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斜めな機嫌と動揺と

 ――ズッ…ズズッ……

 「……ユリア、そっちもう少し押せる?」

 地下から戻った二人は騒ぎにならないように、祭壇を動かして再び階段を隠していた。

 「これでいいデスか」

 「……いいデス。やっぱり怒ってる?」

 「イイエ、全く怒ってないデスよ」

 「いや、絶対怒ってるよねー……。」


 階段で宣言した「頑張ります」を笑われたことを根に持ったらしい。

そのせいか、さっきから会話ではわざとらしい敬語が使われている。

 「……大体、人を笑ってはいけないと思いマスよ。別にこれっぽっちも怒っていないデスが」


 大輪の花のような笑顔が怖い。カインは遺跡の温度が一気に下がった気がした。

 荷物を片付けているユリアの背中に、状況を打開するべく声を掛ける。

 「だってさー、真面目に言ってるのが分かるから、なんかこう微笑ましいっていうか、可愛いっていうか……」


 ぴくん、とユリアの肩が揺れた。それに気付かずにカインは続ける。

 

「それにやる気が無いのにユリアは俺の所に来てくれたんだよね?そういうのってやっぱ凄い嬉しいからさ。というわけであれはユリアが可愛いくて笑ったんであって馬鹿にして笑ったんじゃない――ってどうしたのユリア!!顔真っ赤だよ!?大丈夫!?」


 振り向いたユリアの顔は薄暗い遺跡の中でも分かるぐらい赤くなっていた。 「だ、大丈夫です。男の人からこんなに…か、可愛いとか言われたことないから……」

 「あ、なるほど、ってえぇっ!?それはあり得ないでしょ!?あ、もしかしてユリアの村には女の人しかいなかったの?」

 

「え…ううん、普通の村だったし、同い年の男の子も何人もいたよ。でもあいつらより剣とかで強かったから、暴力女!!とか言われてよく絡まれてた。――まぁ毎回ボコってたけど」

 「あーなるほど。そういう事ね……」


 動揺しているのか敬語を使うことをすっかり忘れているユリアだが、話を聞いたカインは大体の状況を把握する事が出来た。

 つまり村の少年達はユリアのことが好きだったのだろう。が、そこは素直になれないお年頃。恋心はちょっかいを出すという形でしかユリアに伝えられなかったらしい。


 「しかも全然気付いて無いみたいだしね……。ちょっと同情するな」

 「カイン、今何か言った?」

 「何でもないよ。あ、そうだ。次に行く所ってもう決めてたりする?」


 「えっと、それなら、私が考えてた予定が、まずウォーリアに行って、その次にトージ、最後がフィアス、の順番でレイド一周するつもりだったの。だからそのまま予定通りでいいかなーと思うんだけど」

 「うん、いいんじゃない。じゃあ次はウォーリアだね……あそこにいるのはアルマか」


 そう呟くと、荷造りを終えたユリアと共に長い長い時間を過ごした遺跡を後にした。

 ――ユリアが怒りを忘れたことで、こっそりとガッツポーズをしていたのは秘密である。

だいぶ間が空きましたがもう忘れられてますかね?

今回は短いですがまだまだ続けるつもりです。

よろしければお付き合い下さい。


と、言ってたのですが思うところありまして

一度この作品を終わらせることにします。


また別の作品でお会いすることがあればよろしくお願いします。

2012/09/15

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