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11 友情について

 最近友達について考えさせられることが多い。たまたまお客様と「男女の友情はありうるか」という話題になったのが、最初だったと思う。

 私はある派だが、お客様はない派だった。それは

「相手が異性である限り、友情なんて失礼にあたる。すべて恋愛感情だ」

 とおっしゃる。なるほど、失礼ですか。そういう意見は初めてだったので、とても新鮮だった。ちゃんとリサーチしたわけではないのでわからないが、私の周りではある派は女性が多い気がする。しかも、男勝りな女性ほどある派な気がする。そういっているだけかもしれないけれど。

 バーチャルな二次元の世界の友情はありうるか、ということになると私は最近までない派だった。そもそもメル友は友達ではないと思っていた。しかし、こうやってインターネットを多用するようになって、サイト上やブログ上で意見を交換するようになると、そうも言い切れない。たまに2ちゃんねるも覗いてみたりするけれどまともな意見も多い。顔も知らない方から励まされたり叱咤されたり、なんとなく友情のようなものが沸いている自分がいる。しかし犯罪に使われることも多く、すべてがすべてとはいかない。だから今は場合によってはあり派だ。

 酒が強いことで、

「くどくには不便だけど飲み友達にはいい」ともいわれた。

「そうですね。飲み友達はたくさんいますね」と答えたが、最近はみんな忙しくて会うことすらままならない。だからまめに連絡取れない友情はありかでは断然あり派だ。

「女の友情は血よりも固く、男よりももろい」という名言を聞いたことがある。親兄弟よりも友情が大切、友情よりも彼氏が大切ということだ。ううむ、深い。あるとき私は女友達にある男性の話をした。ずいぶん時間がたってから、その本人から私が友達にした話をそのまま聞かされたと聞いた。これはちょっとショックだった。

 特に悪口を言った覚えはないが、聞いた本人は噂になっていたことをよく思うとは限らない。しかも三人同席しているなら話は別だけれど二人のときにそれをネタにするのはルール違反だろう、と思った。伝聞は必ず尾ひれがつく。セオリー通り多少ついていたようだ。私は本人に無礼をわび、お礼をいった。

 しばらくじっと考えてみる。私は友達だと思って彼女に話したが、彼女は私のことを友達だとは思ってくれてなかったのだろうか。それとも聞いたことは話していいものだと思っているスタンスなのだろうか。やっぱり友達じゃないのか……

 そういえば、と思い立った。内緒にしてね、という話をぺろっとしゃべられちゃったことがあるのを思い出した。悪気は一切感じられない。もし悪意を持ってやっているならば、彼女が相当な役者なのか、私が相当なでくの坊なのかどちらかだろう。

 彼女自身が私と友達だということを表現したくてその話題をしたのかもしれない。結果的に二人の人間を不愉快にしてしまっただけなのかも。もしも彼女がその本人に恋愛感情を抱いていたのだったら友情のほうが「もろい」のだから、責める筋合い自体が消滅してしまうのではないか。なんにせよ、そんな噂話をした私が悪いのだ、という結論に達した。

 それにしても噂の本人は見事だった。決していい気持ちはしなかっただろうに、その後もかわりなく私と接してくれて、やんわりと誰が悪いというのでもなく、不快だったこと、そういうお話はどうかと思うと知らしめてくれた。私は素直に謝罪することができたし、友情について考える機会も与えてもらえた。自分の発言に関する責任についても。

 自分がされて嫌なことは他人にもしない――基本的なことだけれど、自分は嫌ではないけれど、他人は嫌かもしれないとも考えなくてはいけない。いくら友達でも同じ人間ではないのだから。そして自分が当たり前だと思っていることを相手に強要することもいけない。その話を聞かされて、少なからずショックをうけルール違反だと思ったことは彼女に私の「当たり前」を押し付けてしまった感情だと反省した。

 相手を理解しようと努力すること。それが友情、愛情なのではないかと感じた。

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