001.転生すると聞かされました
新連載を開始しました、よろしくお願いします。
最初は第1話と第2話を同時に投稿します。
基本的に週2~3回更新になるかと思いますが、開始しばらくの間は毎日更新します。
最初の数話は説明的な話となります、ご了承下さい。
《申し訳ありません──さん。貴女は不慮の事故でお亡くなりになりました》
……はぁ? 今なんて言った!? というか、ここどこよ!
おぼつかない感じで周囲を見渡すも、視界に入るのは一面の白、白、白。その光景から、単なる白い部屋とかではなく、何かしら途方も無い事にまきこまれているような感覚をうける。
もとより、あの頭に響くような声……それが自分の理解を超えてしまっていた。
《貴女は前世で、不慮の事故に巻き込まれて命を落とされました。ここは……そうですね、わかりやすい言葉で言い表すのならば“死後の世界”です》
うん、わかりやすいわね。でもだからってそうそう認められるもんじゃないでしょ。……否定も肯定もとりあえずはできそうもないけど。
というか、アナタは何? 神様かなにかですか?
《……はい。貴方達の思考においては、そう呼ばれているものと認識していただけると理解が早いかと想います》
何か若手のセールスみたいな会話運びね。ひょっとして新人の神様かしら。ともかく、私が頭で思ったことに返答するあたり、いわゆる超越者的存在なのは確かね。
そ・れ・で? 私はこれからどうなるのかしら? よくある天国と地獄への別れの門でもくぐるのかしら? それとも改めて三途の川にでも行かされるとか? あ、ひょっとして輪廻転生を経てどこかの誰かに生まれ変わる! なんて──
《はい。──さんには出来うる限り希望する世界への生まれ変わりをご提供します》
おおぅ……まさか本当にそういうのってあるのね。
そういう転生とかって、死んだ人間誰にでもあることなの? それとも私だけ?
《誰しもが、というわけではありません。貴女の場合、生前での行いの中に非常に高く評価された事象がございました。それ故私からの進言でこのような運びとなりました》
ふーん……それはどんな事だったのかは、教えてくれないの? なんだか私ってば、所々自分の記憶が思い出せないみたいなのよね。
《申し訳ありません。記憶に関しては、これより転生する世界でのことを想定してある程度制限をかけさせていただきました。といっても、基本的には先ほど述べた出来事と人名のみを思い出せないだけですのでご安心ください》
まぁ……それならいいわ。どうせ名前なんて、新しい世界で生を受けたら付けてもらえるものでしょ?
《はい》
りょうか~い。それじゃあパパッと転生させちゃって。年は何歳になるの? 0歳の赤ん坊からやり直し?
《そうなります。知識や記憶はそのまま持ち込めますが、赤子故に最初のうちは行動も制限されますのでご注意願います。では最後に、ご希望の目標などありましたらお伺いいたします》
えっと……目標って? 例えば、アイドルになりたいとか、お金持ちになりたいとか……そういう感じ?
《そうです。他には望まれる世界のイメージに要望がありましたら、参考までにお聞かせ頂きたいところです》
へぇ~……そんなところまで可能なんだ?
《転生先の世界に関しては、要望される項目に近しい所へ転生させるという事が可能です。貴女方の言葉でいう“平行世界”の中から、最も望みに近いと思われる世界へ転生を致します》
なるほど、そういう事……うん、決めた!
私の要望は──『聖女』になりたい!
《『聖女』──貴女方の認識でいう所の、信仰する神の力を借りで奇跡を起こし世界に平穏をもたらす……という存在でしょうか》
んー……ちょっとばかり表現が過度な気もするけど、凡そそんな感じ。
私としては聖女になって、神聖魔法とか光魔法で魔物を討伐していきたいの。ほらアレよ、パーティーで勇者とか賢者とかが前面で戦い、それを支えながら死霊系の魔物を浄化してくっていうアレ。アコライトとかプリーストとか、そういうのの最上位的な?
《……なるほど理解しました。では──さん、貴女には【聖女の証】を授けます。これから行く世界では、聖女を認定する儀を執り行う習慣があります。そこで貴女は聖女であると認知されます。それからの道は貴女次第です》
わかりました! ありがとうございます!
《それでは貴女のこれからに幸あらんことを願って────》
自称神様と名乗る声が急速に遠くなり、私の意識を覆っていた光の空間も刹那のかなたへと消え去る。
そして私の意識は──ゆっくりとまどろみの中へ沈んでいった──。
この第1話は次の第2話と同時に投稿しております。
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