翡翠(ジェダイト)・キャッツアイ
0.03ct
ミャンマー産
2mmラウンドカボション
シャトヤンシー無し状態
Jadeite Jade
ジェダイト、ジェイド、ジェダイトジェイド
和名:本翡翠
硬度:6.5~7.0
分類/グループ:珪酸塩鉱物/パイロキシングループ
晶系/産状:単斜晶系/微小粒状結晶集合塊
化学組成:Na(Al,Fe3+)Si2O6
劈開:なし
比重:3.28~3.38
屈折率:1.652~1.688
副屈折率:0.012~0.020
分散度:なし
蛍光(通常認識):なし~極微弱
長波蛍光:なし~弱い緑色。
ただし青系統の蛍光の場合含侵材の蛍光の可能性高
短波蛍光:なし~含侵材しだい
条痕:白
主な色:緑、白、ピンク、赤、黄、茶、黒、灰など様々
多色性:なし
発見年:古すぎて不明
分類年:1863年
日本国内では「翡翠」とまとめて呼ばれているが
正確には軟玉「ネフライト」と硬玉「ジェイド」の2種の鉱物をまとめた総称で
そのジェイドのうち稀少で綺麗なものを
本翡翠と呼び英名はジェダイト、
またはより正確に示す場合はジェダイトジェイドと呼ぶ。
上のデータに書いた分類年というのは
フランスの鉱物学者によって
長年まとめて翡翠と呼ばれていたものが
実際には翡翠輝石と軟玉の二つの別種鉱物が混ざっていることを
発見した年になります。
また本翡翠自体にもビルマ(ミャンマー)産だけで見ても
1:純粋に近いヒスイ輝石
2:コスモクロアとクリノアンフィボール(単角閃石)が混ざった物
3:クリノアンフィボールが混ざった物
4:アルバイト(曹長石)が混ざった物
5:オンファス輝石の混ざった物
およそ5種確認されており
一口にヒスイと呼ばれていても多岐にわたっています。
これが産地によって変化するため
上記だけではありません。
そんな翡翠は
ファセットを刻むルースは
翡翠自体が基本半透明~亜透明な為に滅多に施されず、
ほとんどがカボションにされるのだが
そんな翡翠には過去キャッツアイを見たことがなく
今回初めて見たものとなり
まさかあるとは思っていなかったものとなります。
こちらを入手したために改めて調べたところ
2018年にGIAのGems & Gemologyに
翡翠キャッツアイの記載があり
存在しないわけではないという裏付けも得られました。
今回の物も知人がメレサイズのロウカン翡翠として入手したロットの中に
1個だけキャッツアイになる物を発見し
キャッツアイコレクターの私にお声がけいただき
譲っていただいたものになります。
入手経緯や写真を見ても分かるように
極小サイズの2mmラウンドというメレサイズながら
琅玕翡翠と呼んで差し支えない抜群の透明感に
スッと入るシャトヤンシーは見事の一言。
ちなみに琅玕翡翠とは
通常翡翠としてはほぼ不透明の亜透明から半透明の物ではあるが
その中で透明感が抜群で綺麗な濃い緑をしている物を指しています。
翡翠自体はかなり色幅はあり各色存在するのですが
古来より珍重されていた色が緑の物だったために
特別な名前が付いたものは緑色のみでした。
昨今は淡い白色のもので透明感の高いものに
氷翡翠という別名が付いたものはあります。
また昨今珍重されているものとしては
淡いピンクを噛んだ紫のものを
ラベンダー翡翠と呼び人気も高くなっている。
他にも各色産出はするものの
元々単一結晶ではなく微小結晶の集合体という性質上
透明度が高くなく均一な色になりくく
性質上染めやすい点から処理石も多く
高品質な未処理品が少なく非常に高額になっている。
ちなみに各色の着色要因も解明されており
白色(ほぼ純粋なヒスイ輝石)、
緑色(Feに富み、Crを含有)、
ラベンダー(Tiを含有)、
青色(TiおよびFeを含有)、
黒色(黒鉛を含有)、
