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[1]なんて事ない一日の変化

3043年12月25日、突如ソレは起こった。

世界各地で塔が出現したのだ。そして一部の塔から化け物が次々と出現し、死傷者約32万人の人が犠牲となり、それと同時期に後に魔力と呼ばれる力が世界に満ちた。そしてこの事件をきっかけに冒険者という仕事ができ、この事件を【激震の塔】と呼ばれるようになった。

そして時が流れ、冒険者が定着した。さらに、塔の攻略を配信するということが流行していった。

そんな中、ある何でも屋にて、迷惑配信が行われていた。


[3502年10月7日]


「お客様、迷惑行為はおやめ下さい」

緑の髪と瞳に丸メガネが特徴の気弱そうな店員はそう言って抗議した

「無理でーすww」

「諦めて店のモン寄越せよ。こっちは冒険者様だぞ」

男たちはそう言って、店のものを持って行ってしまった。


店員に元気な声で声をかける子がいた。

「クソ兄貴まーた持ってかれてやんの。やーい」

「いーのいーの。役に立つんだったら」

「店長、また持ってかれちゃったんですね」

話に割って入ってきたのは何でも屋のバイトをしている〔大野(おおの) 甘寧(かんね)〕さん

「大野さんは時間大丈夫?そろそろ行った方がいいんじゃない?」

「あっ!そうですね。店長、お先に上がります」

そう言ってバタバタしながらスタッフルームに入っていく。何を隠そう大野 甘寧は冒険者でこの後昼過ぎから配信があるのだ。


「で、玲香(れいか)はなんの用?勉強なら後にして欲しいけど」

「いーじゃん。クソ兄貴どうせ暇でしょ」

「うっ」

俺のことをクソ兄貴呼びするのは(義理の)妹である〔水野(みずの) 玲香(れいか)〕。俺は幼い頃に迷宮塔(ダンジョンタワー)のオーバーフローに巻き込まれて両親が死んで孤児になったのを仲の良かった玲香(幼なじみ)の親に拾ってもらった。

=====

迷宮塔:ダンジョン型の塔。魔物が中で生まれるがボスを倒すと最低1ヶ月は魔物が現れない

オーバーフロー:何かしらの要因で塔から魔物が溢れ出てくること

=====

玲香は何故か俺をクソ兄貴呼びする。別にいいけどなんか嫌われることしたっけ?

うーん。あるなぁ

お店の物取られる。仕事中以外基本的自堕落。見た目が気弱そう。

あーだめだ。考えがネガティブになってく。

「勉強教えてー」

「わかった」

「お先に失礼しまーす!お疲れ様でしたー」

「お疲れ様ー」

「クソ兄貴ー。はーやーくー」

「わかったから、ちょっと待て」

そう言ってレジを置いてる机を軽く整理してから椅子を追加で一つ出した

「どこが分からないんだ?」

「数学のここなんだけどね〜。ここが解けなくて、解説でもわかんなくてさー」

「ここはこの公式を当てはめればいけるぞ」

「じゃあここは〜?」

「ここはな〜」


୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

カアカア、カアカア

「っと、もうこんな時間だ。店仕舞いするから少し自分でやってて」

「はーい」

さて、店仕舞いするか

店仕舞いをしていると冒険者協会の人がやってきた。

運がいいことに玲香は店の奥にあるレジのところにいて俺は今店の外にいる。この距離なら聞こえないか…

「どうしたんですか?」

「水野様、この店でバイトをしている大野甘寧さんについてです」

「大野さんに何かあったんですか?」

「はい、実は今配信中でして。・・・それが、C級迷宮塔の『蜘蛛の塔』あるはずのない転移トラップでS級迷宮塔の『不死者の塔』と思われる迷宮塔に転移してしまったようです。」

