第二十二話 一切れのパン
魔方陣が描ける時点で絶対にその魔法が暴走するんだろうなって思ってたけど。
こりゃ PT組みたくなるよな。間違いなくPTのシステム厨二入ってるよな。
PT解散するのが惜しくて、夜通し遊んでしまいそうだ。なんて時間泥棒なゲームの予感なんですか。
誰ですか、これの作者は!?
「そ、それって使い方によっては…………神……わざ……」
神技というよりバグ技じゃないか。ちまたで噂のぶっ壊れグリッチ?
お姉さんはまたナイショのしぐさを見せた。
だよな。
わざとドタキャンすればレベルの低い人もスゴ技を放てるようになるんだもんな。
なんというネットゲームが存在するんだよ。
まだギルドカードももらっていない状況なのに、もうこのお姉さんが迷宮の主なんじゃないかとさえ思えてきたわ。ここに永遠に閉じ込められそうで参っちゃう。
「紅茶とケーキを頼めますか?」とカウンター越しにつぶやきたくなった。
説明を求めたのは僕ですが、のどが渇いてきた。
お姉さんはギルド兼酒場のカウンターから僕の視線を汲み取って教えてくれる。
酒場の利用は冒険者だけだと。
それもそうだ。お金もないことだし。
はやくジョブを決めて冒険にでかけよう。
そして僕はここで「一切れのパン」をかばんに詰め込んで出かけたいんだ。
冒険者デビューの記念にぜひとも恵んでもらおうかと。