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プロローグ1 Boy side
公募の為に消しておりました、作者の処女作です。
お時間のある方は、ぜひ読んでやってください。
最初は悪い夢だと思った。
ここは自分が存在する『日常』とは違う、『非日常』の世界だ。あんな物が存在するはずがないと、少年はそう思った。
だがその光景は……、その臭いは……、間違いなく本物だった。
血を塗りつけたかの様に紅黒く染まる、現実味のない空。辺りに漂う血の臭い。そして、少年の眼に映る物。それは少年の『日常』には存在しない、『非日常』の存在だった。
「何なんだ、あれ……」
少年はただ、そう呟いた。
少年は何気ない日常を過ごしていきたいと思っていた。特別な事など何もない、ただ家族がいて、ただ友人がいて、ただ安穏と暮らしていければそれでよかった。そんな日常を守っていきたかった。
だがこの日、この瞬間、少年の日常は狂い始める。願っていた日常が、非日常という名の怪物に侵され始める。
だからこそ少年は、神藤巧は抗う事を決めた。
自分の願った日常を、取り戻すために。