「なるほど。つまり不死者の塔のどこかにいる大野さんの救出ですか?」

「はい。そして階層は判明しています。第四十八階層にいます。それに配信は続いていますので.....」

「わかった。引き受ける。ただし、契約は忘れないでくれよ?」

「もちろんでございます。ランク外冒険者(・・・・・・・)水野大志(たいし)様」

話しを終えるとシャッター閉め、玲香に言った

「玲香、すまんがちょっと買い出し行ってくる。晩飯は適当に作っといて」

「ちょっ、クソ兄貴!私料理出来ないのわかって言ってるでしょ!」

「じゃ、行ってくる」

そう言って普段使う鞄を持っていく。

鞄の中には白のコートに白い狐の面が入っている。

何に使うのかは分かりきっているだろう。

「《隠密》」

五感に気配を隠し、コートを羽織り、面をつける。

面をつけた瞬間俺の髪は緑から綺麗な白に、瞳は緑から黒に変わる。協会が提供してくれた変装用のアーティファクトである。

=====

アーティファクト:主に迷宮塔で見つかる魔法がかけられた道具。複雑な構造の魔法が組み込まれている。魔道具の下位互換。

魔道具:人工的に作られた道具。簡易的な魔法がかけられていたりする

=====

不死者の塔はS級迷宮塔の中でも上・中・下の中で中の上位に位置する超危険ダンジョンだ。特にC級のパーティーで挑戦するのは頭おかしい奴らか、無謀な奴らくらいだ。

さて、塔の入口に着いたから《隠密》を解いて門番に冒険者証を見せる。門番はすぐに俺を通す。

俺は冒険者として登録しているが、協会との契約で二重登録をしている。ひとつはGランクの大志として、もうひとつはランク外の狐白(こはく)として。

狐白は協会直属の冒険者でSランクより上のランク外として扱われる。

さて、四十八階層か。早めに帰らないと怪しまれるからなぁ。

「《加速》」

無属性初級魔法 《加速》、この魔法は少し速く走れる程度だけど極め過ぎて今じゃ水の上も走れる

俺はスキル持ちだが、スキルが強力すぎるが故に使わずに極めている。そしてスキルを一度だけ使ったことがある。そして見事に協会に目を付けられて契約をして今に至るという。

基本的に俺は属性は全て使えるが初級しか使わない。


そんなことを考えていると十層事にいる中ボスが見えてきた。(五層から十層事にいる小ボスはスルー)

「《重加速》」

中ボスが俺に気づいた

「ドォォォォォォォ、、、、、ォ?」

《加速》を腕だけ重ねがけした手刀で中ボス(アンデットオークナイト)の首をはね飛ばした。

こんな事で邪魔されては困るんだ。


※十層攻略までの経過時間五分※


そのままどんどん進んで行った。

୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

「急いで!!安全地帯まであと少しだからっ!!」

甘寧は味方に 《脚力上昇(小)》というバフを味方にかけて走る。

仲間の一人があと少しのところで転けてしまった

「甘寧!!」

私は無我夢中で助けに行った。私は切り札のスキルを発動させる

「《全能力上昇》っ!!」

「甘寧さん、、、いいから行って」

「ダメっ!!みんなで生きるんだから!」

「甘寧!!」

「はっ」となって後ろを見た。

「グルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥォォォォォォォォォ」

私は咄嗟に仲間を安全地帯に向けて投げた。

「お願いっ!」

「甘寧!!!」

ああ、まだ生きたいよ。私は目を閉じて来るべき死受け入れようとしたがいつまで経っても痛みは来なかった。不思議に思って目を開けるとそこには.....


୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧


安全地帯をまわりまくっているとちょうどアンデットが大野さんを殺そうとするところだった。

「《念力》」

《念力》でアンデットの動きを止める。そしてそこに思いっきりアンデットの頭を殴る。

「大丈夫か?」

さて、ここから全員連れて四十階層に戻るより二階層上の五十階層の転移陣の方が速いか。

「皆さん、私は狐白と言います。かけてるメンバーはいませんか?」

「い、いません」

「でしたらここから全員走ってください。先導はしますので遅れないでください」

「でも、体力が......」

「サポートします。《能力向上》《加速》《召喚(サモン):黒狼》」

「すごい!」「体が軽い!」「黒狼をあんなに召喚できるの!?」

「皆さん着いてきてください。甘寧さんは走れなそうなので私が運ばせてもらいます。一気に行きますよ」

「「「はいっ!」」」


大野さんは特にこれといった怪我はないがスキル疲労で走れない。

「狐白さん、どこに向かってるんですか?」

「一番近い転移陣です」

「「「えっ!?」」」

「ボスは私が一撃で倒します。その隙に転移陣に入ってください。」

「「「「わ、分かりました」」」」

召喚した黒狼たちで次の階層へのルートを最短で突き抜ける。道中アンデットがいたが、風魔法と聖魔法の混合魔法【聖風】でワンパンしていく。

最初は「狐白さん!アンデットが!!」となっていたが今では「は、ははは」となっていた。


「《招集》《統合》」

黒狼たちが全て集められる。そして一匹の大きな黒狼となった。

「行け」

命令に従い黒狼が階段を抜けボス部屋に突撃する。

案の定黒狼はボスに()られていた。

「どうするんですか?」

「このまま突き進んで。《幻》」

「ギュルラァァァァァァァァァァァァァァ」

「《聖火球》」

「ギュアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

「走れ」

一気に駆け抜け、ボス部屋の奥にある扉をくぐる。

「《解除》」

全員にかけられていた魔法が解除される。

「お疲れ様。甘寧さんはもう歩けるね?」

「はい。助けてくれてありがとうございます」

「協会から依頼が来ただけですよ。感謝は協会にでも言ってください。では私はこれで」

転移陣に乗ると転移陣が光る。そして入口の前に転移した。

「狐白さん!インタビューを」「狐白さん一言!」などと記者たちが集まっていた。

「《隠密》」

「あ、あれ?狐白さんは?」「消えたぞ」「どこいったんだ?」と騒ぎ始める。俺は見向きもせずに急いで近くのスーパーに向かった。

移動途中にコートと面を外す。髪と瞳は元の緑に戻り、俺は《隠密》を解除する。

大野さん無事でよかった。さて、何買うかな?うーん。そうだ!久々にデミグラスハンバーグにするか

「・・・・」

大野さんに狐白として接触したけどバレる要素ないから平気だろう。

୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

「「「ご馳走様」」」

特にこれといったことはなく、そのまま買い物をして帰ってきた。

デミグラスハンバーグを家族にご馳走した。

※ちゃんと晩飯作った(大志が)

「クソ兄貴料理とかは得意だもんね」

「玲香、大志くんのことをクソ兄貴と言っちゃダメよ!めっ!」

「そうね、いくら家族でもダメね。お説教かしら」

「秋音姉さんも母さんもいいって。別にどうも思ってないから」

「だってよ!お母さんもお姉ちゃんも心配しすぎなの!」


そうしていつもの一日が終わる。

<次の日>

「大野さん、どうしたの?」

俺は何故か大野さんに呼び出されていた。

「店長にお話があるんです!」

あれ、何故か嫌な予感が、すr

「店長が狐白さんですよね!」

「・・・・」

バレた。いや、ここで否定すれば!

「何言ってるんだ?俺が」

「私、実は耳がいいんです。だから音を聞き分けたりするの得意で、、、それで、店長の声が狐白さんの声と同じだったんです。誤差ゼロです!」

「・・・・」

あ、ダメだこれ。諦めて白状するか

「まさかバレちゃうとはね。大野さんの言った通り俺、いや、狐白口調で言うんだったら私が狐白です。しかし驚きましたね。」

「冒険者証を見せてください!」

「え?なぜ?」

「ランク外に冒険者証ってどんなのか実際に見たことないので…」

「わかった」

そう言って俺は冒険者証を出した。

「え、二枚?」

「そうだ。協会長との契約で表向きはGランク冒険者として活動している。そのうえで秘密にしてくれるならいい。」

「分かりました。私、狙ったものは絶対とる主義なんです」

「狙ったもの?」

「まだ秘密です」

そう言って背を向けていた彼女は振り返り「にしし」とイタズラっぽい笑顔を見せた。

「ぁ、、、」

「うわぁ 。本当に真っ白なんですね」

「秘密にな」

「はいっ、店長!」

「じゃ、開店準備をしようか」

「依頼来るといいですね〜」

「来るかなー?」


こうしてまた新しい一日が始まった

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