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付き合ってください。

冴子がいなくなりしばらく美花は一人考え込んでいた。


その場で座り込み何度も何度も考えた。


自分の気持ちを。


これでいいのか、間違いじゃないのか、考えれば考えるほど頭の中がぐちゃぐちゃになる。


それでも、もう一度、もう一度と美花は考える。


そして、いつも頭の片隅には冴子との会話、そして祐介への気持ちが思い浮かぶ。


時間はただただ無慈悲に過ぎていく。


家に帰っても美花は考え続ける。


そして家での食事の時でも考え込んでいる美花を見ておばあちゃんは心配になり話しかける。




「美花、何を考えてるんだい?」




『なんでそう思うの?』




「何でって、美花が赤ちゃんの時から一緒にいるんだ、様子がおかしい時なんてすぐにわかるんだよ。」




美花は食事の箸を置きおばあちゃんの目を見る。


その目を見ているとなんでも話せるような優しい目をしていた。


そして美花はおばあちゃんにすべてを話した。


自分の考えていたこと、思っていること、この気持ちが何なのか、自分はどうすればいいのかを。


話していくうちに美花は取り乱し少し声を荒げたり、涙を流したりした。


おばあちゃんはそのすべてを受け止め聞いてくれた。




「ごめんさない。つい気持ちが、昂って取り乱しちゃった。でも、いくら考えても答えが出ないの。幸せになれるのか、それが正しいのかなんて。どうすればいいのかわからいの!」




再び取り乱そうとした美花をおばあちゃんは優しく抱き着いた。




「美花、大丈夫、落ち着いて。」




おばあちゃんは美花の背中をさすり息を整えさせる。




「美花、あんたは何も間違ってない。答えが出ないのも、その先が見えないのも、どうすればいいのかなんてわかんなくて当然のことなの。美花がそうなっているのは美花1人の考えだから。1人で考えることには必ず限界がある。でも、その祐介と2人になって初めて出てくる答えもある。今あんたに必要なのは考えることじゃない。自分に素直になることだよ。自分がどうしたいのか正直に行動に移すこと、考えるのはその後でも大丈夫だから。それでも考えてから行動しなきゃいけない時もある。」




『おかしいよ、それじゃ矛盾しているよ。』




「そう、この世界は矛盾していることであふれてる。でも美花は今その時じゃない。今は自分に素直になって好きに生きな。それで何か壁にぶつかったとしても助けてあげるから。ただ、今を自由に生きな。今あたしが言えるのはそれだけだよ。・・・


ほら、速く残りのご飯食べちゃいな。これ以上冷めたらおいしくなくなっちまうからね。」




そう言うと、おばあちゃんは自分の席に戻り箸を動かす。


美花も同様に箸を動かしながら心の中で決意を決めた。






次の日、美花は祐介に放課後になってもほかの生徒がいなくなるまで教室に残る様に登校してきた祐介にこっそり告げる。


祐介もそう言われたとき「何で?」と聞くが美花は「お願い。」と一言だけ言うと


祐介は首を縦に振った。


その後二人は放課後まで互いに必要以上に言葉を交わさないで放課後を迎えた。


徐々に教室から生徒は居なくなりそしてとうとう教室には美花と祐介の2人だけになった。


廊下にも生徒の気配が無くなると祐介が先に立ち上がりまだ席に座る美花の元へと向かった。




「えーと、もうみんないなくなったけど一体どうしたの?」




『うん、ちょっと、他の人には聞かれたくなくて2人で話があるの。』




そう言って美花も立ち上がり祐介の横を通り窓際へと向かう。


窓に映る自分を見てふと昨日のおばあちゃんの話が頭をよぎる。


「自分に素直に生きな。」その言葉が頭に響いた。




「ねえ、初めて会った時のこと覚えてる?」




『うん、覚えてるよ。結局あの時美花に怖い思いさせてごめん。』




「それでも、あの時の祐介はとってもかっこよかったよ。もし、あの日祐介と一緒に学校に行ってなかったら今のあたしも、2人の今の関係もなかったはず。だから、本当に祐介には感謝してるんだよ。それでね、その日から私は祐介のことが気になり始めたの。他の男子とは違ってしっかり顔を見て話してくれたり、誰にでも優しくて、男女平等に接してくれて、困ったら自分を犠牲にしてでも守ってくれて、誰でも助けてくれる祐介の姿を見ている内に私祐介のことが好きになったの。」




窓の外を向いていた美花が振り返ると開いている窓から風が吹き込みカーテンがなびき美花の姿を一瞬隠す。


すぐに美花の姿が見え美花は祐介の目の前まで歩き出した。


祐介の目の前に立つと美花は頭を下げ祐介に向かって手を指し伸ばす。





「私と付き合ってください。」

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