エンジニア。赤い耳のブラックスミス。(2)
『ついてきてください。彼女はもう来ています。』
簡易に普及されたポテトサラダとサンドイッチで昼食を済ませてから、私はミスマーガレットに従い、宮廷庭園の裏に出て、宮廷から少し離れたところにあるというエンジニアの研究室、科学部に向かった。
ところが、一つ疑問。
『ミスマーガレット、一つ質問してもいいですか。』
『何ですか。シスター?』
『軍科部の位置、宮廷の外側に押し出されてしまったのでしょうか。』
国の科学開発にとって貴重な人材であるエンジニアは、その存在が国の所有と規定され、王の宮廷の下で働くのが原則であった。 しかし今度はなぜか宮廷の外に研究室を設けたと、消息を一歩遅れて聞いた私は理由が分かるはずがなかった。
『代を重ねるにつれ、エンジニアの業務がだんだん大きくなっていくため、宮廷で業務過程での仕事を別において管理することができず、独立することになりました。最も彼らの実験は、非関係者の方々には非常に危険なものが多かったですからね。』
『それじゃ、部署は完全に独立したことになるんですか、ミス?』
『当たりと言わば当たりだと言いますが…位置だけ移したのです。つい最近決定したものです。 言わば大きな宮殿の外の小さな宮殿になりますね。既にメイドたちを一部移しておいた状況です。』
どうやら彼らが左遷してしまったわけではないようであった 一つ気になったことがいい形で解決されるようだったが、
私にはまだもう一つ知りたいことが残っていた。
『ミス』
『いつもよりおしゃべりですね。バターさん』
『しかし、一つ聞かなければならないことがあります。』
『歩く道が退屈なので何でも聞いてください。』
『それでは、彼女のもう1つの異名の「赤い耳」について』
『それは…』
私の言葉を切るマーガレット。 そしてしばらく静寂。メイド長の神経は明らかに私ではなく、確実に別の場所に行っていた。
私は彼女の視線に引かれて同じ所を見つめる。
『あ』
『エンジニア嬢。外に出なくてもいいものを、みんなが観ます。』
『こんなの慣れてないから、ミスマーガレット』
君と夫と書かれている、巨大な表板の前に立っている一人の女の子。
清純たる体つきを持って、澄んだ紫に染まった両眼と巨大な帝国の象徴のような、情熱的な赤髪が印象的な、そしてもっと印象的なのは、
頭の上に大きく突き出ている、髪の色と同じ赤色の大きい狐耳が二つ。
エンジニア。「赤い耳のブラックスミス。」
『この子が…』
『この方が私の専属メイドさんですか、ミス?』
『はい、そうです。 ミス・エンジニア。』
『髪の毛が邪魔で目がよく見えません。』
彼女は私に近寄ってきて話した。 私は反射的に前髪に手を上げ、さらに目を覆う。
彼女はどうやら私の顔を覚えたかったらしい。私は急いで彼女に抜け出す言葉を探した。
『私の印象はこれで十分です。 私はあなたの家来として、影として、静かに物事をふるまうだけです。』
目は人の心を表し、目を見つめるということは、その魂を見つめること、目を閉じるということは、心の扉を閉めること。
それでもエンジニアは私をきちんともう一度見つめ、安らかな顔で言葉を続ける。
『バター…そうですか。大丈夫です。ありがとう。』
私より10歳は若く見えるこの子は、そんなものであるにも子供らしくなく、あまりにも深い瞳を持っていた。万事を知っている小さな存在。そこから生まれる、子供のような力強い自信感、そしてそこから生まれる慎重さを持った目。これが私の彼女に対する第一印象であった。