表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/16

第2話 800年後の世界:泥にまみれた宝石

いつも読んでいただきありがとうございます!


今回は800年後の世界。

栄華を極めた魔王様が、まさかの極貧村娘スタートです。

現状はひどい扱いですが、これも「倍返し」するための助走ですので、安心して見守ってあげてください。


「おい、ロミナ! ぼさっとするな、早く歩け!」


 下卑た怒号と共に、背中に乱暴な衝撃が走った。


 私はよろめき、泥濘ぬかるんだ地面に足を取られる。

 足首まで冷たい泥が食い込み、擦り切れた革靴の隙間から不快な湿り気が這い上がってきた。


「……はい、お父さん」


 吐き出した息は白く、言葉は地面に落ちてすぐに消える。


 視界の端にある水たまりが、今の私を映し出していた。


 粗末な麻の服は垢と泥で汚れ、肌は栄養失調でカサついている。

 かつての輝きを失い、枯れ草のようにくすんだ金髪。


 頬のこけたその顔は、物語の主人公とは程遠い、どこにでもいる貧相な「村娘」そのものだった。


 ここは辺境の寒村、コンテント。


 八百年の時を超えて目覚めた世界は、私が夢想していた「魔族の楽園」などではなかった。

 人間たちがのうのうと、しかし貧しさと無知の中で這いつくばる、ひどく退屈で灰色な場所。


(……また、あの夢)


 肩に食い込む薪の入った籠の重みに耐えながら、私は重いため息をつく。


 瞼の裏には、鮮やかな残像が焼き付いている。


 豪奢なシャンデリアが星空のように煌めく広間。

 美しい男たちが私の足元にかしずき、甘やかな愛の言葉を囁く光景。


 そこでの私は、こんな泥にまみれた娘ではない。

 誰もが畏怖し、崇拝する絶対的な「女帝」だった。


 けれど、瞬きをすれば現実はこのザマだ。


 その日の夕食の食卓も、墓場のように冷え切っていた。


 欠けた木皿に盛られたのは、湯気すら立っていない薄いスープと、石のように硬い黒パン。


 父のボッシュと母のアイラは、私の皿にだけ具の肉が入っていないことを確認すると、満足げに鼻を鳴らし、わざとらしく音を立ててスープを啜り始めた。


「……いただきます」


「ああ、気味が悪い。この子の目はいつ見ても死人のようだね」


 母がパンを千切りながら、忌々しげに吐き捨てる。


 私の碧眼アクアマリンは、この村では異端の証であり、「不気味」なものとして忌み嫌われていた。


 彼らの視線に、親としての情愛など欠片もない。

 そこに在るのは、便利な「労働力」への執着か、あるいは家計を圧迫する「厄介者」への侮蔑だけだ。


 けれど、怒りは湧いてこない。


 私はただ、スプーンで薄いスープの水面を揺らしながら、感情の死んだ瞳でそれを見つめ返す。


(早くここを出たい。どこか、ここではない遠くへ――)


 悲しみはなかった。

 涙など、とうの昔に枯れ果てている。


 ただ、胸の真ん中にぽっかりと空いた穴を、隙間風がヒュウと吹き抜けていくだけ。

 圧倒的な虚無感だけが、私の心を支配していた。


 逃げるように屋根裏部屋へ上がり、わらを詰めただけの粗末なベッドに潜り込む。


 硬いシーツの感触に包まれながら、私はかつて座っていた、あの柔らかな玉座の感触を必死に思い出そうとしていた。

お読みいただき、ありがとうございます!


ご飯に肉がないどころか、実の娘を「口減らし」扱いする両親……。

書いていて、私もこの両親にはイラッとしました(笑)。


ですが、不遇な時間はここまでです。

次回、第3話『真紅の契約:女帝の覚醒』。


お待たせいたしました。

眠っていた魔王の魂がいよいよ目覚めます。

覚醒したロミナが、この腐った家と両親に対してどう振る舞うのか。

最初の「ざまぁ」展開にご期待ください!


――――――――――――――――

【読者の皆様へのお願い】


「早く覚醒が見たい!」

「この両親に一泡吹かせてやって!」

「続きが楽しみ!」


と少しでも思っていただけましたら、

ぜひ【ブックマーク】と【広告下の☆☆☆☆☆評価】で応援をお願いいたします!

(★5ついただけると、魔王様の覚醒がより派手になるかもしれません……!)


皆様の応援が本当に力になります。よろしくお願いいたします!

――――――――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