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殺し屋としての革命  作者: 羽野 菖蒲


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2.最初の仕事

2.最初の仕事

 しばらくして弓道場に母親の声が聞こえてきた。

「すみません先生、紗月は大丈夫ですか?」

「はい、紗月さんは大丈夫ですよ。まだ中で練習しています。見ていきますか?」

 そう言って師範と母親が弓道場に入って来たが、紗月は気にせず弓を打つ。矢が的に当たる音が響いている。

「あら、上手くなったわね」

「もう私も抜かされてしまいそうです。」

「そう言わずに、頼りにしてますよ。紗月そろそろ帰りましょ」

 母親に呼ばれたので、紗月は仕方なく更衣室に着替えに行く。母親のもとに行くと、母親がにこにこ笑っている。そんな様子に紗月は気づかない。いつも通りだ。

「お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

 紗月と母親がそれぞれ挨拶して弓道場を出る。車では瑞月が待っていた。

「おかえり紗月。練習どお?」

「いつも通り」

瑞月の性格は紗月のクールでマイペースな性格とは異なり、お調子者でいわゆるクラスの人気者といった感じだ。2人とも顔が良く双子なので似ているが、どちらかといえば紗月の方が美人と呼ばれる顔立ちをしている。でも、モテるのは瑞月の方だ。多分、話しやすいからだろう。

 家に着く頃には明日男と会う約束をしたことなんかすっかり忘れて、次の日は普段通り学校に向かった。授業が終わり放課後になる。

「もぉ紗月ー。また先生の話聞いてなかったでしょ。」

 紡希から愚痴が飛んでくる。すると突然カバンの底の方から自分の携帯の通知の音ではない別の通知音が聞こえた。取り出して見ると昨日男から渡された携帯だった。そこでやっと紗月は昨日の出来事を思い出した。携帯には『今日の16時、駅近くの西公園で』と書かれている。

「先帰る。用事」

「え?あっ…うん。またね」

 振り向くともう紗月の姿はなかった。紗月は教室を出たあと、電車に乗り西公園に向かった。

「ん?あー来たか。遅かったな」

「学校終わってすぐ来た。時間が悪い」

「そりゃあ悪かったな」

 紗月はすごく不満気な表情をしているが、男は気づいているのに全然気にしていない。

「そいやぁ俺の名前言ってなかったな。仲介人の東雲優弥(しののめゆうや)だ。よろしく」

 握手だろうか?手を出してきた。手を出してみると無理やり掴まれた。握手した後すぐ離してくれたが…まぁいいか。どうせ私の名前ぐらい調べてるだろうから言わなかった。

「で?この後どうすれば?」

「まずは俺の本社に来てもらう。乗れ」

 公園の横にとめてあるタクシーに乗り込むとすぐに走り出した。本社がどこにあるのか分からないし、これからどうするのかも分からない。何も分からないまま車に載せられているが、不安は無い。不安どころか特に何も感じてない。1時間後あるビルの前にタクシーは止まった。が、優弥はビルには入らずビル横の路地に入っていった。ゴロツキがいそうな雰囲気の路地だ。普通にヤバい。入りたくないが、逃げたら口止めに殺し屋でも派遣されそうなので仕方なくついて行く。少し歩くと左側に扉が見えてきた。何も書いていない。本当に扉があるだけだ。

「ここだ」

 優弥は当たり前のように中に入っていく。扉が閉じてすこし時間が経った。どうしようか悩む。すごく入りづらい。

「どうした?早く来い」

 急かされて、躊躇いながら中に入った。中には優弥以外に人がいないし、物が散らかっていてほとんど足の踏み場がない。

「ちっ。社長留守かよ。まぁいいや。今からお前が殺し屋の仕事の時に使う服と道具を渡す。能力を細かく教えろ。」

 相変わらず乱暴な男だ。こっちには断る隙も作ってくれない。無理やりだ。

「テレポートと空間把握」

「知ってる。テレポートの範囲と対象は」

 キレ気味に答えられた。まぁ今のは細かく教えろと言われたのに言わなかったこっちの方に多少の非があるだろう。だが、私も優しいわけではない。少しイラッとした。

「範囲は自分から半径40km。対象は自分とそれより小さい物。後テレポートした時、元いた場所に花びらが落ちる。」

 優弥は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに元の顔に戻った。

「空間把握の範囲は。一体どこまで見えるんだ」

 もう細かく答えるのも嫌になる。元から喋るのはあまり好きではない。面接とか圧倒的に向いていないタイプだ。

「範囲はテレポートより少し広い。モノクロになった世界が見えてる」 

「ほぅ。相変わらず便利な能力だ。相性もいい」

 そう言いながら優弥は奥の部屋に入っていった。そして、1着の服を持ってくる。まずは、ナイフや拳銃などの細かいもの。その後に青みがかった緑色に梅の木の刺繍が入っている着物。裾に金色で何かの模様が刺繍してある黒に近い灰色の袴。黒地に着物と似たような梅の花が織り込まれている羽織。口元だけ出る狐の仮面。最後に中々に豪華なデザインが施された大太刀だ。

「えーと。コードネームは華狐(かこ)とかどうだ?そうだ、お前自分より小さいものならテレポートさせられるんだよな?服もすぐに着替えれるのか?」

「できる」

「じゃあこれから依頼をする時はこの服を着てやれ。それ以外の時は着るなよ。んで、今すぐ着ろ。」

 こいつはまた乱暴なことをいう。言われた通りテレポートの能力を使ってすぐに着替える。元々来ていた服は自分の部屋に送っておいた。

「じゃあ依頼の受け方とか説明するから、『(しゅ)』のところに向かうぞ。あぁ『朱』は殺す相手のことだ。同業者のことは『(こく)』、無関係の人は『(はく)』って呼ぶからな覚えとけよ」

 つまりは隠語を使うということだろう。全く殺し屋というのは面倒くさいものだ。これで私も晴れて〝犯罪者〟という訳だ。優弥の後ろをついて歩く。そんなに歩いていないが、着いたぞと言って優弥の足がとまった。そこにはスーツ姿で回りをキョロキョロ見ながら歩いている男がいた。

「あいつがターゲットだ。殺してこい」

 今回は状況的に大太刀ではなく小さめのナイフを持つ。スーツの男とすれ違う瞬間に男の背後に回り込み、頸動脈を切った。男の首から血が吹き出し、男は倒れた。

「終わった」

「おぉ中々筋がいいな。剣道やってるからか?よし今日はここで解散だ。家の近くまで送ってやる」

 ほぼ無理やり連れて来たくせに上から目線だ。優弥は言った通り家の結構近くまで送ってくれた。そういうとこはしっかりしているらしい。なぜ知っているのかは分からないが。優弥と別れて家に戻る。今日は家に誰もいないみたいだ。まだ6時前だしそのうち瑞月あたりが帰ってくるだろう。依頼がないか見てみようとスマホを開くと、勝手に口座が作られていて依頼料が入っている。中々儲かる仕事みたいだ。明日からどうなるんだろう。そんなことを考えながら布団に横になる。気づけば私は眠りに落ちていた。

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