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カオスの遺子   作者: 浜口耕平
第一部 エルマの町編 カオスの遺子
36/43

合同任務⑤ 宝物殿と他の人たちの行く末

 魔法陣に飛び込んだ僕は、光に包まれてどこかへと転送された。


 光に目が慣れてきた僕の前に広がっていたのは天井まで届かんばかりの宝物の山だった。


 ちゃんと宝物殿に転送されたことと、想像以上の宝の量に感激してテンション爆上がりになって、宝の山を登り始めた。そして、中腹ぐらいまで登った所で何か柔らかいものを足が見つけた。


 堅い宝の中に柔らかい異物が混じっている。何度か足で踏んでみると、その物体は人の声を発して動いた。


 「アレス? どうしてこんな所で寝てるの?」


 アレスは僕の顔を見て一瞬驚いた顔をしたけれど、自分の上に立っていることに顔を歪ませた。


 「お前こそ人の上に立ってその言い方は何だよ。蹴飛ばすぞ」


 「ごめんすぐ下りるから」


 足を下ろしてから近くに座った。アレスは宝にまみれた体を起こして、魔法罠(トラップ)に掛かった後の出来事を語り始めた。


 「魔法罠(トラップ)に引っ掛かってお前たちと別の場所へと転送された俺たちは運命の思し召しか、この宝物殿に転送されたんだ」


 「……………それで終わり!? 汚い洞窟やゴーレムとの戦闘は!?」


 「知らねぇよそんなの。お前らが遅いからこうして宝に埋もれて寝てたんだ。いやぁ~こんだけありゃ俺の未来も安泰だな」


 あれだけ苦労したのに、アレスたちは直接ここに転送されたというのだから、運が良いというレベルじゃない。その話は最初から宝物殿に招かれたように思えた。


 話をしていると、兄さんたちが宝物殿に転送されてきて、アレスが自分たちより早く到着していることに驚いていた。


 「何でこんなに早いのよ、私たちなんてトラブル続きだったのに……」


 「カルマだよ、カルマ」


 「カルマって、、、アレスってそんなに良いことしてないでしょ」


 「お前が見てないだけで、俺はハチャメチャ良いことしてるぜ。子守したり、老いた人々の看病とかな」


 「ありえないわね。それより、リリエラたちはどこにいるの?」


 アレスは後ろの宝山の頂上を指さして、「あそこで休憩している。おーい二人とも! メリナたちが来たぞ!」と叫んだ。


 すると、なんだなんだと言わんばかりにリリエラとガロンの二人が僕たちの元へと下りてきた。そして、僕たちの冒険を話すとその苦労話に同情された。


 「災難だったなお前たち、後は俺たちの隊長たちを待つだけか。……あの二人はいつやって来るんだ?」


 「知らん(ないわ)」


 全員一斉に答えた。


 「だよなあ……ここで待つにしても限界があるからな」


 そこからみんなでどう行動するか議論を始めた。白熱の議論の下、二つの選択肢まで絞ることができた。


 全員で入り口へと通じる魔法陣に乗るか、全員でウェインたちの到着を待つか。二つまで絞った選択肢はかえって二つの対立を生み出してしまった。


 僕、メリナ、兄さんの残る派と、ニト、アレス、リリエラ、ガロンの出る派に分かれてしまい、激しい口論が巻き起こった。


 「なんでだよ! 絶対ここから出た方がいいって! いつあの二人がやって来るかなんてわからないんだぞ!」


 「入り口に戻ったとして、あの二人を探しにまたダンジョンに入るのか? すれ違いを防ぐためにもここに留まった方が賢明だ」


 「そうだそうだーッ!!」


 「でもねロード、食料もないここで何日間も待たないといけなるかもしれないのよ。それでもいいの?」


 「え……兄さんがなんとかしてくれるよね?」


 ニトの言う通り、今の僕たちには明日の朝食の分さえ持ってきていなかった。誰も長期間の任務になろうとは思ってなかったことが原因ではあるけど、本当に誰も食料のことを気にしていなかったのが滑稽で笑えてくる。


 だけど、兄さんなら何かいい案を思いつくような気がした。今まで何度も思いもよらない案で僕たちを救ってきたのだから、今回も頼ってみたい。


 「我慢しろ、人は七日間は水さえあれば生きていける」


 「ええー! 我慢なんて嫌だよ! じゃあ僕はやっぱり帰りたい派で」


 僕は食べ物であっさりと寝返った。メリナや兄さんは僕が寝返ったことに憤っていたけど、ニトたち脱出派は僕を快く受け入れてくれた。 


 「そもそもの話なんだが、俺たちの隊長がこのダンジョンを制覇できないと思うか?」


 「思わない(わ)」


 「なら、俺たちは俺たちで行動した方がいいだろ。どうせあの二人なら勝手に町に帰ってくるだろ」


 リリエラの提案に、「そうれもそうか」とみんな納得した様子で議論はあっけなく終了した。


 次に問題なのは、この大量の宝物をどう町に持って帰るかというわけだけど、持っていける量には限りがある。それに加え兄さんの空間魔法はまだ使えない上に、この魔法陣は一度使ったらまた入り口から入り直さないといけない制約があるそうだ。


 なるべく多くの宝物を運ぶべく、僕たちは宝物を魔法陣の中に納まるよう高く積み始めた。人が乗らないと作動しない魔法陣という性質を利用したこの名案のおかげで申し分ない宝物を持って帰ることができた。


 その後、馬車に宝の山を気づいて町に凱旋した。町の人々は珍しいダンジョンの宝物を見るために左左右に列を作って見物していた。


 その夜、久しぶりの任務を終えた僕はベッドに寝転がっていた。急に体を動かすと、筋肉痛で全身が痛くなってしまうことを知って、任務が無い時でも毎日適度な運動をすることを心に決めた。

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