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冴子の癖は意外なところから

武道館につながる道の一つで美花が冴子のことを待ち構えていた。


その道はいつだれが来てもおかしくなかった。


2人は互いに向き合って2メートルくらい離れたところで話し合う。




「なんか最近よく二人きりになる事多くて可笑しいね?」




冴子はクスっと笑う。




「それで、今回は何か用?もしかして昨日の事を怒りに来たの?」




『まさか、そんなことないよ。すぐに終わるから時間ある?』




美花も冴子の返事に笑いながら返す。




「うん、大丈夫だよ。部員私しかいないから。」




『え?それってどういうこと?』




冴子の意外な返しに美花は目を丸くして首を少し前に出した。


そんな美花を見た冴子は笑いのツボに入ったのかしばらく笑った。




「ごめんごめん、君もそんな顔するんだね。部活についてだけど先輩、つまり3,2年生は卒業どころかそもそもいないのと幽霊部員だから、1年生に関しては私の追っかけで入った子がいたけど「練習がつらい。」「思ったのと違った。」みたいに腑抜けたこと言って退部しちゃってね。」




「そ、そうだったんだ。」




美花の顔は顔を引くつかせながら苦笑いして聞いた。


その後に深呼吸して息を整える。




「それじゃあ、本題に入るけど。




まず先に謝らさせて。


あなたの宣言を聞いたのに先に祐介に告白したこと。


そして、そんなことしたのにもかかわらず失礼な態度を取っちゃって。


教室の時、冴子がもしかしたら告白するんじゃないかと思ってわざと仮病を使って祐介と冴子を離そうとしたの。


だから、ごめんなさい。」




美花は冴子に深々と頭を下げる。




「そうだったんだ。」




冴子はそう言うと美花の方に向かって歩き始める。


足音を聞いて美花の体が少し震える。


頭を下げている美花の視線に冴子の足先が見え美花の目の前で足が止まる。




「美花。」




言葉と同時に冴子は手を肩に置く。


すると震えていた美花の体がぴたりと止まる。




「誤ってくれてありがとう。でも、大丈夫だよ。それなら、こっちも謝らないとね、のぞき見と、嘘の事。」




美花は下げていた頭を上げる。


美花の顔は冴子が何のことを言っているのかわからない顔をしていた。




「最初にのぞき見のことだけど、実は美花が祐介に告白するところ教室のドアのガラスから見ていたんだ。もちろん会話の内容もね。」




『えっ、それって本当なの?』




「今嘘のことなんて言えないよ。そして、嘘の事は、


祐介に告白するってこと、あれが嘘なんだよ。ごめんね。」




冴子は美花に笑いかけ美花は驚愕した。




「な、なんで嘘なんか。」




『はは、驚くよね。だって、ああでもしないと美花が告白しないと思ってたから。』




「どういうことなの?」




美花は冴子が何を言っているのかますますわからなかった。




「美花が祐介のことが好きなのが分かったときから早く二人が付き合わないかな~って思ってね、待ちきれなくて一か八かの強硬手段に出たんだよ。下手すれば美花が諦めるかもしれないと思ったけど美花が告白してくれてよかったよ。」




『それじゃあ、冴子が祐介の事好きって言うのも嘘なの?』




「いや、それは本当だよ。私も祐介の事は好きだよ。」




『もう、意味がわか、』




美花が声を荒げようとしてすぐ冴子が割って入る。




「実は!私憧れてるんだよね、人魚姫や、タイタニックのような恋にね。」




冴子は両腕を胸の下で組んだ。




『それじゃあ、なおさら祐介を彼氏にしたいんじゃ。』




「ううん、違うよ。私があこがれてるのは普通の恋じゃなくて悲恋なんだよ。」




『ひ、悲恋?』




美花は頭を横にかしげる。


突然冴子は美花の両手を掴み話し始める。




「そう、悲恋!決して報われず結ばれない恋!!だから、美花にはどうしても祐介と付き合ってほしかったの。祐介のことが好きでなおかつ私とも繋がりがあり親しい美花にね。そうして私は最終的に祐介に捧げたいんだよ。この報われない愛!をね。


だから、美花のことはこれからも応援していくよ。だからお願いがあるんだ。私が祐介にアプローチすることに目をつぶってほしいんだよ。」




『あ、アプローチって。』




「簡単に言うと祐介の浮気?みたいなものかな?」




『な、なな、ちょ、ちょっと待って。』




唐突に、そしていきなり明かされた冴子の目的と癖に美花は情報の整理に混乱して頭を押さえながら固まった。




「ハハ、情報が多くて混乱してるよね。」




そんな美花を見て冴子は笑いかける




―うーん。この後めんどくさそうだな。先生には後で電話しとけばいいから、


帰ろ。―




美花が混乱してる中冴子がひっそりと美花に背を向けて歩き始めた。


美花はそれにかが付かないでどんどん冴子は離れていく。




「あれ、剣崎さんじゃん、な~にやってるの?」




すると冴子が向かおうとしている先から冴子の知人が現れて声をかけてきた。


冴子の計画を知らないで。


いきなり声を掛けられて冴子の体が跳ねる。




「うぇ、あ~いや、今日は帰ろうかなーって思って。」




そして、ゆっくり後ろを振り向くと、


美花が冴子に向かって眉間にしわを寄せ目を光らせていた。




「ごめん、もう行くねまた明日!」




それに気が付いた冴子は急いで脚を動かす。


逃げる冴子の後を美花も追う。


しかし、途中で美花は冴子を追うのをやめ、大きく息を吸う。




「私はそんなの絶対に許さないからねー-!!!」




美花の声を聴いて逃げていた冴子が足を止め美花の方を振り向く。


そして、一瞬考え美花は再び大声を出す。




「祐介は!私のなんだからー--!!!!!」




それを聞いて冴子は美花に微笑むと再び足を動かす。


速く、けれどさっきよりは遅かった。

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