第一話
Opening theme: "Run Run" by MONOEYES
Listen here:https://www.youtube.com/watch?v=h4zZh2TXHyo
すずろ風が俺の前髪を揺らした。
仰向けに寝そべって、空を見上げる。
蛇口の向こうに、いくら手を伸ばしても届かない無限がある。
「よいせっと」
俺は起き上がって、ひと伸び、ふた伸び。
なにしようかなぁ。
なにするったって、なにもできないよな。
蛇口からは一滴の水も流れない。そもそも、深紫色に変色しちまっている。どれだけの熱を浴びたら金属がこんな色になるんだよ。
俺は一人、街を歩いた。
アスファルトの上には風化した看板がごろりと転がっている。その看板を真っ二つに割って咲くレンゲソウの群れ。ぎらぎらと照らす太陽はただただ熱く、世界の全てが光の中に溺れているようだった。
光。
そうだ、光。
神様が差し出した、おしまいの光。
俺は世界が白んでいく様を、保存カプセルの中で見た。その映像はたった一瞬だけど、真夏の部活の途中に飲んだ冷水機の水みたいだった。
俺は保存カプセルに入っている間に、放射能抗体を浴びている。だけど、抗体の効果は一日だけ。その間に生き残りを見つけて新たな抗体を受けろ、ということらしいけど、この静まり返った国道のど真ん中を歩いていると、『一日だけ生を楽しめ』という皮肉だったんじゃないかと思えてくる。
「誰もいねえじゃん……」
頭を垂れてひとりごちた時。
「誰かいた――――――――っ!!」
黒髪をさらさらと日だまりに溶かす女の子が、俺をズバッと指差した。
おお……誰か、いた。




