朱夏くん。おはよー。いつもありがとねー。」
「ん?いま、なんて言った?」
「ゆいー、おはよ。」
目の前には学校の制服を着て、ニタニタしてる朱夏がいた…