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カオスの遺子   作者: 浜口耕平
序章 兵士への道
1/43

プロローグ 

何度も書き直していてすいません。


最後までの流れはもう決まっているのですが、チャートを見る感じとても長くなりそうで気が滅入りそうになりそうです。


しかし、書ききると決意したからには責任をもって完走する予定です。


これから長らくよろしくお願いします。

           プロローグ

          「世界の始まり」  

 

 原初の日、何もない虚無の空間に新たな神が生まれた。




 彼女の名はカオス。長い白髪が衣服と同時にたなびかせながら、赤く輝く太陽の刻印が暗い虚空を照らしている。そして、彼女の両目からは涙が溢れていた。過去、現在、未来、あらゆる事象を超越した存在である彼女がなぜ涙を流しているのか、その理由は誰にもわからない。




「世界に祝福された子は次代の王となり、新たな世界を統べる。………私の世界、私が思い描いていた世界は確かこうだったかしら………」




 カオスがそう呟くと、流れ出た涙がふわふわと空間を漂いながら二つの点を中心に渦を巻いて集まり始めた。




 右目から溢れ出た涙はやがて黒く禍々しい世界が、左目から溢れ出た涙は光り輝く美しい世界がそれぞれ生まれ急激に膨張していく。前者の世界の名は“魔界”、律法の悪たる概念がカオスから無くなり生まれ落ちた世界。後者の世界の名は“光界”、律法の善たる概念がカオスから無くなり生まれ落ちた世界。二つの世界は善と悪を孕みながら、両者の拡大に応じてそれらも大きくなっていく。




 膨張していく二つの世界を眺めるカオスの涙は既に枯れていた。人としての感情をすべて失い、善悪を超越し完全な神となったカオスは、最後に自身が住まう“魂の世界”を作り上げ、魂の世界の中へと消えて行った。




 二つの世界に生命が生まれた時、光界に“人間”が魔界に“魔物”も同時に誕生した。世界の創成期であるこの時代に二つの世界は交わることなく共存し、それぞれの世界に住む生物はカオスの課した律法に従い生活していた。




 しかし、何の因果か二つの世界はやがて交わるようになり、光界は暗黒の時代を迎えることになる。




 律法の善悪を分けた光界と魔界は水と油のように決してなじもうとも融和されることもなく。暴力、争い、悲しみを知らない光界の人々は、強靭で恐ろしい魔物たちが使う魔法の前になす術なく滅亡を迎えようとしていた。




 だが、カオスが遣わした二人の遺子が光界に舞い降り、10個の神器と魔法の知恵を人間に授けたことで、人々は魔物の進撃を耐え抜き、二つの世界は互いに干渉しながらも再び均衡を保ち始めた。


 役目を終えた二人の遺子は世界の安定と律法の順守のため、その後も人間界と呼ばれるようになった光界に現れては人々にカオスの意思を伝え導いていく使徒の役目を果たすようになった。






 月日が流れ暗黒時代の終焉より遥かのち、世界の片隅で新たに神の意思が目覚めようとしていた。




 地面に腰を落として兄の畑仕事を退屈そうに眺めている白髪金眼の少年。彼の名はロード。世界の終焉を見届け、新たな世界を創造する神の器となるべく定められた運命の子である。彼の者は自身の()()にやがて気がつくだろう。それが世界の希望か、はたまた世界を無に帰すのか。


 彼らの物語はこれから始まる。

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