トゥラザの三兄弟
トゥラザ家の話しが語られます。
マーシャが父親のアレクスを見つけ走って行く。
「ランド伯父様ハジェ伯父様お久しぶりね!」
マーシャは次兄ハジェーラに抱き付きながら言った。
「マーシャは大きくなったな。」
「去年よりも重たくなってる。」
「そうよ、背も伸びたし沢山食事も食べてるもの!」
アレクスがハジェーラからマーシャを受け取り、執務室へと二人を促した。
「いい子にしていたら、後でマーシャのためのプレゼントをあげるよ。」ハジェーラは下に降ろされたマーシャに呼びかけた。
マーシャは笑顔になるとシャナルの元へ駆けて行った。
「アレクの美姫はまだまだお転婆だな。」
「この頃馬に乗ると言ってきかないんだ。」
「カシュトゥムの血だな。この前アジャンテにも馬を与えたよ。」
「アジャンテはもう10歳だろう?遅かったんじゃないのか?」
「ずっと父上の駿馬ヨモヘラの子を欲しがってたから、先日1歳になった仔馬を貰った。」
アレクスとハジェーラが話していると長兄ランドゥルイが懐から王印の入った書状を出した。
「どうやら戦が始まるらしい。北のマヒュメラの動きが活発になっている。」
「戦の準備と備蓄に備えろだとさ。10年でようやく民の暮らしが落ち着いたと思ったらこれだ。」
「ナハトバでも税が上がってると聞いてる。軍備増強の様子が日増しに伝わってくる。」
「ランドゥルイは何処に付くんだ?」
「俺はカシュトゥム北で待機になる。北の領主を束ね、もしマヒュメラと手を組む事になれば参戦する事になる。」
「俺は王城の守りだな。」
「ハジェは王太子に気に入られてるからな。国から出してもらえまい。」
「アレクはネモスのお守りかな。」
「ネモスも歳を取ったのかさっぱり出て来やしない。」
「ネモスを甘く見るなよ。今だにナハトバ1番の猛将だからな。」ランドゥルイがアレクスとハジェーラを振り返って言った。
「父上が戦った時は一度に20人の歩兵が殺られたし、将も何人も失ってる。今も古都で軍隊育成してると聞く。」
「やれやれ、引退はまだ早いか。」
アレクスは窓から外にいるイトゥサを見下ろして言った。