第24話 ラプンツェルと私 -その2-
噴水を中心とした広場での使用料請求は迅速で、三回目の紙芝居が終わり紙絵を飾る額縁や架台を片づけている最中に始まった。
革製の防具に身を包み、腰に剣をぶら下げた若い衛兵二人は挨拶することなく「三回やってどれだけ儲けた?」と言い放った。
「見ていたのですか?」
「遠くでな」
『利益は銅貨二枚です』と言ってこの人たちは信じてくれるだろうか。
『タダでも見れるのですよ』と言っても信じてくれるだろうか。
変に誤解されても困る。
ここはスパッと解決したい。
「えっとですね……」
「なんだ?」
「少し時間をください」
周りを見る。
どこだ。
どこに――。
いた。
男の子のところまで駆け寄り、ちょっとだけいいかなと告げる。
「どうした急に歩き出して?」
腰に差した剣をガチャガチャ鳴らしながら後を付けてきた衛兵二人。
よしっ。
「ねえ、ぼくたち。さっきの紙芝居、面白かった?」
「うん、とても面白かったよ」
にぱっと笑顔の男の子。
「このお菓子もおいしいよ」
もう一人の男の子、クッキーのかけらを口元に付けながらにぱぁと笑顔。
「この衛兵さんたちに、お芝居の見方を教えてあげられるかな?」
「お芝居の見方?」
「そそ。お菓子はいくらだった?」
一人の男の子は頭にハテナマークがいくつも浮かんでいる状態だけど、もう一人のお兄ちゃん的な男の子はなにかを察してくれたようで、見物代はお菓子代の銅貨一枚で、払わなくても見れて、何度見てもいいと衛兵に教えた。
「そうなのか?」
「うん、だってぼくたち二回見たけど一回しかお菓子を買ってないもの」
「そうなのか?」
「お菓子も美味しいよ」
「そうなのか?」
なんか衛兵、会話がバグッてる。
ぐぃぃんと私のほうに顔を向ける衛兵。
「女、いくら儲けた?」
「銅貨二枚です……」
「他の者は全員金を払わず見ていたというのか?」
「そうなりますね……」
「それで商売になるのか?」
「微妙かと……」
「微妙ですむのか?」
「ですよねー」
「玉乗りの曲芸でももう少し稼げるぞ?」
あるんだ玉乗りの曲芸。
というか、何度見てもタダはちょっと勘弁してほしいぞ、お二人さん。
「これで食っていけるのか?」
「食えないでしょうねぇ……」
「なにを企んでいるんだ?」
「とんでもない」
「なにか、怪しい……」
「怪しく、ないですヨ……」
「隠し事があるのか?」
「なっないですヨ、なにも」
「本当か?」
「もちろんっ」
「……怪しい」
あれ!?
話が変な方向へ流れ――。
「詳しい話を聞く必要がありそうだ」
え!?
「少し付き合ってもらおうか」
ええっ!?
「おい、すぐに荷物をまとめろ」
はっ!?
「詰め所まで来てもらう、いいな?」
マジデスカ……。
「そこの小僧二人、ウソは言ってないな?」
ブンブンと首を縦に振る男の子たち。
「お前たちはもう行っていいぞ」
男の子二人、私に視線を送り(大丈夫、安心して)そんな心の声が聞こえた気が――気がする……。
うん、確実に、まったくもって、紙芝居をしただけで衛兵に連行されるシチュエーション、なんでもありの『カク○ム』や『な○う』でも見かけなかったよっ。
ピロリン♪
黒髪の魔女ルチアは『初紙芝居』と『紙芝居しただけで連行』の一番称号を手に入れた。
そんなアナウンスを妄想する私です。




