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ミカエルの願いの秘密

そこはまるで雲の上にいるかのような場所でそこでは3人の人間がその場にいた。

1人は、数センチ高い段差にある金の枠組みで細やかなクッションが赤い玉座に座り頭を抱えている長い

白髭、白髪を生やし右手には木製で出来た杖を持った老人。

もう1人は、その老人に向かって地面に片膝をつき頭を下げ頭の前では両手を額に当て指を絡ませている銀髪で腰くらいまであるだろう長髪の女性。

最後に二人の間で雲に包まれながら横になっている狩野祐介がいた。


「なんとも、君からの願いだと聞いてみればまさか自分自身のための願いではなく他人のために願いを使うなんて。本当にそれでよいのか、ミカエルよ。」


「王よ、どうしても彼を救いたいのです。」


ミカエルの頼みに王は頭を抱えていた。


「もし、この願いをかなえるというのなら君はここにはもういられなくなってしまうのだぞ?

それに今君がここから離れてしまうのは、」


「安心してください。私が離れた後のことは前々から準備してきていました。彼女らには私から教えられるすべてを教えてきました。そして、うれしい誤算は多少劣ることはありますが個々が私の力量を超えることができる力を有しています。他にも、私がいなくなった後の損害が無くなる様に手は打ってあります。

ですから、今一度お願いします。」


ミカエルは自分がいなくなることを前提に事を進めていた。

自分が対応していた部分の穴埋めがしっかりできるように。

むしろ、それ以上の働きができるようにもしていた。


「確かに、君がいなくなった後のことも心配だがそれよりもだ。私は君のことが心配なのだよ。」


王は去ることを考えていたミカエルを説得した。


「君はほかの3人よりもとても忠誠ある一人だった。たとえどんな時でも諦めず、決して後ろ振り返らないそしてその頭脳で幾度となく苦難や困難を乗り越えてきた。君がいたからこそ乗り切ることの出来たこともあった。それ以外にも君ではならない場合などが多々あった。これらは、君だからこそできたことだ。たとえ君の代わりが務まることができる人員がいたとしてもそれは君のようにはいかないだろう。我々も全力を尽くすが君が糸ような時がいずれは来るやもしれん。そして何よりほかの3人の為にも君にはここに残ってほしいんだよ、ミカエル。」


王の言葉を聞きミカエルの体は少し震えていた。

ミカエルは王の言葉を聞き涙を流していた。

今まで王は誰かのことを評価するようなことは決してなかった。

誰にも優劣をつけることがないようにいがみ合いが起きないようにするために王は必要最低限の事しか話さない人だった。

それが、ミカエルがいなくなると知り王は初めて人を評価した。

そして王もその目から今にも涙が流れ落ちようとしていた。


「覚えているか、ミカエルよ?」


そう尋ねる王にミカエルは顔を上げ王と目を合わせ話を聞いた。

ミカエルは声を出さないために唇をキュッと噛み涙を堪えた。


「君たち4人は初めての軍を率いるものとして選んだ4人だった。そして私が君たちに戦い方を教えたな。最初は本当に君たちを選んでしまったことを申し訳ないと思っていた。そして、君たちには時には厳しく当たりすぎてしまった時もあっただろう。そのせいもあり君たちが指名を辞退しようとしていたことがあったな。その時偶然にも私もその場にいて止めようとしたがその前にほかの3人を止めたのが君だったな。」


王はミカエルの過去を思い出を思い返した。


そこには、王との訓練を終え談笑をしていた幼いころのミカエル達がいた。

彼女らは自分らが本当に軍を率いる者に等しいのか話し合っていた。


「なあ、あたしらにはやっぱり無理だったんだよ。選んでもらったことは光栄なことっていうのは知ってるけどさ、元々あたしたち一般人だよ、しかもまだ成人前の子供だよ!?そんなのにやっぱり務まるわけないんだよ。」


そういうのはミカエルだった。

ウリエルは4人の中では体力が1番あり天真爛漫を具現化したような子だった。


「それでも、王様からの直々の指名だからやれるところまでやらないと。」


ラファエルは天真流露のまま育った子


「ね~、なんの話してるの~?」


ガブリエルはよく人とは違う行動や発言、発想をするいわゆる天然のような子


ミカエルとウリエルはこのまま続けるのか続けないのかの討論をしている中にガブリエルが訳も分からず話の中にいる状態だった。

その中に一人水を飲んできたミカエルが戻ってきた。

ミカエルはガブリエルが横やりを入れないように静かにさせた後、2人の話を聞いた。


「3人ともよく聞いて。私たちは・・・」


ミカエルの話をしようとしたとき


「王よ!!その、恥ずかしいので止めてください。」


昔話を聞いていたミカエルが自分のことを言うのを止めるために王のかき消すような大声で話を遮った。

その時のミカエルは声を荒げたこと恥じ、顔を下げた。

その顔は恥ずかしさ半分怒り半分の少し膨らんだ頬が赤く染まり目には涙を流していたこともあり目が潤っていた。


「すまん。つい長話をしてしまったな。」


王はミカエルに怒られ少し落ち込みながら謝罪した。


「最後に聞く、ミカエルよ。」


次の瞬間には王は元の威厳を取り戻しその場に強い圧が感じられた。

ミカエルもその圧を感じ取り冷静さを取り戻した。


「そなたのこの願いを曲げることはないのだな?」


「はい。」


ミカエルは覚悟の意思で答えた。

その眼に迷いは一切なくただ彼のために彼を思うがための決心を決めた眼だった。

その眼を見た王はミカエルに答えた。


「もう何も言うまい。わかった、そなたの願いを聞き入れよう。」


王はミカエルの願いを聞き入れた。

これまでにも何人もの人が離れていったがそれは悪魔で追放と言うような形でだった。

今回のような進んで離れることは過去に1件を残して他になかった。


「皆に別れの言葉は告げたのか?」


戻らないミカエルに最後の機会を与えた。

しかしミカエルはその質問に首を横に振った。


「いえ、彼女たちにはすでに伝えてあります。どうせ、まだ任務中でしょうし。それに最後の言葉なんて言ったらあの子たちは必至に止めに来るでしょうから。」


ミカエルは胸についていたペンダントを一目見て言った。

そのペンダントには1枚の写真が貼ってあった。

その写真の中には4人が4大天使になれたときに撮った写真だった。


「君の私物は後程送ることにしよう。他に何か必要なものはあるか?」


「いいえ、ございません。」


「そなたの願いは地上に付くときにはすでに叶えられておる。それでは行くがよい。そなたのこれからに神の光があらんことを!」


王はそう言うと杖を使い地面を3回叩くとミカエルの前に渦を巻いた穴が現れた。

穴の中は青紫色の雷が走り回り肌に「ピリッ!」と微かな電気が伝わる。


「お別れです、我が王よ。あなたに尽くせたことを誇りに思います。それでは、行ってまいります。」


ミカエルはその言葉を残し地上に降りた。

ミカエルは誰にでも優しく、容姿端麗、文武両道、戦いにも人の縁でも彼女に並ぶものはそうそういるものではないだろう。

そんな彼女が故郷には戻れないまでの願いを使って叶えた秘密とは

これから起こることをまだ誰も知らない。



ミカエルが去った後王はしばらくその場に佇んでいた。

ミカエルがかかわった内容を思い返しているのか感傷に浸っているのかそれは誰にもわからない。

ただ、それの束の間その場所に任務を終えたウリエル、ガブリエル、ラファエルが到着し

「「「私も、地上に降ります!!」」」

王も眩暈がする程の突然の言葉を聞いたのはまた別の話。



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