蒼ー3話
僕は誠と狂との戦いから2週間近くだった。その2週間の間に狂樹と狂樹たちが持っている刀の交渉をしている。
「だから、何回云っても無駄だ。俺らの刀は渡さない」
「刀を総大将に渡すという任務が僕らにはあるんです」
「任務で刀を集めているのは知っている。しかし俺らはこの刀でこの横須賀を守ってきたんだ。刀を手放すと敵が攻めてきた時に……」
そう云うと狂樹は俯いた。それは考えてなかったな……。横須賀に入ってきた時、誠が攻撃されたと云っていたな。先手を打てば安心するということか。
「だったら、ボクがここに残って皆を守るよ。4人が持ってる刀に関してはボクらが戦ってボクらが勝ったら刀を貰うってのはどう?」
碧が部屋に入るなりそう云った。それを聞いた瞬間、狂樹の目が光った。良い考えだ、とか云いそう。
「それはとても良い考えだよ!」
この妖、誠と同じだ。碧の考えは良いと思う。僕としても狂樹たちの力は知っていたい。これから何かあったときに力になってほしいしな。
「うん、僕も碧の考えには賛成だよ」
「それじゃあ、早速明日から始めよう」
そんなことが昨日あった。それで今、戦ってるのは碧と狂海、狂海が持ってる刀は『千刀・刃』、碧が持ってる刀は……あれ?そういえば僕は碧が持ってる刀を知らない。
キンッ、キンッと刀と刀がぶつかる音がするけど……。
「狂海、刀を借りるよ」
「ちょっとそれ、私の刀!」
「借りるだけだよ。ボクの刀は応えてくれないからね」
戦ってるはず、なのにそんな笑いを交えた会話をする隙があるなんて……。
それにしても、「応える」とはなんなんだ?誠も何かと話していたが……。
「……ふう、ありがとう」
決着はついたみたいだ。碧が勝ったみたいだな……。
「碧姉ちゃんつよーい!なんでそんな強いの?私の刀なのに、それに始めは素手でやってたのに……」
始めは素手!?
「何バカなことしてるんだ!」
へっ……?と碧は云った。僕の云った意味が分からなかったのか。
「刀と刀の戦いじゃなかったのか。何素手でやってんだよ!」
「……だってさ、刀が応えてくれなかったんだよ。ほら……」
そう云った碧は少し寂しそうに俯いた。そして、碧が手を差し出した意味が分からなかった。意味なんてないのかもしれないけど、多分、差し出された手の上には刀があるのだろう。僕には見えない。彼らにも見えていないようだ。