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遺跡と儀式

 その後は道に迷うことも無く10分程で遺跡にたどり着いた。最初に目指していた場所ではないものの、遺跡ということに変わりはない。

 半地下の遺跡に入るとひんやりとした空気がユリアを包み込む。かつては人々の信仰の場として神と人とを繋いできたこの空間には、長い年月が経っても自然と背筋を伸ばしてしまう雰囲気が残っている。

 ユリアはあらかじめ外で折って来た枝で中央にある祭壇の周りを丁寧に掃除すると、荷物を降ろし、村から持ってきた真っ白な器と穀物がはいった袋、そして小さなナイフを取り出した。

 綺麗になった祭壇の中央に器を置き、器の東西南北に小さな穀物の山を一つずつ作る。準備が完了した。

 静かに儀式が始まる。 天井の隙間から微かな光が射し込む遺跡内部。静かな空間にユリアが詠唱する詩が響く。


 「――響け、風に乗って 流れよ、水をたどって 拡がれ、火を纏って 眠れ、土に抱かれて」


 一節ごとにそれぞれの山からひとつまみの穀物を器に移す。そして鞘から抜いたナイフを左手に握り、続ける。

「理の超越を求める我が存在を審査せよ 光を探し、証を刻め!」

 詩が終わる瞬間人差し指に当てたナイフを思いっきり引いた。「っ!!」冷たく鋭い痛みが指先に走る。真新しい傷口からはじわり、と深紅の血がにじみ出していた。ユリアは器の上に指をかざして血が落ちる時を待った。

 ――そして血が一滴落ちた。それを見ていたユリアの意識は急激に遠ざかって行った……。

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