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おばちゃんの孫は娘か息子か?

「あれ~?確かこっちのはずなんだけどな?」


狩野祐介は暗い路地裏で道に迷っていた。


「昨日のうちに道を覚えたはずなんだけどどこで間違ったかな?」


祐介は極度の方向音痴で一人にすればたちまち目的地とは別の場所にたどり着くことは日常茶飯事である。

辺りを見渡しても見えるのは室外機が数個にごみ箱が二つそのうちの一つは倒れ野良猫がごみをあさっていた。見るからに普段は人が歩くところではなかった。


「とりあえず人がいるところにいくか。」


祐介は歩き出し大通りを目指した。

大通りに出るとそこは祐介自身も始めてみる場所だった。


「今度はいったいどこまで来ちゃったかな?」


幸い人は居て道行く人たちはこれから会社に出勤の人、学校に登校しているものがいた。

ここはどこなのか、そしてどうやったら学校に行くことができるのかを聞くために祐介は人に話しかけた。


「すいません、今大丈夫ですか?」


最初に聞いた人はスーツを着た男性だった。


「ごめん、今急いでるんだ。他の人にしてくれないかな?」


男性は祐介が話しかけるとそう答えすぐのその場から早歩きでさって行った。

祐介はあきらめず他の人にも話しかけた。


「すいません、今時間ありますか?」

「すいません、道を聞きたいんですけど?」

「ちょっと困っていて、助けてもらえませんか。」・・・


次第にどんどん声は小さく弱弱しくなっていく。

もう5人以上の人に話しかけただろうか。

けれども誰も祐介を助けることはなかった。

出勤や登校のために時間がないのか又は勧誘と思われているのか誰も祐介を助けることはなかった。

けれど祐介はそんなことは慣れっこだった。

過去にも同じことがありひどいときには無視されたり、突き飛ばされたりもしていた。

けれどもそのことには慣れていても心はそうではない。

その心に怒りはなく、悲しみといった負の感情が積もるばかりだった。

祐介道の端により時間に余裕がある人を立ち尽くしながら探し始めた。



「あんたそこで何をしてるんだい?」


そう言ったのは精肉店のおばちゃんだった。

おばちゃんは店を開くために外に出てみると自分の店の前に立ち尽くす祐介をみて話しかけてきた。


「いや、ちょっと道を聞こうといろんな人に話しかけたんですけど見事に全部断られてしまって。」


祐介は苦笑いをしながらそう答える。


「ふーん、そうなんかい。」


祐介の話を聞いてもおばちゃんは店のシャッターを開けると店の中に戻ってしまった。

またダメだった。

そして一つ祐介の心にひびが入りそうになった瞬間


「ほら、これでも食べな。」


店の中に戻ったおばちゃんが片手にコロッケを持って戻ってきた。

そしてそのコロッケを祐介に差し出す。


「おいしそうですけどもらえませんよ。」


祐介は差し出されたコロッケを首を横に振り断った。


「いいんだよ、試食だと思って受け取りな。」


祐介はおばちゃんからコロッケを受け取り一口食べる。


「アッツ!」


思わず声が出るほどにコロッケは熱くそして味はとてもおいしかった。

衣はサクサクで中身もホロっとしており病みつき名なるほどだ。

コロッケを食べ先ほどまで暗かった表情をしていた祐介の目はキラキラと光った。


「とてもおいしいです!」


「そりゃあ、そうだよ。その制服は聖天高校だろ?あんた頭がいいんだね。」


おばちゃんが言った聖天高校こそ祐介が目指そうとしていた高校だった。


「よかったらうちの孫と一緒に行ってあげてくれないかい。そうすればあんたも道に迷わずに済むだろうから。」


祐介とおばちゃんは孫が来るまで外で待っていた。

その間にコロッケも食べ終わったが一向に姿を見せない孫痺れを切らしたおばちゃんが大声で呼んだ。


「美花ー!!早くしないと遅刻だよー!!」


その声を聴いた町の人は険悪な表情でこちらを見る人、くすくすと笑うものがいたが次の瞬間に皆が足を止め彼女を見た。


「あれ?お孫さんてもしかして女性なんですか?」


「あれ、言ってなかったかい?美花はうちの娘の子でね、今は分け合って一緒に住んでるんだよ。」


2人が話していると扉が開きその姿を現した。


「ごめんなさい、おばあちゃん。寝癖が治んなくて。」


髪を気にしながら出てきた美花の姿を見た町の人は皆見とれてしまった。

老若男女問わず皆見とれた。

それほどまでに彼女は美しかった。

腰まで届く綺麗な銀髪はきちんと手入れがされており色の薄い肌にが綺麗な蒼色の大きな瞳が目立つ。

まっすぐ伸びた鼻筋にその下に薄いピンクのくちびるがある。

運動をしているのだろうか腕、脚は無駄な筋肉がなく綺麗で腰、腹も引き締まり胸も大きくもなく小さくもないほどの大きさである。

そんな姿を見て町の人たちは皆足を止めてみている。

それに気づいた美花は町の人たちにニコッと笑顔を向け手を軽く降ると皆我に返り歩き始めた。


「そんな長い髪してるからそんなことになるんだよ。いっそ髪を切るっていうのがいいんじゃないかい?」


おばちゃんが美花の後ろに回り美花の髪を整えながらうっすらと笑いながら言う。


「ダメよ、ここまで綺麗の伸ばせたんだからそう簡単に切ったりしないからね。」


美花はおばちゃんの冗談に軽く答えると


「それでおばあちゃん、この人は誰?」


美花が顔をに向けると祐介何も悪いことしていないが祐介はドキッとした。


「あんたと同じ高校の人でね、道に迷ったそうだから一緒に行って案内してあげな。」


「ふーん」


彼女はジト目で祐介の頭から足元までを祐介の周りをグルグルと周りながら見つめた。

まるで、品定めのように。

そうして祐介の前に戻ると、目を見てにっこり笑った。


「私美花、天乃美花あまのみかよろしくね!」










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