黄色及び赤(Fe含有または表面付着)
各国から産出しているが
本翡翠の最大の産地は
埌奸翡翠クラスはミャンマー(ビルマ)産が
飛びぬけており
次いで翡翠拾いでも有名なように
新潟県糸魚川市に代表されるように
日本産も負けてはいない。
ただし現在は完全に枯渇しておりもはや伝説レベルではあるが
過去にはミャンマー産埌奸翡翠と遜色ない物も
産出してはいた。
また1説には世界最古の翡翠の装飾品利用は
日本ではないかという話もあったりします。
(およそ5500年前の縄文時代の遺跡から彫刻が出ている)
ただし日本産の翡翠は一度歴史が途絶えており
およそ6世紀ごろに完全に衰退し途絶していて
遺跡からの発掘品も永らく海外産の翡翠を加工したものと思われていたが
1938年にヒスイ探索を行っていた伊藤栄蔵氏により
新潟県糸魚川市小滝川で再発見され
翌年の1939年に東北大学から論文も発表され
その後も調査が継続された結果
姫川水系の上流青海川でも発見され
その水系の到達地点である海岸線は
ヒスイ海岸と呼ばれるほど集積されており
一般的な海岸と違い砂浜が広がるのではなく
丸い石ころが広がる海岸線で
今なお翡翠拾いの最大の地となっています。
なお翡翠海岸以外の川での翡翠採集や
川以外の山に入っての採集は
現在全面禁止されており違反者は罰金は当然のこと
最悪はその余波で現在は見逃されているとも言える
海岸線での採集すら禁止になる可能性もある。
この辺りの採集禁止ルールは
場所によって若干変わりますが
国有の場所の場合は
自然公園保護法、海岸法、河川法、
自然環境保全法、森林法、天然記念物(文化財保護法)、
などの法に定められており
場所ごとや自治区ごとに分かれている為
必ず採取に行く前に行政に確認する事。
また私有地(山林や空き地など)は
原則一切禁止で侵入罪や窃盗罪など
刑事罰もありえます。
余談ですがひすい海岸ではOKですが
他の海岸では上記の海岸法で明確に禁止されている場所もあるため
採集地ごとに必ず下調べをすること。
採集はルールを守り
1、入ってはいけないところで採らない
特に昔はOKだったが今はダメという所も増えている為
常に最新の情報を入手すること。
2,いいとされている場所でも根こそぎ持ち帰るようなことはしない
3,ゴミは持ち帰り放置しない
4,騒がない
5,安全第一
など最低限のルールを守り
採集全面禁止になるようなバカな行為は控えましょう。
2016年9月に日本鉱物科学会は糸魚川のヒスイを「日本の国石」に選定して以降
一気に人気が爆発し元々高額だった翡翠が高騰し
その分買わなくても拾えるという浪漫を求め
翡翠海岸に殺到した経緯もあります。
産地としては
上にも挙げたミャンマー、新潟県糸魚川市産の他
昨今はグアテマラ産も好まれるようになった。
なお宝石としての翡翠を語る際に
必ず上げられる中国ですが
実は中国では本翡翠は産出せず
中国で産出するのは軟玉。
ただ古くから加工をしており
特に17世紀ごろにミャンマーの翡翠が持ち込まれ
昔から翡翠が珍重されていた経緯もあったために
本翡翠の加工にも長けていき、
香港では翡翠の集積所としも機能していったために
翡翠加工品=中国という図式が出来上がっている。
最初に述べたように本翡翠と軟玉が混同されている以外にも
「翡翠」という人気にあやかって
別種鉱物に翡翠の名前を付けることがあり
ハイドログロッシュラーに産地名にちなんで「トランスバールジェイド」とつけたり
本翡翠では存在しないピンク色のチューライト(桃簾石)に桃翡翠とつけたり
様々な物がある
なお微小結晶集合である本翡翠そのままの合成石は存在せず
模倣宝石としてイイモリストーンの最初期品の
埌奸翡翠を目指して作られたメタヒスイや
見た目だけを似せたガラス、プラスチックなども存在します。